2023.08.10

「国際物理オリンピック(IPhO2023)」に協賛!
島津理化は試験用実験装置を製作

島津製作所は、7月10日~17日に、国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都)で開催された「国際物理オリンピック2023 (以下、IPhO2023)」に協賛・ブース出展しました。また、グループ会社の島津理化は、実験問題試験で使用される実験装置の製作を担当しました。同大会や当社ブースについてご紹介します。

 

 

国際物理オリンピックとは

国際物理オリンピック(International Physics Olympiad:IPhO)は、世界の高校生等を対象とした国際的な物理学のコンテストです。開催目的は、物理学への興味や関心、能力を高め合うこと、国際交流を通じて参加国の物理教育を発展させることとされています。その目的のもと、大会期間中の選手たちは試験問題に取り組むほか、開催国の文化にちなんだ様々なイベントを体験します。

IPhOは1967年にポーランドで開かれた第1回大会以来、ほぼ毎年開催されています。53回目となる今回は初めての日本開催で、約80の国と地域からおよそ400名の選手が物理学の難問に挑戦しました。

島津製作所ブースでクロマトグラフィー体験

会場には「科学技術体験コーナー」が設けられ、当社ブースでは物質を成分ごとに分離する手法「クロマトグラフィー」を用いた3つの実験を行いました。

実験名 内容
ペーパークロマトグラフィー 水性ペンの黒色インクに含まれる色材成分の分離観察
カラムクロマトグラフィー 上記色材成分の分離観察と分取(成分ごとに取り出す)
カフェインの定量 当社最新の超高速液体クロマトグラフである「Nexera シリーズ」で、お茶やコーヒーなど各種飲料に含まれるカフェインの量をはかる

ペンのインクを分離・分取する様子

ペンのインクを分離・分取する様子

選手たちは説明員にクロマトグラフィーや装置に関する理論説明を受けながら、当社の分析技術を体験しました。ブースには3日間で約100名の選手が来場しました。

島津理化が試験用実験装置を製作

IPhO2023の試験には実験問題と理論問題があり、そのうち実験問題試験用の実験装置2種を島津理化が製作しました。

この実験問題の試験時間は5時間で、2つの課題が用意されています。いずれも、与えられた実験装置を組み立て、問題用紙に書かれたヒントを参考に操作し、装置が示すデータから答えを導き出すというものです。

島津理化は、大学教員らによって考案・製作された問題と試作機をもとに、品質やコストを考慮しながら設計・量産を行い、約450セットを会場に届けました。

「発振器」のはたらきをする実験装置。質量をはかる課題で使用された

「発振器」のはたらきをする実験装置。質量をはかる課題で使用された

 

「複屈折」という光学的な現象を用いて厚さをはかる実験装置

「複屈折」という光学的な現象を用いて厚さをはかる実験装置

島津製作所の担当者から

当社のブースでは物理学の若き精鋭たちに、分析科学の大きな柱であり当社のコア技術のひとつでもある「クロマトグラフィー」を体験してもらいました。どの選手も知的好奇心のかたまりで、簡単な実験から最新の機器分析の操作まで興味津々で参加してくれました。

次々と発せられる高度な質問(しかも英語)にたじたじとなる場面もありましたが、一生懸命に、かつ楽しそうに実験に取り組む様子は万国共通でした。出展者としても「科学って楽しい!」との思いを新たにした、嬉しい機会となりました。

島津理化の担当者から

3年前から本大会に向け、実験問題試験を考案された先生方のご指導のもとで実験装置を開発してきました。一番困ったのは新型コロナウイルス感染拡大に伴い、各種部品・材料が入手困難になったことや、それらの価格が大きく変動したことです。そのため何度も設計の見直しを行いましたが、その都度関係者で知恵を出し合った結果、開発において一番大切にしてきた「安全性」「均一性」に優れた装置を完成させることができました。

大会当日は選手たちが皆集中して実験問題に取り組む姿を見ることができました。この中から世界の物理学を牽引する人材が出てきて、その方たちの記憶に残る大会と実験問題試験であると嬉しく思います。

 

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