カーボンニュートラルの実現を支える
「海底センシング技術」の開発

いま、カーボンニュートラル実現に向けて世界中が再生可能エネルギーの活用に取り組んでいます。特に注目を集めているのが海上で風力発電を行う「洋上風力発電」で、欧州や中国を中心に導入が進んでおり、日本でも実用化に向けてルールを整備するなど、取り組みが加速度的に広がっています。
洋上風力発電で生み出された電気は、海の下を通る「海底送電用ケーブル」によって運ばれています。海底送電用ケーブルは通常、海底の数メートル下に埋設されていますが、潮流や海底地形の変化によって浮上・露出してしまうと漁船による底引き網や大型船舶のアンカーにより損傷したり断線したりする可能性が高まります。ひとたび故障すれば多大な修復コストがかかるだけでなく、人々の生活に関わる重大なリスクになり得るため、長期的に安定稼働するためには埋設深度測定を含む保守点検が欠かせません。

汎用磁気センサ「MB150」「MB150S」
そこで、産業機械事業ジオサイエンス部では、海底送電用ケーブルの正確な埋設深度や位置を測定する「磁気センサ」を開発しています。水中ロボットに搭載するため船や人の手配を必要とせず、保守点検作業の負担が軽減されます。
磁気センサの開発を進めるジオサイエンス部の瀬尾真之助は「当社の磁気センサの強みは小型かつ省エネであることですが、課題は、水中ロボットの動揺によるノイズやスクリューの回転によるノイズ、地球が持つ磁性によって生じるノイズなど、不必要なデータを測定してしまう点です。実験データを組み合わせて機械学習することでノイズを除去し、海底ケーブルの埋設深度を高精度に測定できるシステムを確立することが重要でした」と話します。
磁気センサのさらなる高感度化に向け、
英エジンバラ大と共同研究を開始
そこで2026年2月にイギリスのエンジンバラ大学と共同研究を開始し、水中ロボットやその構成品から発生する磁気ノイズを高度に除去・低減して、海底ケーブルの埋設深度や位置を測定するアルゴリズムの開発を進めています。

エジンバラ大学(英・スコットランド)
エジンバラ大学は、AI・機械学習において世界トップレベルの実績を持つだけでなく、海洋ロボティクス分野においても深い知見を持ちます。当社の磁気センサ技術を融合させることで、2028年度内の実用化を目指しています。
エジンバラ大学とのプロジェクトを企画・推進する事業企画部の柏尾恭司は「海洋分野における主戦場は海外です。エジンバラ大学との連携を軸に技術開発を進めるとともに、欧州市場への足掛かりとしたい」と意気込みます。
「地球を科学する」ジオサイエンス部の挑戦

ジオサイエンス部のメンバー。前列左から柏尾恭司(産業機械事業部 事業企画部)、瀬尾真之助、西村直喜。
ジオサイエンス部は2024年4月に「地球を科学する」部署として新設され、現在は14人が所属しています。磁気センサの他にも、水中での高速通信を可能にする水中光無線通信装置「MC500」や、海洋構造物の腐食を検知するUEP測定器「CF100」など、海をフィールドとした製品を多数提供しています。
ジオサイエンス部 部長の西村直喜は、「近年、洋上風力及びレアアースなどの海洋における資源の開発が進んでいるものの、現場では人を介した作業が多く、海洋構造物の点検ではダイバーが海に潜って作業をし、作業船から測定器を垂らしているような状況です。ジオサイエンス部では今後もグローバルな海洋事業を展開し、海洋開発のDX(デジタルトランスフォーメーション)実現を目指していきます」と語ります。
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