2023.07.20

鉱物の輸出前評価に貢献
モンゴルでの営業活動を開始

島津製作所は、世界の約140カ国※1へ製品を販売しています。2022年には現地販売代理店を通じてモンゴルでの分析機器の販売を開始しました。今回は、同国での事業活動についてご紹介します。

  • ※1 2022年度当社販売実績

 

 

鉱物の国 モンゴル

モンゴルは、北はロシア、南は中国に接する内陸国家です。2021年時点での名目GDPは約44兆トグログ(約154.4億米ドル)であり※2、今後さらなる経済成長が想定されている国の一つです。

国土は日本の約4倍、約156万平方キロメートルです。広大な土地を活用したカシミヤ・ウールなどの畜産業や軽工業が発展しています。主要産業の中でも大きな割合を占めるのが鉱業で、鉱物資源に富むモンゴルでは、鉱業が輸出金額の9割を占めています(2020年時点)。主な鉱物は石炭、銅、ウラン、モリブデンなどで、タングステンを含むレアメタルも採掘されています。

モンゴル国内で鉱物の輸出許可を取得している企業は100社以上あります。輸出の際には主成分や不純物などを分析したデータの取得が必須です。受託分析機関を活用する企業も多くありますが、近年は自社で行うために分析機器への関心が高まっています。

高まる需要に応えるために

分析機器は日々のメンテナンスが欠かせず、操作方法のサポートをするためにも地域に密着したサービス体制が必要です。2021年以前も、分析機器の導入に関する問い合わせを受けることはありましたが、本格的な事業活動を展開できずにいました。

当社はアフターフォローを含めた製品・サービスを届けるべく、2022年にモンゴルの理化学販売業のCIT社と代理店契約を結びました。2006年に設立された同社は、2014年から日系医療機器メーカーの販売サービスを手掛ける、モンゴルにおける医療機器販売の中堅企業です。日本企業とのビジネス経験もあるCIT社を通じて販売することで、積極的にサービス提供を行う体制を整えています。

本格的にモンゴルのお客様へ当社製品やソリューションを提案するため、2023年よりCIT社へのセールストレーニングを開始しました。4月には、CIT社幹部や営業担当ら計4名が当社本社にて製品知識を身に付けるための座学研修に臨みました。この他、オンライントレーニングや、製品据付やトラブル対応にあたるサービス担当者育成に取り組んでいます。

ウランバートル市内のCIT社外観と事務所の様子

ウランバートル市内のCIT社外観と事務所の様子

ウランバートル市内のCIT社外観と事務所の様子

2023年4月に行われたラボ見学の様子

鉱物の品質管理や獣毛の鑑定まで

当社の分析機器ラインナップの中で、今後モンゴルでの活躍が見込まれる分析機器をご紹介します。

その代表格「エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDXシリーズ)」は、採掘した鉱物に含まれる元素を測定できます。主成分や不純物を確認することで、産地の鑑定が可能です。

EDXシリーズは鉱業だけでなく、地球科学での研究にも活用されます。岩石の一部である鉱物は、数億年以上の歳月をかけて形成されています。鉱物の元素の分布や構造を測定することで、地球環境の変遷の解明につながります。

マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)では、カシミヤに含まれる成分から獣毛を識別し偽装防止や混入異物の検査に役立ちます。MALDIとは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法の略称であり、当社エグゼクティブ・リサーチ フェロー 田中耕一のノーベル化学賞受賞理由となった技術です。

当社・モンゴル地域営業担当である主任の奥山は、「代理店のCIT社は、持ち前の営業力を活かし積極的に市場開拓を進めています。モンゴルでは鉱業が基幹産業ですが、官庁や製薬業界においても多数ご用命をいただいており、分析計測機器ビジネスにおいて大きな伸びしろがあると感じています。モンゴルでNo.1のブランドを目指し、CIT社と協力してまいります」とコメントしています。

2023年4月に実施した当社本社訪問 エントランスにて(左から順にバヤムフ博士、当社海外営業部モンゴル担当 奥山主任、CIT社ゲレルマ社長、当社分析計測事業部 石橋副事業部長と当社スタッフ)

2023年4月に実施した当社本社訪問 エントランスにて
(左から順にバヤムフ博士、当社海外営業部モンゴル担当 主任・奥山、CIT社ゲレルマ社長、当社分析計測事業部 副事業部長・石橋と当社スタッフ)

 

当社はモンゴル市場において、これまで培ってきた技術力と経験を活かし、最適なソリューションを提供します。また、世界各地のニーズに合わせた製品ラインナップやアフターサービスの充実に尽力してまいります。

 

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