重点成長分野:インフラ

社会課題

エレベーターは、高齢化社会、バリアフリー社会において縦の移動手段として不可欠な存在となっていますが、次のような社会課題に直面しています。第一に、設置台数が増加する一方で、オフィスビルやマンション自体の老朽化に伴い、エレベーターも状態の変化に応じた適切な維持管理が必要となっています。第二に、検査、保守点検作業員、施工会社社員等は厳しい労働環境に直面しています。例えば、労働災害リスク、小型のエレベーターや高層エレベーターの増加、特殊なワイヤーロープの増加に伴う高度な保守技術の要求などです。また、目視等の主観的な検査、点検の方法を維持することは、日本の労働人口の減少に伴う熟練者の減少に伴い、技能の伝承が危ぶまれ、早晩破綻することの懸念から、自動化が求められています。第三に、地震、水害等広範囲に影響がある非常時における安全確保や早期復旧への対策が求められています。

島津製作所の取り組み

島津製作所は、磁気センシング技術をコア技術の一つとして事業展開してきました。こうした背景のもと、当社はワイヤーロープの断線を迅速、高感度に検出できる新技術を開発しました。

エレベーターにおいて、ワイヤーロープは安全を担保する重要な部品です。当社は、エレベーターの抱える社会課題解決のために、ワイヤーロープの損傷状況を非接触で診断するセンサーの実用化に向けた開発を進めています。

センサーをエレベーターに常設し検査や点検を行い、そのデータを活用して高度な保安システムを構築することができれば、エレベーターの状態把握、検査・点検作業の省力化・自動化を通じて、熟練技能に依存せずにエレベーターの利用者である国民の安全を守ることができると考えています。

また、このセンサーを他の各種センサーとの統合解析やAI技術の活用等により、ワイヤーロープ、エレベーター、さらにはオフィスビル自体の潜在的なリスクの早期検知・予防保全システムに統合し、ビルの価値向上につながるのではないかと考えています。

エレベーター以外にも、ワイヤーロープは、クレーン、ロープウェイ、水門、遊戯施設、舞台装置、機械式立体駐車場など、様々な用途に使用されています。これらの検査、点検も目視等が原則となっており、エレベーターに類似した社会課題を抱えています。センサーとそのデータの活用等による高度な安全安心のシステムを構築することにより、こうした分野の社会課題の解決にもつなげられるのではないかと考えています。

島津製作所のSDGs

島津製作所の取り組み