4. 島津回折格子の製造技術

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目次

4-1. マスタ製作工程(島津のブレーズ加工技術)

ホログラフィック回折格子(HG:Holographic Grating)は、レーザの2光束干渉を利用したホログラフィック露光法で製作された回折格子です。このため、周期誤差による迷光が極めて少なく、特に凹面ホログラフィック回折格子(凹面HG)に関しては、回折格子自体が収差補正機能をもつという優れた特長をもっています。
当社は、理化学研究所との長年にわたる共同研究の結果、イオンビームエッチング法により、それまで不可能とされてきたホログラフィック回折格子のブレーズ加工に成功しました。

これにより、従来の機械刻線回折格子(Ruled Grating)と回折効率は同等で、迷光が少ないブレーズドホログラフィック回折格子(BHG:Blazed Holographic Grating)の製造技術を 世界で初めて確立しました(図7)
この独創的な回折格子の製造技術は、大河内記念技術賞を受賞しました。
また、当社は、各種回折格子において使用波長域での収差補正をより適正化するため、ホログラフィック露光波面に非球面波を用いる「非球面波露光法」の技術も確立しました。これにより、最適な回折格子を設計・製作することができるようになり、分光装置の特性に合わせた広範な選択が可能となりました。

 
製品例 平面ブレーズドホログラフィック回折格子
    ポリクロメータ用凹面回折格子
図7 ブレーズド ホログラフィック グレーティングの製作工程

図7 ブレーズド ホログラフィック グレーティングの製作工程

4-2. レプリカ工程

当社の回折格子(Gratings:グレーティング)は、マスタより複製したレプリカ品です。格子溝は樹脂にて形成されています。図8のように、ガラス基板(ブランク)上に樹脂にて回折格子溝が形成されています。
この溝にAl等の反射膜がコーティングされています。また、光通信用途向けにテルコーディア規格GR-1221-COREに準拠した試験に合格したレプリカ回折格子も取り揃えております。
回折格子溝が樹脂で形成されているため、高温・高湿下で使用・保管される場合はご留意ください。

図8 レプリカ回折格子

図8 レプリカ回折格子

4-3. コーティング工程

回折光のエネルギーは回折格子のコーティング材質の反射率によって変わります。使用波長に応じて適当なコーティング材質を選ぶ必要があります。図9にAℓ、Aℓ + MgF2、Auの反射率特性を示します。

図9 A・,A・+MgF2 ,Au の反射率

図9 Aℓ,Aℓ+MgF2 ,Au の反射率

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