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コラム

2020.2.19

IDEA

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周辺視野のトレーニングでライバルを
一歩リード

西本 恵

スポーツをする皆さん、目のトレーニングはしたことがありますか?
多くのスポーツは「見る」ことから始まります。今回は状況把握に重要な周辺視野に注目してみました。

ここで紹介するトレーニング方法や器具などによる効果は選手個人の感想です。
選手たちは日頃からトレーニングを積んでいます。
お試しになる場合は、自分の身体の具合に合わせて緩やかに行うことをおすすめします。

1. 周辺視野とは?

皆さんの中で、普段から自動車や自転車を運転する人も多いのでは?
運転中は信号や道路横にいる通行人の様子に注意を払いますよね。一点だけに集中するのではなく、広い範囲を視野に入れています。こういったときに周辺視野を使っています。
注視する範囲を中心視野といい、中心視野の外で視界に入る範囲を周辺視野といいます。

2. 周辺視野が広いと何がいいの?トレーニングの目的は?

自動車を運転している時、得られる情報の約90%が視覚情報に基づくともいわれるそうです。一方で、視野に入っていても、脳が認識していないことが多くあります。

スポーツにおいては、せっかくの情報を無駄にせず、周辺視野からも多くの情報を得ることで、素早く正確な状況を判断に繋がります。
テニスでも、周辺視野は重要な役割を果たします。例えば、ダブルスで相手の前衛が動いていることに気づかず、「相手がいる場所に打ってしまった!」という経験はありませんか?

プレー中はボールを見ながら、周辺視野で相手のポジションを把握し、次に打つコースを考える必要があります。サッカーや卓球など他のスポーツも同様なのではないでしょうか。
視覚情報を広く正確にキャッチして処理することができれば、これまで気づかなかった相手の弱点や穴を見つけることができ、判断ミスも減ります。

3. 周辺視野をトレーニングするには何をすればいいの?

周辺視野から得られる視覚情報と体を連動させることを目的としたトレーニングをご紹介します。家の中でも簡単に行うことができます。

  1. ①二人一組で向かい合う。
  2. ②1人が両手にボールを1球ずつ持ち、握った手を下に向けて両腕を前に伸ばす。
  3. ③もう1人はボールが握られた両手の上にそれぞれ手の平を下に向けてセットする。
  4. ④ボールを持っている人がランダムなタイミングでどちらかのボールを落とす。
  5. ⑤落とされたボールをキャッチする。

いつどちらのボールが落とされるか分からないので、2球の間を見ておきましょう。目で見て素早くボールを掴みにいきます。

慣れてきたら、スタートの位置を低くしたり、左右のボールの距離を離したりすると難易度が上がります。

4. まとめ

周辺視野を鍛えると、より素早く正確な状況判断が可能になります。忘れられがちな目のトレーニングで、ライバルにひっそり差をつけましょう!

スポーツだけに限らず、日常生活でも危険の察知に繋がるなど、多くの場面で力になってくれるはずです。

5. Breakersを指導するトレーナー・
横山正吾さんからのアドバイス

周辺視野で広い範囲を目で見て捉えることができれば、周囲と自分との位置関係をより正確に把握することができます。日常生活では車の運転などに生かされており、前を見たまま周辺視野で周りの状況を確認することで、事故など危険の防止に役立っています。

テニスを例に挙げると、向かってくるボールをよく見る(注視する)能力はもちろん、ボールを見ながら周辺視野で得た対戦相手のポジションや動きといった情報を整理し、自分自身のショットやポジショニングの決断などを瞬時に行う必要があります。周辺視野を有効に使ってプレーできる選手は、相手選手がラリーの中で不意にネットプレーをしてきた場合などにも、素早く状況を判断し、パッシングショットやロブなどで対応することができます。反対にボールばかりを注視していると、相手選手がネットに出てきたことに気づかずポイントを失ってしまうことも多くあります。

日常生活やスポーツのなかでも広く使われている周辺視野ですが、加齢によって狭まることが知られています。その原因として、目(眼球)周辺の筋肉の衰えが挙げられます。しかし、筋肉をトレーニングすれば改善していくことも可能です。簡単な種目から始められる周辺視野のトレーニングを、是非普段のウォーミングアップやトレーニングに組み込んで行ってみてください!

横山正吾トレーナー

大阪社会体育専門学校 アスレティックトレーナーコースを卒業後、フリーインストラクターを経て、現在はテニス選手のトレーニング指導を中心に活動中。グランドスラムに出場するプロ選手から、大学、高校のテニス部、キッズまで幅広く指導。2016年から「SHIMADZU Breakers」の社員選手のトレーニングやコンディショニングを支えている。


資格

日本スポーツ体育協会公認アスレティックトレーナー
NSCA(全米ストレングス&コンディショニング)協会認定パーソナルトレーナー
日本体育協会公認フィットネストレーナー

その他

日本オリンピック委員会強化スタッフ