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コラム

2021.7.29(最終更新)

TRAINING

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どうウォーミングアップすればいいの?
~コンディショニングメニューのご紹介~

私たち「SHIMADZU Breakers」の社員選手が実際にウォーミングアップで行っている「コンディショニングメニュー」についてまとめました。皆さんが怪我無く運動を続けるためのヒントになれば嬉しいです。

ここで紹介するトレーニング方法や器具などによる効果は選手個人の感想です。
選手たちは日頃からトレーニングを積んでいます。
お試しになる場合は、自分の身体の具合に合わせて緩やかに行うことをおすすめします。

1. ウォーミングアップの効果とは

開脚をする押野紗穂
股関節のストレッチをする押野紗穂

ウォーミングアップが重要なことは多くの方が理解していると思いますが、実際にどのような効果があるかご存知でしょうか。

ウォーミングアップには「心拍数の上昇」「怪我の防止」「体の可動域を広げる」「その日の状態を知る」など、たくさんの良い効果があります。特に「その日の状態を知る」ことは、アスリートや定期的に運動する人にとっては欠かせません。

毎日同じウォーミングアップをすることで、その日の体の調子に敏感になり、ケアが必要な場所の把握や試合に向けた調整がしやすくなります。

2. コンディショニングメニュー動画

今回ご紹介するのは、私たちが普段行っているウォーミングアップです。社員選手は練習前に約1時間かけてウォーミングアップをしています。その中身の一つ、トレーナーの横山正吾さんに教わった「コンディショニングメニュー」を動画にまとめてみました!

初めから無理をせず、自分のペースで調整して行ってください。

3. コンディショニングメニューの特徴

このメニューは、体を覚醒させ、可動域を広げる動きを多く取り入れています。

ポイントは呼吸を止めずに行うこと! ストレッチ系の種目は深い呼吸を心がけ、シングルレッグレイズのように瞬発的に筋肉を動かす種目は動作時に息を「ふっ」と吐くようにします。

ゆっくりとした動作がほとんどで、筋肉の状態や動きを確認しやすく「その日の状態を知る」面でも最適なウォーミングアップです。動かしている筋肉や伸ばしている部位に意識を向けるだけでも、体の張りや動きの良し悪しなど日々の変化を感じ取れるはずです。

4. 個別メニューの紹介と解説

膝抱えゆらぎ

仰向けになり、体を丸めて両脚のもも裏を抱きかかえる。胸と脚がなるべく離れないようにしながら、前後に10回体を揺らす。

つま先で地面タッチ~開脚前屈

仰向けになって腰から下を浮かせ、体を折りたたみながら頭の後ろに脚をもっていき、つま先で地面をタッチする(自分の柔軟性に合わせて、腰が伸びていると感じるところまで行う)。脚を戻す時に開脚しながら起き上がり、そのまま前屈する。これを5回繰り返す。

膝抱え伸ばし

仰向けになって片脚の膝を曲げ、もも裏を両手で掴んだ状態で3秒間膝を伸ばし、その後再び膝を曲げる。膝を伸ばしている時は、足の裏がなるべく地面と平行になるように足首を固定する。これを5回繰り返す。

シングルレッグレイズ

仰向けになり、膝を伸ばしたまま片脚を上げ下げする。できるだけ腰が浮かないよう、腹筋に力を入れながら左右各10回ずつ行う。

シングルレッグサイドレイズ

仰向けになり、片脚を横にスライドさせるように上げ、手でつま先をタッチしたら元に戻す(体が固い場合は、手の位置を下げる)。なるべく膝を伸ばした状態をキープして左右交互に10回行う。

シングルレッグクロスレイズ

仰向けの状態で体を少しひねりながら、対角の手に向けて片脚を上げる。手でつま先をタッチしたら元に戻す。これを左右交互に10回行う。

股関節内・外旋

仰向けで両脚の膝を立て、同じ方向に脚を倒す。倒したところで数秒キープし、反対方向に倒す。これを左右交互に10回行う。

シングルレッグレイズツイスト

仰向けになり、片脚を地面と垂直になるように上げ、膝を伸ばしたまま左右に脚を倒す。ゆっくりとした動作ではなく、なるべく速く動かす意識で左右各10回ずつ行う。

胸椎回旋①(太もも前のストレッチを加えながら)

マットの上で横向きになり、上の脚は膝を曲げて前に出し、地面から離れないように下の手で押さえる。上の手で下の脚のつま先を掴み、太ももの前を伸ばす。この状態で胸を開き、上の肩をできるだけ地面に近づけて3秒キープする。これを左右各5回ずつ行う。

胸椎回旋②

胸椎回旋①と同様に、上の脚は地面から離れないように下の手で固定する。上の手は頭の後ろに回し、胸を開いて3秒キープする。これを左右各5回ずつ行う。

胸椎反らし

①仰向けで膝を立て、肩甲骨の下にフォームローラーまたはメディシンボールを置く。手は頭の後ろで組み、胸を開いて3秒キープした後、元の姿勢に戻る。なるべく深い呼吸を心掛けながら5回繰り返す。
②フォームローラーの位置を上や下に変えて5回行う。

うつ伏せクロスオーバー

うつ伏せに寝て、手を真横に広げる。片脚を持ち上げ、もう一方の脚の上を通り、反対側の地面に足の裏を近づける。両肩が地面から離れないように気をつけながら、左右交互に10回行う。

うつ伏せCアーチ

うつ伏せになり、両手を地面につけて肘を伸ばし、上体を反る。ゆっくり深呼吸して肋骨を広げ、息を吐く時に可動域を広げながら20秒キープする。

四つん這い 肩入れ

四つん這いの姿勢から腕をなるべく遠くに置き、お尻を引く。深呼吸しながら20秒キープする。

四つん這い 背中曲げ伸ばし

四つん這いの姿勢で、上を向きながらゆっくり背中を反る。次に、地面を手で押しながら背中を引き上げて丸める。この動作を交互に5回繰り返す。

四つん這い チューブ胸開き

四つん這いになり両手でチューブを持ち、片方の胸と腕を開いて3秒キープする。これを左右各5回ずつ行う。

四つん這い お尻横振り

四つん這いの姿勢で、片側の脇腹を縮めて顔をお尻に向ける。左右を入れ替えながら10回繰り返す。

5. まとめ

ヨガマットやフォームローラー、チューブを使うのでハードルが高いと感じるかもしれませんが、運動習慣が無い方でも簡単に実施することができます。ご自宅での軽い運動としてこのメニューをこなすと柔軟性がアップすると思います。

テニスだけでなく、他のスポーツにも生かせると思うので是非試してみてください。体の動きが変わるはずです。
ちなみに、フォームローラーは、ウォーミングアップだけではなく体をケアする時にも適したアイテムなので持っていると便利です。

6. Breakersを指導するトレーナー・
横山正吾さんからのアドバイス

まず、ウォーミングアップの目的として、パフォーマンスの向上や練習・トレーニングの効率化が挙げられます。スポーツの種目によって求められる動きは様々ですが、運動を始めてすぐに良いパフォーマンスができるわけではありません。あらかじめウォーミングアップを行なっておくことで、運動開始時の身体への負担を軽減し、効率的にトレーニングや練習を行うことができます。テニスコートでボールを打ち始めてから身体を温めていくのではなく、ボールの打ち始めの1球目からフルで動けるようウォーミングアップを行うのが理想です。

次に、突発的な捻挫や肉離れなどの外傷や、慢性的な痛みなどの障害を防ぐ目的があります。ウォーミングアップの生理学的な目的として、①筋肉の適応能力を高める、②呼吸循環機能の適応を円滑にする、③神経の伝達速度を高める、④筋肉・腱・関節の柔軟性、可動性を向上させるということが挙げられます。簡単に説明すると、咄嗟の動作の中でも身体の反応を良くすることによって外傷を予防し、柔軟性や可動性を高めることにより慢性的な障害による痛みも予防できる可能性が高くなります。呼吸循環系の適応を円滑にすることで、プレー中に呼吸が上がった際の回復を早くする効果も期待できます。

当たり前のように思える、体温(筋温)を上昇させるというのも大切な目的です。ここまでに挙げたウォーミングアップの生理学的な反応も、体温を上昇させることによって初めてなし得ることができるからです。

そして、忘れられがちな精神的な準備というのも大きな目的です。ウォーミングアップを通して徐々に気持ちを高め、動きのスイッチと共に気持ちのスイッチもオンにできるよう心がけて行うとさらに効果的です。

アスリートから一般の愛好者の方まで、是非、ウォーミングアップの効果を感じてみてください。

横山正吾トレーナー

大阪社会体育専門学校 アスレティックトレーナーコースを卒業後、フリーインストラクターを経て、現在はテニス選手のトレーニング指導を中心に活動中。グランドスラムに出場するプロ選手から、大学、高校のテニス部、キッズまで幅広く指導。2016年から「SHIMADZU Breakers」の社員選手のトレーニングやコンディショニングを支えている。


資格

日本スポーツ体育協会公認アスレティックトレーナー
NSCA(全米ストレングス&コンディショニング)協会認定パーソナルトレーナー
日本体育協会公認フィットネストレーナー

その他

日本オリンピック委員会強化スタッフ