(注)所属・役職および研究・開発、装置などは取材当時のものです。
NEWS & TOPICS
人と地球の健康のために「科学技術で社会に貢献」
国連大学の環境プロジェクトを継続支援
「アジア水圏における環境測定と管理」
地球と人の命の源である水 その“健康”を守ることができるかどうか、人類は試されようとしている。
産業の発展は、同時に命の源である「水」に深刻なダメージを与えてきた。工業排水はいうにおよばず、化学肥料に含まれる有機物質、生活排水などが溶け込み、河川、沿岸の生態系をゆがめてきた。
いま発展を急ぐアジア諸国の「水」汚染問題は、海によってつながっているアジアの国々のみならず、世界各国の生態系連鎖により波及する。
事態が地球規模の深刻さをはらんでいることを意識した国連大学は「人類の平和と発展に学術面で寄与する」を目的として、1996年に「東アジア地域の環境モニタリングと分析―技術移転と環境管理」プロジェクトをスタートした。アジア11カ国(日本、中国、シンガポール、韓国、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インド、パキスタン)の主要研究機関が参加。環境汚染物質の分析法の標準化、それを用いての環境モニタリングを実施し、環境保護に結びつけようというものだ。
第4期調印式にて ヒンケル学長(左)と服部社長(右)(2005.10.24)
開始以来、3ヵ年毎のプロジェクトに沿って、計画的な水質分析が行われている。監視は継続されなければ意味をなさない。また、継続して信頼性の高いデータを取得するためには、分析装置の充実に加え、測定を行う研究者の技術レベルの統一と向上が必要で、そのためのトレーニングを定期的に行う必要がある。島津はプロジェクトがスタートする際に、この意義ある取組みに共鳴し、最新のガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)の貸与や、研究者を各国から招いて分析方法をトレーニングするなどの支援を申し出た。
「『科学技術で社会に貢献する』の社是のとおり、島津の専門技術を生かして国際社会に貢献できることを、誇りに思っています」
と、第4期(2005-2007年度)調印式の席上、服部重彦社長は目を輝かせた。
第4期プロジェクトの正式名称は、「アジア沿岸地域における環境モニタリングとガバナンス ―アジア地域におけるPOPs(残留性有機汚染物質)モニタリング―」という。単なるモニタリングではなく、「ガバナンス(governance=管理、統治)」という言葉が重要な意味を持っている。すなわち、アジアに生活する人々が、自分自身の手でその水を守っていくための素地をつくる取り組みなのである。
アジアで生活を営む人たちが、自分たちを育んでいる水の重要性や危機を認識し、自ら管理するために、まずは分析技術を身に付ける。そしてデータを蓄積し、社会にアピールし、水を守るという世論・体制づくりを進める。さらに、国際間で協力し、アジア水圏として水環境の健全化をはかることが理想の到達点だ。 「これは、国家間のいわばひとつの和解のプロセス。それぞれの国が政治信条を超えて、敬意をもってお互いに接することのできる機会が、このプロジェクトから生まれてくると期待しています」(ハンス・ファン・ヒンケル国連大学学長)
その成果に、世界の目が集まっている。
第1期 (1996~1998年度) |
東アジア地域の環境モニタリングと分析 ―技術移転と環境管理― |
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第2期 (1999~2001年度) |
東アジア地域における環境モニタリングとガバナンス ―河川・沿岸水域における環境ホルモン― |
第3期 (2002~2004年度) |
東アジア地域の環境モニタリングとガバナンス ―東アジア水圏におけるPOPs― |
第4期 (2005~2007年度) |
アジア水圏における環境モニタリングとガバナンス ―アジア地域におけるPOPsモニタリング― |
マレーシアでのワークショップの様子
財団法人 島津科学技術振興財団(理事長 岡本道雄)主催の、第25回(平成17年度)島津賞が「極低温電子顕微鏡の開発と、水とイオンチャネル分子機構研究への応用」を発表した京都大学大学院理学研究科 藤吉好則教授に贈られました。島津賞は、科学計測の基礎的な研究において近年著しい成果をあげた功労者を表彰するものです。同財団は科学技術に関する研究開発の助成・振興を図る目的で、1980年に設立しました。(2006.2.20)
▼ 財団法人 島津科学技術振興財団
▼ Tel.075-823-3240
▼ E-mail ssf@zaidan.shimadzu.co.jp
アメリカの著名な技術情報誌「R&D」誌上で毎年行われる技術コンペで、島津の液体クロマトグラフ質量分析計LCMS-IT-TOFが選ばれました。この賞は前年に製品化されたものの中で、技術的に最も重要な100製品を選出するものです。本装置は、詳しい分子構造を高感度・高精度に分析することができる、高速液体クロマトグラフ(LCMS)とイオントラップ型質量分析計(IT)、飛行時間型質量分析計(TOF)を結びつけた世界初の装置です。
高速液体クロマトグラフ質量分析計LCMS-IT-TOF
(関連記事:P10~12)
日刊工業新聞社主催の2005年十大新製品賞に島津の高速度ビデオカメラHPV-1が選ばれ、贈賞式が行われました。未知の世界であった100万分の1秒の世界を動画として記録することに成功した世界初の超高速度ビデオカメラで、今後の産業の発展に寄与するとこが高く評価されました。(2006.1.25)
高速飛翔体の周りに発生する衝撃波の様子
(資料提供:東北大学 高山和喜教授、宇宙航空研究開発機構 橋本時忠先生)
国内外の男女トッププロが参戦し、男子は世界大会に結果が反映されるATPTour公認の国際大会である島津全日本室内テニス選手権大会(主催:日本テニス協会、特別協賛:島津製作所)が、京都市体育館で開催されました。(2006.3.6~3.12)
男子初優勝のMAHUT.Nicolas選手と服部社長
日本のテニス界の振興を願い「島津ジュニアテニス教室」を毎年開催しています。これは、小・中・高校生を対象にした当社全日本ランキング保持者による無料のテニス教室で、地域に対する社会貢献活動の一環として毎回本社(京都)にて実施しています。10月に行われた第14回では約30名の参加がありました。(2005.10.3)
京都の本社にあるテニスコートにて
第20回テニス日本リーグ決勝トーナメントが東京体育館で行われ、当社会社代表の女子テニスチームが4年連続で決勝トーナメントに進出し、3位入賞を果たしました。また、個人賞では、山本麻友美が女子優秀選手賞を受賞しました。(2006.2.19)
グローバル市場における営業力強化の一環として、高成長市場であるインドで分析計測機器の事業拡大を目指して、インド最大の商業都市ムンバイに、島津グループのアジア・オセアニア地域における持ち株会社であるShimadzu(Asia Pacific)Pte Ltd.傘下の販売・サービス現地法人Shimadzu Analytical India Private Limitedを設立した。
臨床現場での使用を目指した世界初の「試薬‐チップ一体型全自動SNPs解析システム」の試作機を開発し、わずか1時間半で高精度の解析ができるとともに、検体(血液)からのSNPs解析を全自動化したことで、人為的ミスや解析誤差などのさまざまなトラブルを解消します。オーダーメイド医療の実現を考えた場合、世界標準の診断法を確立することが不可欠です。今回の試作機の実証により、本格的な遺伝子診断事業の展開が期待されます。(2005.9.27)
▼ SHIMADZU BIOTECH
▼ Tel.075-823-1351
血液、体液、病理サンプル、植物組織、細菌などほとんどの生体サンプルから、直接目的の遺伝子を簡便かつ迅速に増幅することができる、他に類のない試薬です。簡単、低コストで安定した遺伝子増幅が可能となるため、ライフサイエンス、医療、食品、環境など多くの分野の研究・開発のスピードアップ、コスト削減、新製品・新事業の創造などに効果を発揮します。(2005.10.6)
▼ SHIMADZU BIOTECH
▼ Tel.075-823-1351
欧州の業績拡大を目指し、これまでドイツに欧州全体の販売活動の権限と機能を集中していた体制を再構築した。ドイツの販売部門を独立法人化するとともに、英・仏・蘭の各支店を独立法人化し、販売・サービス人員の増強、アプリケーションラボの拡充などを図る。
Ampdirect®にRNA分解酵素の失活とウィルスからのRNA抽出を同時に行える「糞便処理液」を組み合わせ、ノロウィルス感染者の糞便から直接、ウィルスRNA遺伝子を増幅して検出できる方法を世界で初めて開発しました。2006年春頃試薬キットを商品化する予定です。(2005.11.9)
▼ SHIMADZU BIOTECH
▼ Tel.075-823-1351
大学などの研究機関や医学・創薬の基礎研究で得られる大量の研究情報の管理がますます重要になることから、島津とNECは、研究支援ソフトウエアSOLPHIを共同開発しました。本製品はタンパク質解析の情報をデータベース化し、一括管理することが可能です。各研究員のPCから手軽に接続できるため、実験データを容易に共有することができ、他のシステムやソフトウェアとも柔軟にデータのやりとりが行えます。(2005.10.18)
▼ SHIMADZU BIOTECH
▼ Tel.075-823-1351
ヒットモデルのEDXが新しくなりました。RoHS/ELV規制の対象元素をはじめとする有害重金属に関して、従来比2~4倍の高感度を実現し、最少必要測定時間を自動判別する時間短縮機能などにより、検査時間を大幅に短縮しました。(2005.11.29)
[特長]新型フィルタと高計数のデジタル計数回路の搭載/測定時間短縮機能の追加/複数検量線切り替え機能の追加
▼ 分析計測事業部セールスプロモーション課
▼ Tel.075-823-1468
試料の表面形状の観察以外にも20種類以上の測定モード(力、硬さ、電圧、電流、磁場などの分布測定など)に対応しており、試料の特性や目的に合わせて最適なモードが選択できます。また、回路を刷新、新開発VBDF(Variable Bandwidth DigitalFilter)搭載により、いっそうクリアで高品位な画像が得られます。(2005.10.12)
▼ 分析計測事業部セールスプロモーション課
▼ Tel.075-823-1468
施設から排出される揮発性有機化合物(VOC)の濃度を測定するための分析計として、環境省が定めた性能基準を満たす装置で、ガスクロマトグラフの検出器FIDを利用しています。簡単操作で、重量約8kgと小型・軽量であり、現場近くへ搬送しての測定にも適しています。小型ながら、運転に必要な高純度空気を精製する機能を内蔵しており、空気ボンベ不要でランニングコストが削減できます。(2005.12.15)
▼ 分析計測事業部セールスプロモーション課
▼ Tel.075-823-1259
真空分光器と半導体検出器(CCD)を搭載し、簡単な操作で短時間に正確な分析することができ、ランニングコストを大幅に低減したハイスループットな装置です。(2005.10.13)
[特長] 半導体検出器搭載で、ハイスループットアシスタント機能で簡単分析/真空分光器採用で酸素の影響をうけずに分析が可能/アルゴンガス消費量40%減少でランニングコスト低減
▼ 分析計測事業部セールスプロモーション課
▼ Tel.075-823-1468
面倒な操作が不要で、サンプルの位置を決めるだけでCT画像撮影がスタートできます。デジタルフラットパネル検出器により、ひずみの無い高画質な画像が得られます。また任意断面表示(MPR)機能により、見たい断面を瞬時に表示できます。据置型の1/4(1700×900mm)の省スペース(当社比)です。(2006.1.11)
▼ 分析計測事業部セールスプロモーション課
▼ Tel.075-823-1986
(注)所属・役職および研究・開発、装置などは取材当時のものです。