2022年に発売50周年、綺麗な水や環境を守るTOC計
今年2022年は、島津製作所が全有機体炭素計(TOC計)の販売を開始してから50年という節目の年です。当社にとって最初のTOC計発売は1972年のことでした。
以降、水質検査などに欠かせない装置として広く利用されています。今回は、TOC計についてご紹介します。
TOC計とは?
TOC計を利用すると、水に含まれた有機物の量がわかります。水中の有機物量は、水の汚染度の指標となります。
TOC計は、有機物を構成する炭素の総量(Total Organic Carbon)を測定しています。この炭素の量から、有機物の量を算出する仕組みです。
当社は、ラボで使用するモデルと、水質の連続監視に長けたオンラインモデル、双方を提供しています。特にラボ用モデルは、世界トップクラスのシェアを有しています。
ラボ用全有機体炭素計「TOC-Lシリーズ」
TOC計が活躍する分野
水質の測定に役立つTOC計は、例として次のような分野・業界で使用されます。私たちが口にする水や環境を守るのに貢献します。
分野・業界 | 測定するサンプルの例 |
---|---|
上下水道 | 水道水、浄水処理された水 |
環境 | 海、河川、土壌 |
製薬 | 高純度な純水、洗浄水 |
半導体 | 洗浄用の超純水 |
製造全般 | 工場排水、洗浄液、めっき液 |
TOC計開発担当者の声
TOC計を開発する、分析計測事業部 環境ビジネスユニットの担当者の声をご紹介します。
1972年、水の汚染度を示す新しい装置として、水質連続自動観測機「TOC-100」、および
実験室用の全有機体炭素計「TOC-10」を開発・販売したのが、当社TOC計の始まりです。その後、自動試料注入機構の採用、固体試料や揮発性有機体炭素(POC)、全窒素(TN)
測定が行える機能を追加し、グローバルなトップブランドの地位を確立しました。当社TOC計の用途は、初期には環境水や産業排水など水質保全が主体でしたが、その後性能向上に合わせて用途が拡大し、現在は純水や超純水の管理、水道水の水質基準、医薬品製造管理/評価、カーボンニュートラルの研究等で幅広く活躍しています。
50年の歴史で培った技術を継承し、今後も世界の水質測定分野で貢献していきます。
カーボンニュートラルの分野においては、CO2を吸収する特殊なコンクリート素材の研究開発にも使用されています。コンクリートが吸収したCO2の量をTOCで評価できます。
水道水との関係や、当社における歴史については「TOCアカデミー」で詳しくご紹介しています。