黄金の10年に向けて インドでの事業体制強化
爆発的な経済成長を遂げ、世界中から注目を集めているインド。島津製作所は同国における販売・製造体制の強化に取り組んでいます。今回は、インドでの事業活動についてご紹介します。
“黄金の10年”を迎えたインド
インドは、日本の約8倍の国土に14億人以上の人口を抱える大国です。実質GDPの成長率は近年6~7%と高水準を維持し、世界最大級の市場規模を誇ります。人口増加による中間所得層の成長や技術投資は今後も進むとみられ、大きな経済成長が期待されています。※
数ある主要産業の中で存在感を放つのが、医薬品産業です。かつて貧困層に安価な薬を届けるため多くの製薬企業が立ち上がりました。今日では、ジェネリック医薬品の生産拠点として世界でも重要な位置を確立しています。米国食品医薬品局(FDA)の認可を受けた医薬品工場数は、米国を上回り世界1位です。医薬品の製造工程では、規制に則った厳しい検査や品質管理が求められるため、多くの分析機器が使用されます。また、人口増加や生活水準の向上により、食品・農産物の品質検査や大気・水質など環境測定のニーズが急拡大しています。さらに都市部では、民間医療機関を中心に先進的な医療機器の需要も高まっています。
※外務省「インド共和国基礎データ」(令和7年6月13日付)より
体制の強化にむけた3つの挑戦
当社は、インドの代理店を通じた販売活動を50年以上展開しています。また、2000年代に販売グループ会社を設立して以降、20年以上にわたり現地顧客との関係を築いています。 そして現在、インドでの販売・製造体制を強化するため3つの取り組みを進めています。
1. ムンバイに新オフィスを開設
今年4月、インド最大級の商業都市ムンバイに新オフィスを開設しました。ムンバイ国際空港から近く、国内外のアクセスが良好なエリアに位置します。100名以上を収容可能なホールを有し、広さは旧拠点の2倍以上になりました。質量分析計をはじめとする最新の分析機器を揃え、顧客が当社装置の操作方法を学べるトレーニングルームやデモンストレーションを行うスペースを備えたラボも併設されています。


SIPの新オフィスの様子
2. 新会社「SIP」の設立
当社は2001年に医用機器の販売会社を、2005年に計測機器の販売会社を設立して、営業やサービスを提供してきました。この2つの販売会社を統合して「Shimadzu India Private Limited(SIP)」を設立します。2つの組織がひとつになることで、主にガバナンス体制の強化と、メドテック事業の拡充を図ります。
3. ベンガルールに新工場を建設
新たな生産拠点としてShimadzu Manufacturing India Private Limited(SMI)を設立し、インド南西部のベンガルールに新工場を建設中です。2027年春の稼働を目指しています。「インドのシリコンバレー」と呼ばれるベンガルールは、人口1,200万人を超えるハイテク産業とスタートアップの中心地です。IT技術者も多く居住しており、現地での人材確保も期待できます。新工場では、液体クロマトグラフや質量分析装置などの製造を予定しています。当面はインド国内向けに供給しますが、将来的にはアジア・アフリカ・中東へ向けた輸出も計画されています。
SMI完成予想図(イメージ)
現地パートナーとともに未来へ
新オフィスの開所や当社の創業150周年を祝うため、インド現地で様々な記念イベントが開催されています。6月17日には、現地パートナーや関係者を招いた新オフィスツアーと祝賀パーティーを実施しました。在ムンバイ日本国総領事をはじめ約180名以上が来場し、会場は熱気に包まれました。
新オフィスツアーでは、4階のラボエリアと5階のオフィスエリアを担当者が案内し、その後いくつかのトピックに沿った意見交流会が行われました。祝賀パーティーは、楽器による生演奏やインドの伝統的なダンスショーを行い、顧客や従業員、パートナーへの感謝が表明されました。SIP 社長の阪本は、「私たちはインドの“人”によって支えられてきました。心から感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。インド社会の発展に私たちのソリューションで一層貢献してまいります。」と述べました。また、島津製作所の創業150周年を記念したアニメーションも披露され、会場は大きな拍手に包まれました。

新オフィスツアーの様子

祝賀パーティーでは伝統的なダンスで来場者をもてなした
祝賀パーティーの様子
