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株式会社島津製作所 代表取締役社長 中本晃

想像力と創造力の両輪で、世界の顧客に選ばれるナンバーワンパートナーを目指す

中本晃

困難を乗り越えて強い組織へ

島津製作所は今年4月より新たな3カ年中期経営計画をスタートしました。
震災を受け、計画の一部変更も視野に入れ検討しましたが、困難なことが多くなったときこそ、決めた施策をきちんと遂行することが大切であるとの信念に基づき、原案に変更を加えることなく、発表させていただきました。
今中期経営計画では、「世界の顧客に選ばれるナンバーワンパートナー」を目指すことを目標に掲げました。以前 より私どもは「真のグローバル企業」となることをビジョンとしており、その実現を目指すものとなります。

より交流を深め、真のグローバル企業へ

真のグローバル企業とは、世界の国、人々との共生を念頭に置いた企業と考えます。
私たちは決してひとりでは生きることはできません。同じようにこのグローバル社会のなかで、日本一国だけで発展成長していくことは不可能です。世界の人々とより交流を深め、信頼を築き、世界が同時に成長する。そのなかで我が国も発展成長していくことが、国の未来をつなぐ唯一の道ではないでしょうか。
企業活動も、世界の人々との交流の積み重ねのひとつです。世界の人々の生活の中に溶け込み、理解を深める活動をすることこそが、グローバル企業としてあるべき姿だろうと考えています。
そのためにも、世界中の人々に、私どもが信頼に足る企業であることをご理解いただく必要があります。世界のお客様に、島津の製品・サービスに満足していただくことです。
当社は、創業以来、「技術の島津」との評価をいただいてきました。世界初の独自技術の研究、世界初の製品の開発を目指し、より高い精度、より優れたパフォーマンスを追求してきたことが評価されたものと自負しています。

お客様のために想像力を最大限高める

お客様のために想像力を最大限高める

もっとも、技術の本質は、何より「お客様に満足いただくこと」にあります。お客様は本当は何を求めているのか、お客様が困っていることは何か、こうしたニーズやウォンツこそが、開発の源泉です。そのために重要なのが「想像力」です。お客様を想う力と、喜んでいただける製品を創り上げる「創造力」。この2つの力を高めることで、優れた製品がつくりだせるのだと確信しています。
さらに、その製品をお届けした後のサポートにも力を入れています。サポートを取り巻く環境は、その国の文化によって異なります。経済環境によっても違ってきます。製品の使われ方も、仕事に対する考え方も様々です。
今、私どもは、その国の人々の役に立ち、喜んでいただける製品を作り、販売し、サポートしたいと奮闘しています。現地化も加速させ、組織の強化も図っています。
激しいグローバル競争の中で、きらりと光る商品力、サポート力を実現したい。それが世界の人々に受け入れられたとき、ナンバーワンパートナーになれると信じています。
もちろん、その歩みは険しく、短期間でできるものではないことは承知しています。そこで、この3年で、まずはその土台を作り上げたいと思っています。

世界の幸福実現の一助に

創業以来、島津は「科学技術で社会に貢献する」という社是を掲げてきました。私たちの事業の源泉である「科学技術」を、どのように用いるかという理念に立ち返ると、それは、社会の幸福に資するものであるべきであることを、精神の主柱としてきたのです。
1875年の創業時とは、私どもの事業内容は大きく変わりました。また、「社会」が意味するところも、日本一国から、世界の国々へと拡大しています。
しかし決して変わらないのは、幸福を願う心です。私どもの分析・計測機器、医用機器、航空機器、産業機器が世界の国々でお役に立ち、世界の人々の幸福の一助となることを心より願い、より一層の研鑽を積み重ねていくことを、お約束いたします。

東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます

震災の報を受け、私どもとして何かできることはないかと検討し、取り急ぎ被災地での医療活動にお使いいただけるよう、可動式X線画像診断装置10台を、日本赤十字社を通して被災地に寄付させていただきました。私どもはこれからも復興へ至る長い道のりを見据え、被災されたお客様のサポートを第一に、復興に尽力してまいります。