カーボンニュートラルを目指す島津製作所の取り組み
6月は環境省が定める環境月間です。環境保全への理解を深め、活動への意欲を高める目的で制定されました。
島津製作所は「2050年に、当社グループの事業活動で排出するCO2排出量を実質ゼロとする」という目標を掲げ、さまざまな活動を行っています。
世界の国々が目指す「カーボンニュートラル」
猛暑や豪雨といった気候変動は、地球温暖化によって引き起こされていると考えられています。地球温暖化は、産業の発展にともなってCO2などの温室効果ガスの排出量が増加したことが原因だと言われており、その排出量をできる限り少なくすることが急務です。
そんな中、「カーボンニュートラル」という言葉を耳にすることが増えています。「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの排出量から、森林などが吸収する量を差し引いた合計が実質ゼロになる状態のことです。
なぜ「カーボンニュートラル」を目指すのか。転機となったのは2015年に採択された「パリ協定」でした。2020年以降の取り組みとして「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」ことを世界中の国々の共通目標として掲げました。気候変動防止に必要な1.5度目標達成のためには「2050年近辺までのCO2の世界の排出量を実質ゼロ」が必要という報告が国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「1.5度特別報告書」でされています。
この取り決めが策定されて以降、日本を含む国々や企業は、カーボンニュートラルの実現を表明するなど取り組みが加速しました。
島津製作所が目指す、2050年の姿
そうした流れを受けて、島津製作所でも「2050年に、当社グループの事業活動で排出するCO2排出量を実質ゼロとする」という目標を掲げ、徹底した省エネと再生可能エネルギーの導入を進めています。
2017年に5万トン近く排出していたCO2を、2021年に約2万トン、2023年には約1万トンにまで削減しました。2030年には、7千トン程度まで減らすことを目標にしています。
電力の見える化による省エネ
効果的な省エネ対策を実施するため、消費電力の見える化を進めています。国内の工場の主要拠点にはスマートメーターを設置して、消費電力と設備稼働のデータをリアルタイムに見ることができるようになりました。また、省エネ診断などを活用することで、無駄なエネルギーの削減に努めています。
クリーンな「再生可能エネルギー」へと切り替える
CO2削減策の肝となっているのが、再生可能エネルギー(再エネ)への転換です。再エネとは太陽光や風力、バイオマスなどの自然エネルギーを活用して電力などを作り出したもので、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できるエネルギーです。事業活動に必要なエネルギーを再エネ由来のエネルギーに切り替えることができれば、CO2を大幅に削減できます。島津製作所では、2021年に工場などで使用する電力を再エネ電力に切り替えました。
さらに工場や拠点への太陽光パネルを設置し、自家発電も進めています。これらの取り組みにより、2023年度はグループ全体の電力使用量ベースで85%の電力が再エネ電力となりました。
2022年に新設した基盤技術研究所(みらい共創ラボ・けいはんな)の上空写真
マレーシアの分析工場SMA
(Shimadzu Manufacturing Asia Sdn.Bhd.)
医用機器工場の島根島津
2つの「森」を管理
また、島津製作所では2つの森を管理しています。本社・三条工場(京都府京都市)内には敷地面積約 8,000m2の「島津の森」を整備し、地域在来種を含む約100種・1,100 本の草木を植えています。
さらに、2008年に京都モデルフォレスト運動に参画して、京都府南丹市での「島津製作所の森づくり活動」を継続しています。社員やその家族が森の整備や植樹を実施するほか、自然の中での環境教育とともに、森林や生態系の保全に取り組んでいます。
統合報告書を発行しました
※画像をクリックすると統合報告書の掲載ページへリンクします。
今回は、島津のカーボンニュートラルへの取り組みについてご紹介しました。
そのほかの環境に関する取り組みは、島津グループの企業活動が分かるレポート「島津 統合報告書2024」(6月26日発行)に掲載されています。ぜひご覧ください。