コーポレートガバナンス・ポリシー

序文 コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、経営上の基本理念として、1875年の創業以来の精神であり、当社が事業を継続していくうえでの基本姿勢である「科学技術で社会に貢献する」という社是、また永年の事業で培った技術、ノウハウを活用し、人類の幸せや地球環境の保全の実現に貢献することを目指して誓った「『人と地球の健康』への願いを実現する」という経営理念、およびこれらの基本理念のもとで、地球・社会・人との調和を図りながら「事業を通じた社会課題の解決」と「社会の一員としての責任ある活動」の両輪で取り組む企業活動の基本姿勢として島津グループサステナビリティ憲章を、取締役会で決議して定めています。
そして、これらの基本理念および基本姿勢のもと、「人の命と健康への貢献」、「地球の健康への貢献」、「産業の発展、安心・安全な社会の実現への貢献」を当社のミッションとし、これらのミッションを果たす事業領域をヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリーと定め、当社の技術開発力と社会実装力の両輪強化によりお客様にトータルソリューションを提供することで、持続的な成長を果たしてまいります。
「人の命と健康への貢献」では、分析計測技術を用いた多様な疾病の検査、医薬品や食品などライフサイエンス分野の研究の支援、X線や光技術を用いた医療用の診断・治療支援などのソリューションを提供していきます。
「地球の健康への貢献」では、水・大気・土壌などの環境計測に加えて、地球温暖化の防止に向けた革新的な技術開発とその社会実装のためのソリューションを分析計測などの技術で支えていきます。
「産業の発展、安心・安全な社会の実現への貢献」では、半導体産業やモビリティ産業などに対して精密加工技術を活用した製品を提供すると共に、研究開発や製造現場の高度化に資するソリューションを提供していきます。
これらの基本理念を実現していくためには、長期的な視野のもとで企業経営を行っていかなければなりません。そのような企業経営は、顧客、株主、取引先、従業員、地域社会など当社をとりまく様々なステークホルダー(以下「ステークホルダー」といいます)の信頼があって初めて可能となります。
当社はステークホルダーの信頼を獲得し、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、経営の透明性・公正性を確保し、経営の活力を高める迅速・果敢な意思決定と施策遂行を行うための企業経営の根幹となる仕組みとしてコーポレートガバナンスを位置づけ、このシステムを整備・充実させていきます。

第 I 章 基本原則

(目的)

第1条

当社は当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、コーポレートガバナンス・コードの精神を企業経営の中で生かしていきたいと考えており、コーポレートガバナンスを具体的に実践していく上でのスタンスを示すものとしてこの「コーポレートガバナンス・ポリシー」を定めるものとします。
なお、本ポリシーの改正は、取締役会決議によるものとします。

(コーポレートガバナンスに関する基本方針)

第2条

当社のコーポレートガバナンスに関する基本方針は次のとおりとします。

1) ステークホルダーとの適切な協働

当社は、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の創出が、ステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、ステークホルダーとの適切な協働に努め、信頼関係を構築します。
取締役会および取締役、ならびに業務執行役員(役付執行役員および一般執行役員で構成されています。会長、社長、専務執行役員、常務執行役員は役付執行役員とします。)は、ステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動を尊重する当社の企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮します。

2) 株主の権利・平等性の確保

当社は、株主の権利が実質的に確保されるよう、株主の権利行使の環境を整備します。
また、少数株主や外国人株主の権利・平等性に配慮し、株主の実質的な平等性を確保するよう努めます。

3) 適切な情報開示と透明性の確保

当社は、ステークホルダーとの信頼関係を構築するうえで、付加価値の高い情報を適時・適切に開示することが必要不可欠であると認識しています。これを実践するため、法令に基づく情報開示だけでなく、中期経営計画、業績等の財務情報および環境・社会・ガバナンス(ESG)等の非財務情報についても、当社事業活動の理解を深めるために重要と判断し、当社にとってポジティブであるかネガティブであるかに関わらず、当社ウェブサイトなどを通じて日英両言語にて積極的に開示します。
取締役会は、開示・提供される情報が株主との間で建設的な対話を行う上での基盤となることを踏まえ、開示される情報が、正確で利用者にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるように努めます。

4) 株主との対話

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、株主・投資家との積極的かつ建設的な対話が必要不可欠と考え、IR 担当役員を中心とした IR 体制を整備し、株主総会の場以外においても、当社の経営戦略に対する理解を深めるための機会創出に努めます。

5) 取締役会などの責務

取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、次の役割および責務を果たすことで、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図ります。

(1) 企業戦略等の当社が目指すべき方向性やビジョンを示すこと
(2) 業務執行役員による機動的で活力と柔軟性のある事業展開を促すために必要なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
(3) 独立した客観的な立場から、業績や業務執行の評価を通して、業務執行役員・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと

第 II 章 ステークホルダーとの適切な協働

(社是、経営理念)

第3条

当社は、自らが担う社会的な責任を踏まえ、ステークホルダーへの価値創造に配慮した経営を行いつつ中長期的な企業価値の向上を図るべきと考えており、こうした活動の基礎となる経営上の基本理念として、「科学技術で社会に貢献する」という社是と、「『人と地球の健康』への願いを実現する」という経営理念を、取締役会で決議して定めています。

(島津グループサステナビリティ憲章)

第4条

当社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)をめぐる課題が、中長期的な企業価値の向上を図るうえで重要であると認識し、当社グループの基本姿勢として島津グループサステナビリティ憲章を、取締役会で決議して定めています。当社はこの島津グループサステナビリティ憲章に基づき、地球・社会・人との調和を図りながら、「事業を通じた社会課題の解決」と「社会の一員としての責任ある活動」の両輪で企業活動を行い、1)地球環境とグローバル社会の持続可能性、2)島津グループの事業活動の持続と成長、3)従業員の健康とエンゲージメントの向上を目指して、サステナビリティ経営を実践していきます。また、取締役会は、これらの活動を監督します。

(島津グループ企業倫理規定)

第5条

当社は、上記の社是、経営理念、島津グループサステナビリティ憲章のもと、社員が社会の一員として果たすべき社会的責任と企業倫理に係る行動原則ならびに具体的な行動基準として島津グループ企業倫理規定を、取締役会で決議して定めています。この規定において、1.“人と地球の健康”への貢献、2.人権の尊重、3.産業と社会への貢献、4.企業統治という4つの行動原則を定め、取締役会は、この規定が広く社員に浸透し、企業活動の中で実践されていることを確認します。また、取締役会は、規定の内容を定期的にレビューします。

(ダイバーシティ)

第6条

当社は、当社のグローバルな事業ネットワークのなかで育まれている異なる歴史・文化・風土や経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観は、会社の持続的な成長を確保する上で強みであると認識しています。こうしたダイバーシティを尊重し、ワーク・ライフ・バランスを考慮した人材活用と職場作りを行っており、女性の活躍促進や国籍等に依らない採用・活躍といったダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みを当社グループ全体で推進します。
グローバルビジネスの中核人材となる管理職や役員への登用は、性別・国籍・年齢・障がいなどに関わらず、実績に加え、能力とリーダーシップにより登用していきます。中核人材を育成するために、個人の強みを伸ばすことを支援し、その能力が最大限に発揮される適所適材と環境整備を推進していきます。

(アセットオーナー)

第7条

当社は、企業年金の積立金の運用が従業員の安定的な資産形成に加えて当社の財政状態にも影響を与えることを踏まえ、企業年金担当組織が適切な活動を実施できるよう、人事面や運営面において適切な体制を整備します。

第 III 章 株主の権利・平等性の確保

(株主の権利と平等性の確保)

第8条

当社は、株主の権利が実質的かつ平等に確保されるよう、株主の権利行使の環境整備を行います。また、少数株主や外国人株主にも認められている特別な権利を含め、株主の権利行使を事実上妨げることがないように配慮します。信託銀行等の名義で株式を保有する機関投資家等が、株主総会において自ら議決権の行使等を行うことを予め希望する場合、信託銀行等と協議し、対応を決定します。

(株主総会)

第9条

当社は、株主総会が株主との建設的な対話の場であることを認識の上、株主総会における議決権をはじめとする株主の権利行使に配慮し、株主が参加しやすい日程設定や環境の整備を行います。
当社は、株主の判断に必要な情報を的確に提供し、総会議案の十分な検討期間を確保することができるように、招集通知の早期発送に努めるとともに、発送日より前に東京証券取引所や当社ホームページを通じて招集通知の内容を開示します。また、議決権電子行使プラットフォームの利用など、インターネットによる議決権行使の仕組みの利用を通じて、株主の利便性を高めます。さらに招集通知を日英両言語で作成します。
取締役会は、株主総会で会社提案議案に相当数の反対票があったときは、反対の理由と反対票が多くなった原因について分析し、株主との対話など必要な対応を行います。

(資本政策)

第10条

当社は、株主価値の持続的な向上を目指し、財務の安定性確保、成長に向けた資本活用、株主還元の充実を考慮しつつバランスのとれた資本構成を維持することを資本政策の基本方針としています。
当社は、健全な自己資本比率を維持しつつ、設備投資、研究開発投資、戦略投資、人材投資に資金を活用し、規模・成長性・効率性をバランス良く高めながら中長期の事業成長と収益力強化を図ります。また、株主に対する利益還元を経営上の重要な政策の一つとして位置付け、継続的な株主還元を基本としながら収益やキャッシュ・フローの状況を総合的に勘案して、配当を実施し、自己株式取得も適宜検討します。

(株式の政策保有)

第11条

当社の株式の政策保有および政策保有株式に係る議決権行使に関する基本方針は次のとおりです。

1) 政策保有に関する方針

当社は、経営戦略の観点から、中長期的に当社の企業価値の向上につながると判断する株式を保有します。取締役会は、毎年、政策保有株式の保有規模が不適切でないかを確認したうえで、個別の株式についても保有目的に照らして適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コスト等に見合っているかを確認することで、保有の適否を検証します。保有方針に適合しない株式は縮減を図ります。

2) 議決権行使の基準

当社は、政策保有株式の議決権行使にあたり、すべての議案に対し、株主価値の向上に資するものか否かを判断したうえで議決権を行使します。議決権行使の適切な対応を確保するために、剰余金処分、取締役・監査役選任や買収防衛策など議案毎に設けた判断基準に基づいて議案内容を確認し、社会的不祥事など重大な懸念事項が生じている場合には、慎重に賛否を検討します。

(会社の支配に関する基本方針)

第12条

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す経営方針のもと、中期経営計画を定めています。株主との積極的な対話を行うことにより、当社の経営姿勢を理解いただき、株主の一層の信頼と評価を得るよう努めてまいります。そしてこの中期経営計画を着実に実践し、株主への還元策を実施してまいります。
このような考え方のもと、当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の社是・経営理念や企業価値の源泉、顧客・株主・取引先・従業員・地域社会などのステークホルダーとの信頼関係などを理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保、向上していくことを可能とする者であることを基本原則といたします。
当社は、当社株式を上場し自由な取引を認める以上、支配権の移転を伴う当社株式の大量買付提案に応じるか否かの判断は、最終的には株主の意思に委ねられるべきものと考えております。また、当社は、大量買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。

(株主の利益を害する可能性のある資本政策)

第13条

当社は、取締役・監査役が株主に対する受託者責任を全うする観点から、支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす増資等を行う場合には、既存株主を不当に害することのないよう、その必要性・合理性を十分検討し、適正な手続を確保するとともに、株主に十分な説明を行います。

第 IV 章 適切な情報開示と透明性の確保

(情報開示の充実)

第14条

当社は、ステークホルダーとの信頼関係を構築するうえで、付加価値の高い情報を適時・適切に開示することが必要不可欠であると認識しています。これを実践するため、1)社是・経営理念、経営戦略・経営計画、2)コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方や方針、3)役付執行役員・取締役の報酬に関する方針や手続き、4)業務執行役員の選解任および取締役・監査役の候補指名・解任提案に関する方針や手続、5)役付執行役員の選解任および取締役・監査役の候補指名・解任提案の理由など、当社への理解を深めるために重要と判断する情報(非財務情報も含む)などについても、当社にとってポジティブであるかネガティブであるかに関わらず、当社ウェブサイトなどのアクセスが容易な方法で日英両言語にて積極的に開示します。

(業務執行役員の選解任および取締役・監査役の候補指名・解任提案、社長の後継者の計画)

第15条

当社は、業務執行役員の選任や解任を、業績や資質等の適切な評価のもと公正で適正な手続きに則って実行します。
業務執行役員の選任については、代表取締役が、人格、経験、見識や会社への貢献度などを総合的に考慮して候補者を提案し、任意の指名・報酬委員会(以下、「指名・報酬委員会」といいます)の審議・答申の後、取締役会に付議し、決定します。業務執行役員の解任については、指名・報酬委員会の審議・答申の後、取締役会に付議し、決定します。
取締役の候補指名については、代表取締役が候補者の人格、経験、専門を総合的に考慮して候補者を提案し、指名・報酬委員会の審議・答申の後、取締役会に付議し、決定します。取締役の解任提案については、指名・報酬委員会の審議・答申の後、取締役会に付議し、決定します。
監査役の候補指名については、代表取締役が候補者の人格、経験、専門を総合的に考慮して候補者を提案し、指名・報酬委員会の審議・答申の後、監査役会の同意を経て、取締役会に付議し、決定します。監査役の解任提案については、指名・報酬委員会の審議・答申の後、取締役会に付議し、決定します。
なお、当社は、会社経営の観点から、当社の取締役会にとって重要と考える知見・経験を一覧化したスキルマトリックスを開示します。また、取締役、監査役の候補指名・解任提案および役付執行役員の選解任の理由を開示します。

2. 当社は、当社を取り巻く経営環境、経営課題、中期経営計画等を踏まえ、適切な資質を有する社長を選任するため、「社長CEO の選任・解任基準」を定めています。社長の後継者については、取締役会が委嘱する各担当業務の経験や執行役員会などの経営上の重要会議での提案・審議を通じた経営への参画経験等により、後継者として必要な知識・経験・能力が備わるよう計画的な育成を行うものとし、取締役会は、その状況を監督します。また、社長の後継者となる候補者の指名の際には、社長が、選任基準に基づき候補者を提案し、事前に指名・報酬委員会において当該候補者の略歴と選任理由の説明を行い、指名・報酬委員会の審議・答申の後、取締役会に付議し、決定します。
なお、社長が解任基準に抵触すると判断される場合は、指名・報酬委員会の審議・答申の後、取締役会の決議によって解任します。

(役付執行役員・取締役の報酬)

第16条

当社は、取締役、役付執行役員の報酬体系および報酬額の算定方法に関する決定方針については、指名・報酬委員会にて審議の上、取締役会で決議します。また、取締役、役付執行役員の報酬額については、取締役会の決議により授権された、指名・報酬委員会で決議します。
社内取締役、役付執行役員の報酬体系については、基本報酬としての固定報酬、短期業績連動報酬、中長期業績連動型株式報酬で構成しています。株式報酬については、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目的として、中期経営計画の業績達成度等に応じて、原則として計画終了時に当社株式等を交付することとしています。なお、取締役等の職務や社内規定への重大な違反等があった場合には、指名・報酬委員会で審議および取締役会決議の上、取締役等の報酬の減額もしくは不支給、または返還請求を行うことができます。

(会計監査人)

第17条

当社は、会計監査人による適正な監査を確保するために、会計監査人の評価基準の策定や独立性・専門性の確認などの対応をとります。
取締役会および監査役会は、高品質な監査を可能とする十分な監査時間と会計監査人から業務執行役員へのアクセス(面談等)を確保します。また、会計監査人と監査役、内部監査室や社外取締役との十分な連携を確保し、会計監査人が不正を発見し適切な対応を求めた場合や、不備・問題点を指摘した場合の対応体制を確立します。

(会計監査人の選定と評価)

第18条

監査役会は、会計監査人の評価基準を策定し、会計監査人が独立性と専門性を有しているか否かを含めて評価し、客観的で正確な監査を行う会計監査人を選定します。

第 V 章 株主との対話

(株主との対話)

第19条

当社は、社長による期末および中間期末の決算説明会、IR担当役員による第1四半期および第3四半期の決算説明会において株主・投資家に事業の現況や経営戦略を伝えています。加えて、資本市場で開催されるカンファレンスへの参加や個別取材、当社工場・事業場の見学会なども積極的に実施します。また、当社の株主構成に鑑み、海外投資家に対しても、IR 担当役員および IR担当部署を中心に積極的に対話します。また、情報開示にあたっては、内部者取引規制に基づき、インサイダー情報は開示しません。同時に、決算日から決算発表日までをサイレント期間とするなど、株主間の情報格差が生じないように留意します。
業務執行役員は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の実現のため、このような資本市場との双方向の対話を通じて株主・投資家の声に真摯に耳を傾け、会社の経営方針を明確に説明してその理解を得る努力を行い、株主共同の利益の最大化のため建設的な対話の促進に努めます。

第 VI 章 取締役会などの責務

(機関設計)

第20条

当社は、監査役会設置会社を選択しています。重要な業務執行の意思決定・監督を担う取締役会、的確・迅速な業務執行を担う執行役員会(社長を議長とし、業務執行役員により構成)、さらに監査役会および会計監査人を設置することにより、経営の透明性・公正性を確保するとともに、経営の活力を高める体制としています。

2. 当社は、取締役会の諮問機関として、過半数を独立社外取締役で構成する指名・報酬委員会を設置し、原則として議長を独立社外取締役とすることで、指名・報酬に関する独立性・客観性を高めています。
指名・報酬委員会は、取締役会から諮問を受けた事項について審議し、また取締役、役付執行役員の報酬額について決議の上、それぞれ取締役会に答申・報告します。取締役会は、指名・報酬委員会の審議事項について、その答申内容を踏まえ、慎重に検討・審議し、決議するものとします。

(取締役会の責務)

第21条

当社は、経営方針、および業務執行上の重要な事項の決定を行う意思決定機関として、また、株主総会で選任される取締役ならびに取締役会で選任される業務執行役員の職務執行を監視・監督する機関として取締役会を設置しています。
取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、次の役割および責務を果たすことで、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図ります。

(1) 企業戦略等の当社が目指すべき方向性やビジョンを示すこと
(2) 経営判断の原則に則った決議、経営方針を正しく実行できる内部統制体制の整備・強化を通じて、業務執行役員による機動的で活力と柔軟性のある事業展開を促すために必要なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
(3) 独立した客観的な立場から、業績や業務執行の評価を通して、取締役・業務執行役員に対する実効性の高い監督を行うこと
2. 取締役会・役付執行役員は、中期経営計画などの重要な経営戦略・経営施策の公表に当たっては、事業ポートフォリオや収益計画、資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する考え方・目標水準を提示します。また、中期経営計画で定めた事業計画の実現に向けた事業ポートフォリオの見直しや、設備投資、人材採用・育成、知的財産への投資等の経営資源の配分に関する施策について、株主に分かりやすく明確な説明に努めます。中期経営計画の達成状況について社会情勢や経済情勢の変化などの要因や当社が行った対応の内容などの分析結果に基づき株主に説明します。
3. 取締役会は、中期経営計画などの重要な経営戦略・経営施策を審議・決議するに当たって、社内取締役、独立社外取締役、監査役によるそれぞれの専門知識、知見や経験を生かした多角的な視点を取り入れて議案を審議します。社外取締役・社外監査役に対しては、取締役会の議案説明を事前に行い、取締役会で議論や意見交換が活発になされるよう努めます。事業ポートフォリオを含む中期経営計画の進捗状況については、定期的に会議でフォローし、目標の達成状況について当社が行った対応の内容、社会情勢や経済情勢の変化などの要因を十分に分析し、次期以降の計画に反映させます。
4. 取締役会は、取締役・監査役の出席のもと、原則として毎月1回開催し、経営方針等会社の業務執行上の重要な事項に関する意思決定を行うとともに、重要な業務執行につき取締役または担当の業務執行役員から業務執行状況の報告を受け、経営業務の執行が適正に行われるよう監視・監督します。また、その評価を役付執行役員の人事に適切に反映します。取締役会は、独立社外取締役を複数名選任する等、適正な業務執行に関する監視・監督機能を強化します。

(取締役・監査役などの受託者責任)

第22条

取締役、監査役および業務執行役員は、株主に対する受託者責任を認識し、ステークホルダーとの間で、相互に有益な情報を適時・適切に分かりやすく開示するなど、双方向のコミュニケ―ションを通じて、信頼関係を構築し、会社や株主共同の利益のために行動します。

(業務執行役員のリスクテイクを支える環境整備)

第23条

取締役会は、業務執行役員による機動的で活力と柔軟性のある事業展開のために必要なリスクテイクを支える環境整備を行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、取締役・業務執行役員からの提案を促し、また、そうした提案について独立した客観的な立場で検討し、実行の際には業務執行役員の迅速・果断な意思決定を支援します。

(業務執行役員への委任)

第24条

取締役会は、中期経営計画の承認や重要な経営戦略・施策など、取締役会付議基準に定めた重要事項以外の業務執行については、社長を中心とする業務執行役員と執行役員会に決定を委任し、業務執行役員による執行状況の報告を通して、その業務執行を監視・監督・評価します。

(関連当事者間の取引)

第25条

当社は、当社取締役、役付執行役員および主要株主との取引を行う場合には、当該取引が当社および株主共同の利益を害することがないよう、定型取引を除き取締役会に付議し、その承認を得るものとしています。さらに、当該取引が完了した場合には事後に、また当該取引が長期に亘る場合には定期的に、それぞれ当該取引の結果またはその状況について取締役会に報告するものとしています。

(取締役会・監査役会の実効性の確保)

第26条

取締役会は実質的な審議を行うことができる適正な規模とし、当社の事業内容に精通している社内取締役と外部での豊富な経験に基づく客観的な視点で経営を見る社外取締役により、充実した議論を行って重要な業務執行の意思決定を行います。また、取締役会は、年1回、各取締役の自己評価などを参考にしつつ、取締役会全体の実効性に関する分析・評価を行い、取り組むべき課題を明らかにし、その結果の概要を公表します。
当社の取締役会は、会長、社長、社内取締役、複数の社外取締役、監査役として社内監査役および複数の社外監査役から構成されています。事業展開や会社をとりまく経営環境等を考慮しながら、適正な規模と多様性の有る構成とします。
取締役・監査役は、受託者として期待される役割・責務を果たすため、他の上場会社の役員を兼任する場合は、合理的な範囲に留めることとします。なお、当社は、兼任の状況を開示します。

(独立社外取締役)

第27条

当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、独立社外取締役を複数名選任します。独立社外取締役は、それぞれが有する豊かな経験と優れた能力・見識によって取締役会において充実した議論が行われるように努めます。また、経営全般、コンプライアンスについて有益な提言をすることにより、適正な業務執行体制を強化することに貢献します。
独立社外取締役は、取締役会の重要な意思決定を通じて、会社との利益相反の監督を行い、独立した立場でステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させるよう努めます。

2. 独立社外取締役は、独立した客観的な立場に基づき指名・報酬などの特に重要な事項に関する検討を行うため、指名・報酬委員会の委員として答申内容の決定に参画します。

(独立社外取締役の独立性基準およびその資質)

第28条

取締役会は、社外役員規定を制定し、独立社外取締役となる者の独立性基準を策定・開示しています。また、取締役会は、取締役会における率直・活発で建設的な検討への貢献が期待できる人物を独立社外取締役の候補者として選定するよう努めます。

(独立社外役員の連携)

第29条

当社は、社外取締役および社外監査役が様々な形で情報・意見交換できるよう、監査役や会計監査人、及び内部監査室等との会合を定期的に開催します。

(内部統制・リスクマネジメント、内部通報)

第30条

取締役会は、当社グループ全体のリスクマネジメントにおいて、コンプライアンスの確保を前提とした事業活動の促進に向けて適正なリスクテイクを支えるため、いわゆる3ラインモデルを含むグローバル体制を構築し、内部監査室による評価を通じて点検・整備を行うとともに、それらの情報開示が適時かつ正確に行われるよう監督を行います。

2. 当社グループは、社内の通報窓口に加え業務執行役員から独立した社外弁護士等の通報窓口を設置し、通報内容について監査役に報告します。これらの運用に際し、通報した従業員が不利益を被ることのないよう関連規定を制定し、体制を整備しています。
取締役会は、かかる内部通報制度の運用状況について監督します。

(監査役および監査役会の役割・責務)

第31条

監査役会は、半数以上を当社で定める独立役員の要件を満たす社外監査役とします。社外監査役には財務・会計に関する知見を持つ者を1名以上選任します。
監査役および監査役会は、能動的・積極的に権限を行使して取締役会において意見を述べ、業務監査・会計監査に関わる役割・責務を果たします。監査役と会計監査人、内部監査部門は監査計画を事前に協議し効率的な監査ができるよう調整します。また、監査情報を共有することにより互いの情報を補完するとともに、合同往査を行うことで多面的なリスク把握を行います。また、監査役または監査役会は、社外取締役が、その独立性に影響を受けることなく情報収集力の強化を図ることができるよう、定期的に会合を持ち、連携を確保します。この会合には、必要に応じて会計監査人も参加します。
監査役および監査役会は、取締役の職務の執行の監査、監査役・会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の行使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任を踏まえ、独立した客観的な立場で判断します。

(取締役会の情報入手と支援体制)

第32条

取締役会は原則として毎月1回開催し、取締役・監査役の日程を確保するため年間の開催スケジュールを早期に決定するとともに、招集通知を会日から5日前に発します。また、各議案について十分に内容を検討・議論できるようにするため、議題の内容や重要性に応じて審議時間を設定します。

2. 当社は、取締役・監査役が、期待される役割・責務を果たせるよう、主体的に情報入手できる環境を提供するとともに、人員面を含む取締役・監査役の支援体制の整備・充実を図ります。取締役については取締役会事務局である秘書室・経営戦略室を中心に、監査役については監査役室が、それぞれ支援を行います。
取締役会・監査役会は、各取締役・監査役が求める情報の円滑な提供が確保されているかどうかを確認し、各取締役・監査役の役割・責務の実効性を高めるために更なる環境整備に努めます。
当社は、取締役会・監査役会の機能発揮に向け、内部監査室からの報告に関して、CEOに対する報告に加え、取締役会や監査役会へも直接報告する仕組みを構築します。
3. 取締役は、的確かつ迅速・果断に意思決定を行えるようにするために、関連する部門へ情報や資料の提供を積極的に求めます。なお、社外取締役には、取締役会事務局が事前に取締役会決議事項の説明や質問への回答を行うなど、意思決定に必要な情報を随時提供します。
監査役は、監査や法令に基づく調査権限を行使するなどの方法で必要となる情報収集を行うとともに、常勤監査役が中心となり、取締役や関連する部門に説明や必要とする情報・資料の提供を積極的に求めます。
4. 取締役・監査役は、業務遂行上、第三者の意見や視点が必要と判断される案件については、コンサルタントや弁護士等の外部専門家を積極的に活用し、検討を行います。

(取締役・監査役のトレーニング)

第33条

当社は、取締役・監査役がその役割、責任を果たすため、必要な知識等を習得する機会を設けます。取締役・監査役は、就任の際に取締役の責務、リスクマネジメント、財務・会計等に関する研修を受け、また就任後においては、社外セミナー等を通じ、これらの知識を継続的に更新します。社外取締役・社外監査役に対しては、当社グループの事業内容の理解を深めることを目的に、業務執行役員より事業説明を行うほか、事業場の視察を行うなど必要な知識・知見の提供を適宜行います。

以 上

(2023年6月28日改定)

コーポレートガバナンス・ポリシー (PDF : 668.23 KB)

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