産学共同研究成果のメディアアート
「Zero Gravity Art」カプセルを大阪・関西万博で展示

EXPO2025
©Expo 2025

「2025年日本国際博覧会」(以下、大阪・関西万博)で、当社は株式会社NTアソシエイツ、TOPPANホールディングス株式会社と共同で、体験型メディアアート「Zero Gravity Art」カプセルを常設展示します。

 

共同研究から生まれたメディアアート

京都大学防災研究所アートイノベーション産学共同研究部門 土佐尚子教授がアーティスト活動を行っている株式会社NTアソシエイツとTOPPANホールディングス株式会社、島津製作所で構成されるコンソーシアム「Zero Gravity Art」は、大阪・関西万博の未来社会ショーケース事業「フューチャーライフ万博・フューチャーライフエクスペリエンス」に協賛しています。3社はコンソーシアムと同名のメディアアート「Zero Gravity Art」を常設展示します。

大阪・関西万博で体験できる「Zero Gravity Art」
大阪・関西万博で体験できる「Zero Gravity Art」

大阪・関西万博で体験できる「Zero Gravity Art」カプセル

 

土佐教授とTOPPANホールディングスは2019年から、アートと最先端テクノロジーを組み合わせてイノベーティブな社会的価値創造を目指す研究を進めてきました。また、2022年に土佐教授と当社は、当社の生体情報計測技術を用いて人間の創造性とアートの関係性を科学的に評価する共同研究を開始しました。大阪・関西万博では、これらの研究成果の展示も行っています。

「Zero Gravity Art」は六角柱のカプセルに入って体験します。内部は天井と床を含め、全面が鏡とディスプレイで構成されています。カプセルは一人分のデスクスペースほど大きさですが、映像の反射により空間が無限に続いているような錯覚を起こします。

 

土佐教授のビデオアート「Sound of Ikebana」

心音のサウンドが流れる中で6分間、土佐教授のビデオアート「Sound of Ikebana」を鑑賞します。この映像は、航空機を用いた微小重力環境下で作られました。“無重力”の状態で鮮やかな色彩の液体に音の振動を与え、さまざまな色が融合しながら飛び上がる様子を1/2000秒の高速度カメラで撮影するというものです。カプセル内は不規則に動き続ける液体の映像で満たされ、体験者はまるで浮遊している感覚になります。

アートの力を活用する時代へ

京都大学 防災研究所 巨大災害研究センター 土佐尚子 特定教授

京都大学 防災研究所 巨大災害研究センター 土佐尚子 特定教授

 

「Zero Gravity Art」カプセルや今後の研究について、土佐教授は次のように話します。

「Zero Gravity Art」は、母親の羊水の中で心音を聞いて浮遊していた胎児の頃の記憶をコンセプトにしています。大阪・関西万博で実際にその浮遊感を体験いただき、生命の誕生と未来を感じていただきたいと思います。

私は、アートが人間の心にどのように作用するか、ということに強く興味を持っています。2022年からの島津製作所との共同研究は、この作品を鑑賞して「浮遊感」や「安心感」を認識したり「美しい」や「感動」を感じる際、人間の頭の中では何が起こっているのかを科学的に計測するために始めました。

例えば、ある絵画を見てどう感じるかは、その時の気分も影響します。今後取り組みたいのは、その反対で、それを鑑賞することでメンタルを変化させるような“能動的”なアートを作ることです。さらに、一人ひとりの心身の状態にあった作品を提示できるようになればと考えています。「Zero Gravity Art」カプセルは、アートの力を活用する時代の幕開けの象徴でもあるのです。

2022年の「Shimadzuみらい共創ラボ」開所の際、土佐教授からいただいたメッセージ動画。
同ラボのエントランスにある330インチのディスプレイでは「Sound of Ikebana」を上映している。

感性や脳機能の計測に取り組む島津製作所

当社・基盤技術研究所の脳五感ユニットでは、NIRS(近赤外分光法)やHuME(マルチデバイス生体計測システム)などの生体情報計測技術を使って、さまざまな体験におけるヒトの反応を客観的に評価するソリューションの提供を目指しています。

写真奥にあるのが「Zero Gravity Art」のカプセル(制作中の状態)

写真奥にあるのが「Zero Gravity Art」のカプセル(制作中の状態)
写真左から京都大学防災研究所 中津良平特任教授と土佐尚子特定教授、
当社・基盤技術研究所脳五感ユニット グループ長の古田雅史とユニット長の務中達也

アート鑑賞のような人間の主観的な体験は、その時の心身の状態や好みに影響されるため科学的に解析するのは非常に難しく、現在はアンケートで得た回答のデータ解析が主流です。土佐教授らとの共同研究ではアート鑑賞時の脳波を解析し、鑑賞者のα波とβ波の両方の活動が高まっていること、言い換えると鑑賞者がリラックスしながら覚醒(集中)している「瞑想状態」に近い状態にあることを示唆する結果を得ました。

大阪・関西万博に向けた特別仕様の光脳機能イメージング装
製作に関わった分析計測事業部、総合デザインセンター、営業本部のメンバー

大阪・関西万博に向けた特別仕様の光脳機能イメージング装置と、
製作に関わった分析計測事業部、総合デザインセンター、営業本部のメンバー

 

大阪・関西万博での「Zero Gravity Art」カプセル鑑賞時には当社の光脳機能イメージング装置(NIRS)を装着して脳血流を計測し、最も脳が反応していたシーンと脳活動マップを見ることができます。会場で使用するNIRSは大阪・関西万博のための特別仕様で、現地でオペレーターが簡単に操作・着用できるように設計を変更し、システムを簡素化しています。

NIRSを用いて、脳が反応していた作中のシーン(左)と脳活動マップ(右)を確認できる

NIRSを用いて、脳が反応していた作中のシーン(左)と脳活動マップ(右)を確認できる

「Zero Gravity Art」カプセルは2025年4月13日(日)~ 10月13日(月)まで、大阪・関西万博で会期を通して展示しています。

 

URLをコピーするタイトルとURLをコピーしました
他の記事も見てみる