fNIRSによる脳機能計測から運転時の様々な状況を評価する

その他のソリューション

自動運転の開発過程において、乗っている人がクルマの運行をどのように感じているのかを可視化し、検証することは非常に重要です。そんなとき、fNIRS(functional Near-Infrared Spectroscopy:機能的近赤外分光分析法)が役立ちます。fNIRSは近赤外光を用いて大脳皮質中の血中ヘモグロビンの動態を計測し、脳機能の活動量の変化をリアルタイムに可視化できる技術です。
fNIRSは、非侵襲で人体への拘束も少なく被験者の体の動きを制限しないため、ドライビングシミュレータを使った走行実験などでも装置を装着しながら普段に近い状態での計測がおこなえます。島津製作所は装置を小型化することにより、より自然な環境で脳活動を可視化することを実現しています。

fNIRSを用いたドライビングシミュレータにおける
自動運転時の脳機能計測

ドライビングシミュレータを使って、「運転支援あり」および「運転支援なし」の条件で車両を追従する課題を実施し、fNIRSによる脳機能計測をおこない、走行状態を記録しました。

【 図1 運転支援無しの条件における酸素化ヘモグロビン変化 】

【 図2 運転支援有りの条件における酸素化ヘモグロビン変化 】

運転支援なしの条件では、運転中に前頭葉の両背側部が賦活しました(図1)。一方、運転支援ありの条件では、運転支援なしの条件よりも前頭葉の賦活は小さいことが示されています(図2)。
このように、fNIRSを用いることで走行時のドライバーの脳活動を可視化することが可能になります。

自動運転における安全性・安心性・快適性などの向上をfNIRSが支援

fNIRSによる脳機能計測で、「自動運転時のドライバーへの情報提示が誤認や混乱を招くものになっていないか」「ドライバーへの運転権限の移行が問題なくおこなえているか」「ブレーキや車線変更のタイミングがヒトに近い制御になっているか」など、スムーズでわかりやすい運転制御プログラムの開発を支援します。また、自動運転の操作設定が直感的におこなえるかなど、システムの使いやすさ向上にも寄与できます。
これからの自動運転技術をいかに人に寄りそったものにしていけるか、その鍵を握るのは人の感性の可視化であり、fNIRSはその方法の1つとして開発へのヒントを提供します。

関連論文をダウンロードいただけます

関連リンク