安全で快適なフライトを支える島津製作所の航空機器
12月17日は「飛行機の日」!
12月17日は「飛行機の日」です。アメリカ・ノースカロライナ州で1903年12月17日にライト兄弟が動力飛行機による有人飛行に世界で初めて成功しました。
島津製作所が航空機器も手がけていることをご存知でしょうか? 安全で快適なフライトに貢献している航空機器事業についてご紹介します!
島津製作所の航空機器事業における主要製品
当社の航空機事業の柱は、フライトコントロールシステム、エアマネジメントシステム、コックピットディスプレイシステムです。航空機搭乗者にとって安全な飛行や快適な環境の実現、負荷の軽減に貢献します。こうしたシステムや部品を機体メーカーや防衛省に供給しています。
フライトコントロールシステムとは
フライトコントロールシステムは、航空機体の上昇や下降、旋回などの動きを安定して行えるよう、フラップやスラットといった操縦舵面をコントロールするためのシステムです。
航空機の飛行経路や機体の姿勢は、パイロットがフライトコントロールシステムを介して各操縦舵面を操り、必要に応じてエンジン出力を調整する事で制御されます。
エアマネジメントシステムとは
エアマネジメントシステムは、航空機内のエンジン抽気から与圧までの空気に関わる系統の総称です。抽気系統、防氷系統、空調系統、与圧系統などからなります。
このうち、空調・与圧系統は、機内環境を適正に維持する機能を司ることから環境制御システムとも呼ばれ、機内の換気、与圧、温度調整を担っています。
コックピットディスプレイシステムとは
コックピットディスプレイシステムは、高速かつ高機動で飛行する航空機において、パイロットが外界と飛行情報を容易に把握できるようにする光学表示装置です。
当社はヘルメットマウントディスプレイ(HMD)、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、ヘッドダウンディスプレイ(HDD)といった光学表示器を提供しています。
高度な電子技術、光学技術を駆使し、パイロットの負荷軽減や安全性の確保を支えています。
島津製作所の航空機器事業の歴史
国によるジェット機の国産化計画が立ち上がったことに伴い、当社は、1955年に空調装置などの製造を開始しました。翌年には米国のギャレット社(現・ハネウェル社)と技術提携し、航空機部門を発足させました。そして、1957年に航空機事業部を設立して本格的な事業化を進めました。
1961年には、戦後初の国産旅客機「YS-11」にフラップ・アクチュエータ他を納入しました。
その後も、ボーイング社へ様々な機器を納入するなど実績を重ねてきました。
海洋機器や磁気計測機器も開発
島津製作所の航空機器事業部では、現在、水中光無線通信装置や磁気探知器、磁力計といった製品も手掛けています。
磁気探知器は、鉄やニッケルといった強磁性体の金属で構成されている物体を探査する装置です。鉄管や砲弾、凶器、沈船などの探査に利用されます。磁力計は、地磁気観測や磁性物が発生させる磁界の測定などに幅広く用いられています。
水中光無線通信装置は、水中で数十Mbpsの無線通信を可能にするモデムです。半導体レーザーの使用によって高い通信性能を実現した製品で、無人潜水機(水中ドローン)向けに展開しています。
水中光無線通信装置「MC100」
感染症対策に航空分野の技術を応用へ
現在、新型コロナウイルスをはじめとする感染症に対して、航空分野の製品・技術を応用した新事業を検討しています。
HMDの技術をベースに「診断アシスト機能付きフェイスシールド」(仮)の開発を進めているほか、エア・マネジメント・システムの技術をもとに「エアサイクル式空気清浄・温調装置」への応用に取り組んでいます。