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(注)所属・役職および研究・開発、装置などは取材当時のものです。

Special edition “Made in Japan”

新たな世界へ。自分の殻を破ろう

人格の形成は30歳を前にしてほぼ完成するというのが、現在の学説となっている。
たしかに自分の性格や性分はなかなか変えられるものではないのかもしれない・・・。
しかし、心の成長や、より深化した人格の形成は本当に不可能なのでしょうか?

世界のTOPで活躍するスポーツ選手や芸術家と同様、ビジネスの世界で新たな挑戦をしたり、環境の違う世界で活躍したりする人は、常に自分の心の向上を図らなければなりません。
その心の向上を邪魔するのが、自分と自分を取り巻く社会で、多くの人の共通した認識である「大人の常識」。まず、「物事はこうあるべきだ」とか、「こだわり」といったものから、自分を解放してみましょう。

大人になってからの挑戦者

オーストリアの作曲家アントン・ブルックナーは、32歳の時に本格的な作曲の勉強に取り組み、57歳の初演で、かの有名な「交響曲第四番ロマンティック」を発表し世に認められました。カーネルサンダースがフライドチキンを始めたのは40歳のときです。伊能忠敬が日本地図作成に挑んだのが57歳。風林火山の主人公、山本勘助が武田晴信(信玄)に仕官したのは42歳です。
こうした偉人の人生から見えてくるのは、大人になってからの挑戦でも人生を大きく変えることができるということです。

ストレスと友達になる

私たちは、ストレスと感じることを、楽しみに変えてしまう人に出会うことがあります。例えば、何かに失敗してどん底の状態になっても、そのどん底の経験を人生の糧として、新たな一歩を踏み出し、自由に生きようとしている人です。
ストレスは、一般的には外からの圧力と考えますが、実は自分に対しての「危険」を自分自身がどう捉えるかによるのです。この捉える力は、その人の気質と経験によって異なってきます。

情報と経験によって、新たな「判断」

例えば、目の前に一万円札が落ちていたとします。日本人ならたぶん拾います。しかし、一万円札をお金だとは知らない外国の人だったらどうでしょう。一万円を目にしてもその価値は見出せないでしょう。この違いは何でしょうか。一万円札という情報を頭にインプットし、その情報に基づいて判断をするかどうかの違いなのです。
人生にもこのことが言えます。今まで知らなかったことを知り、それが自分の人生の中でどのような意味を持つのかを判断する。その判断力の違い(新しい価値観)によって、さらに精神的な発展を遂げることができるのです。

レッツ、トライ!自分を変える3つの「心の能力」

常識にとらわれない、新しい自分を生み出すための能力、つまり人生の拡大力を持ちましょう。

1.「自分」から一歩離れることのできる能力を身に付ける

これは、自分を客観視できる能力のことです。苦しい出来事に遭遇しているとき、そこに埋没するのではなく、苦しんでいる自分から離れ、その自分を客観視することです。自分を客観視する訓練をしてみましょう。

2.絶望することができる能力を身に付ける

これは、事態の深刻さを正面から受け止める能力です。「絶望」すなわち「どん底にいる自分」を認めることにより、新しい道を探そうと方向転換ができるのです。物事にとらわれない訓練をしてみましょう。

3.純粋性を感じることができる能力を身に付ける

これは思い込みや過去の常識に縛られないで、新しい心の動きを感じることができる能力です。こだわりを捨て、常に新鮮な子どものような感性で物事をみる訓練をしましょう。

チェックリストあなたは、挑戦を楽しめるタイプ?

各設問の当てはまるランクに○をつけてください。
その点数の合計点で、あなたの「大人の常識」からの脱皮度が分ります。

監修:

高橋 和巳(たかはし かずみ)

精神科医。医学博士。1953年生まれ。慶應義塾大学文学部を中退。福島県立医科大学を卒業後、東京医科歯科大学精神医学教室に入局。その後、都立松沢病院 精神科に勤務。同院精神科医長を退職後、現在はクリニックでカウンセリングや家庭問題のグループセラピー、カウンセラーへのスーパーバイズなどを行っている。著書に、『新しく生きる』(三五館)、『心を知る技術』(筑摩書房)などがある。

(注)所属・役職および研究・開発、装置などは取材当時のものです。