SLAM技術による自己位置認識から
次世代モビリティへの適用
自動運転の実現

一般道での自動運転を実現するためには、はじめて走行する場所でも周囲の環境から自分がどこにいるかを認識し、同時に、まわりに何があるかを把握して周辺の正確な地図を作成する技術が必要になります。
そこで注目されているのがSLAM技術です。SLAMとは、Simultaneous Localization and Mappingの略で、「自己位置推定と地図作成の同時実行」という意味です。この技術を使うことで、たとえあらかじめ周囲の状況がわかっていなくても、走行しながら周辺の地図情報を構築し、構築した地図をもとに一度走行した場所を間違えることなく目的地にたどり着くことが可能になります。

SLAM技術が抱える課題とは

このように注目されているSLAM技術ですが、課題もあります。そのひとつが“誤差蓄積”の問題です。誤差蓄積とは、例えば自動運転で走行しながら自己位置推定と地図作成を行う場合、位置推定のわずかな誤差が積み重なり、できあがる地図データがズレたり、歪んだりする現象のことです。しかし、この問題に対して、島津製作所の独自のアプローチが解決の糸口となるかもしれません。

島津製作所におけるSLAM技術の今

現在、島津製作所が開発を進めているSLAM技術はVisual SLAMと呼ばれる、カメラをセンサーとして周辺環境の特異点を精度よく抽出する画像処理技術を基本としたものです。
これに複数のセンサーを組み合わせ、自己位置を総合的に解析することで誤差蓄積を軽減することを視野に独自の研究を進めています。

光学式ヘッドモーショントラッキング技術から
SLAM技術へ

当社には航空機のパイロットなどが使うヘッドマウントディスプレイの開発を進めてきた歴史があります。
近年、このヘッドマウントディスプレイにおけるヘッドモーショントラッキングを、ヘルメットに取り付けた光学マーカーを航空機体に設置したカメラで検出する光学式ヘッドモーショントラッキングでおこなってきました現在ではさらに開発を進め、ヘルメットにとりつけた単一の小型カメラのみで機体内のマーカー(特徴点)を抽出し、頭部位置検出を実現できるまでになっています。これにより、軽量、低コストかつ航空機体のコックピット形状によらずヘッドモーショントラッキングが可能になります。

SLAM技術、これからの可能性

島津製作所では、この技術を様々な用途への転用を視野に開発を進めています。これから先、例えばヘッドモーショントランキング技術を応用した「次世代オートバイ用のヘッドマウントディスプレイ」や、「自動地質調査ロボット」、「自律型の水質環境調査機」などの開発にも貢献できるかもしれません。SLAM技術は、自動運転やドローン、ロボット、ARやVRなど、様々な用途において今後ますます欠かせない技術になっていきます。その進化と発展に、私たち島津製作所も引き続き関わっていきたいと思います。