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(注)所属・役職および研究・開発、装置などは取材当時のものです。

株式会社島津製作所 第十一代 代表取締役社長 中本 晃

感度を磨き、技術を磨く。全てはお客様のために。

島津はいま、強い決意で歩みを進めています。
お客様にとって「何か足りないものはないか」「本当の使いやすさとはなにか」 過去や固定観念にとらわれることなく、お客様のご希望を見極め、お客様の目線で考える。
これこそが、創業135年目を迎えた「技術の島津」の正しい姿であると固く信じています。
世界中で『そこにあることが自然な企業であること』
私たち島津は、それが真のグローバル企業ではないかと考えています。

世界で一番になるには

就任にあたって私は、島津が市場としてとらえている各事業分野で、世界のトップを目指すことを打ち出しました。
トップになるということは、単に競合他社に勝るということではなく、お客様に認めていただけたということが、トップという結果につながると考えています。そしてトップになったからこそ、さらに認めていただけるよう、「新しい価値」「高い付加価値」を提供できるように、更に研鑽するという好循環が生まれます。
一番を目指すと言うと、お客様のなかには「何もそんなに力こぶを作らなくても、良質な製品を作ってくれればそれでいいじゃないか」と声をかけてくださる方もおられます。ありがたいことですが、それはひいき目に見てくださっているのであって、二番手でいるということは、お客様にとって、まだ何か足りない部分があるということに違いない、私はそう考えています。もちろん簡単なことではないことは重々理解しています。しかし、お客様がより優れた成果を出そうと、熾烈な競争を戦っていらっしゃるのだから、サポートする立場の私たちは、それよりもさらに高い競争意識を持ってチャレンジするのは当然のことです。

簡単、素早くも技術力

お客様に受け入れていただけるものを提供できなければ、事業を行う意味はありません。では、どうすれば提供できるか。それは、何よりも技術力。技術なくして成し得ません。創業以来島津は、「技術の島津」という評価をいただいてきました。世界初の独自技術の開発、新技術の応用、より高い精度、より優れたパフォーマンスの実現に力を注いできた努力をご理解いただいたものと考えております。
もっとも、商品はスペックで語れる部分だけで評価されるもではありません。お客様の望む結果を、極力手を煩わせることなく、素早く、簡単に引き出せるようにする工夫も重要です。性能・操作性の充実はもとより、さまざまな事例に対応できるアプリケーションの開発と迅速なサポートなども、お客様にとっては大変重要な評価基準です。これらを実現する発想力や開発力、サポート力も、人が知恵を出し、手を動かして作り出すものですので、これも技術力にほかなりません。私は、お客様のご希望は何なのかを見極め、お客様の目線で考えること、それこそが技術の本質だと思っています。
技術部門のみならず、マーケティング、営業、製造、サービスといった島津のすべての部門が、技術の研鑽に努め、「市場感度」「お客様のニーズ感度」に磨きをかける。そしてそれぞれの分野で社会に貢献するにはどうしたらよいかを考え、挑戦する。全社員の総合力を結集してこそ、オンリーワン、ナンバーワンの商品開発につながり、ひいてはお客様の事業、研究に一層お役に立てるものと、固く信じています。

世界中で、そこにあることが自然な企業へ

いま島津は、真のグローバル企業になろうと「世界に支持される島津ブランドの構築」に奮闘しています。創業135年目を迎え、少なくとも日本においては島津がどういう企業か漠然とでもイメージを抱いていただけるようになってきました。しかし、世界でトップの商品を生み出すのが難しいのと同様に、島津が拠点を持つすべての国、地域において、島津の存在感を示すのは、とても難しいというのが偽りなき実感です。国によって文化も異なれば、経済環境も異なります。仕事に対する考え方も、島津に求められる要望も様々です。その声を日本というフィルターを通して聞いていたのでは、決してお応えすることはできません。
解決のための手立てはただ一つ。それぞれの国に商品開発体制とサポートがあり、最適なアプリケーションを供給できる体制があること。加えてその国の人々が作り、その国の人々によって販売され、サポートされるという徹底した現地化があってこそ、その国のお役に立てる企業であり、真のグローバル化が達成されると考えています。
すでに中国などを中心に現地化に向けた歩みが始まっており、この流れをより確かなものにしていくことが私の役目だと認識しています。
20年後、30年後の未来、島津が世界のそれぞれの国や地域にしっかりと溶け込んでいて、そこにあることが自然な企業になっている姿を想像することがあります。そのときこそ、私たちの経営理念である『「人と地球の健康」への願いを実現する』のグローバル化ができると、信じて疑いません。
これからの島津に、どうぞご期待ください。

(注)所属・役職および研究・開発、装置などは取材当時のものです。