ヘリウムリークディテクタによる
EV用電池の漏れ検査
モビリティの電動化と高効率化

モビリティの電動化が進むことで、車載用電池の需要がますます高まっています。現状普及しているリチウムイオン電池が、安全・安心に利用されるには、電池の内部物質が漏れないように筐体が密封される必要があります。

電池の漏れ検査(リークテスト)を支えるヘリウムリークディテクタ

そうした安全・安心な電池の生産を支える技術のひとつに、ヘリウムリークディテクタがあります。ヘリウムリークディテクタとは、ヘリウムガスをサーチガスとして検査対象に吹き付けたり圧入したりし、ヘリウムイオンを検出することで検査対象の漏れを検出する装置です*

  • 【図 ヘリウムリークディテクタ】

*検査方法は、内部を真空にした検査対象(試験体という)に外側から吹き付けたヘリウムガスの試験体内への漏れを検出する方法や、チャンバーと呼ばれる真空容器の中に、内部をヘリウムガスで満たした試験体を入れ、チャンバー内に漏れてきたヘリウムをリークディテクタで検出する方法など、試験体の性状に合わせて様々な方法があります。

なお、ヘリウムリークディテクタは、電池に限らずあらゆるものの“漏れ”を検出できる装置で、さまざまな機器や部品の検査にご使用いただけます。

ヘリウムリークディテクタの仕組み

ヘリウムリークディテクタは、装置に取り込んだガスから分析管でヘリウムを検知することで漏れを測定します。

装置に取り込まれたガスは、イオン化され、イオンコレクタに到達すると検出されます。イオンが通る軌道はイオンの質量によって異なることを利用し、ヘリウム以外のガスに由来するイオンを途中でふるいに掛けられることで、ヘリウムガスに由来するヘリウムイオンだけを検出することができます。

ヘリウムリークディテクタが乗り越えるべき課題

近年、より微細な漏れも検出できるよう一層の高分解能での測定が求められるようになってきました。しかし、検出感度を高くしていくと、漏れに起因しないヘリウム以外のごく微量のガス(測定ノイズ)まで検出することが課題でした。一般的な偏向角90°や180°の分析管では、ヘリウムイオン以外のイオンもイオンコレクタに到達することがあり高精度な検出の妨げとなっていました。

また、大きな漏れを検出した後、装置内にヘリウムが滞留(バックグラウンドという)すると正しく検査できません。モビリティの電動化によって電池の生産が増えることで、リークテストの高速化のニーズも高まり、バックグラウンドからの短時間での回復が求められるようになってきました。

高精度・高速測定を実現した島津製作所のリークディテクタ

島津製作所のヘリウムリークディテクタは、独自技術である偏向角270°の分析管によってこれらの課題を解決する、高精度・高速測定を実現しました。

  • 【図 偏向角270°分析管の構造】

偏向角270°の分析管は、90度、180度のものよりもヘリウム以外のイオンの選別を高精度に行うことができ、さらなる高分解能での測定が可能となります。

また、島津製作所のヘリウムリークディテクタは、リーディテクタ専用に開発したモレキュラードラッグポンプの採用により、装置内のヘリウム濃度を検査前の状態に素早く戻す優れたバックグラウンド回復能力も実現することで、検査スピードを向上させています。

高精度検出を可能にする偏向角270°の分析管を実現するためには、高い技術が必要となります。島津製作所が1954年に日本初のヘリウムリークディテクタを開発して以来、積み重ねてきた技術的ノウハウと独自の電磁界シミュレーションを駆使することで、偏向角270°の分析管を開発しました。

全自動リークテストシステム

島津製作所ではヘリウムリークディテクタ単体での販売だけでなく、量産工場用には、複数のリークディテクタと自動搬送機を組み合わせたリークテストシステムや、ヘリウムガス回収機も提供しています。

  • 【図 ヘリウムガス供給回収システム+リークテストシステム】

全固体電池への対応も進める

電動車に搭載される次世代電池と目される硫化物系全固体電池についても、ヘリウムリークディテクタでの検査が必要となるとみられており、島津製作所ではその適用の検証を進めています。

※当社のヘリウムリークディテクタは、ヘリウムガスの代わりに水素ガスを使用した検査にも対応しています。

※本製品は島津産機システムズ株式会社にて製造・販売をしております。