低炭素化モビリティ開発を支える計測技術

低炭素化モビリティ開発を支える計測技術

人々の生活の足として定着している自動車。
その台数は新興国を中心として拡大の一途を辿っており、2030年には現在の2倍以上の16,500万台になるという予想もされています。
現在の自動車などのモビリティのエネルギー源は化石燃料が中心ですが、これらの資源を効率的に利用することと、新たなエネルギー源の開発が進められています。
島津製作所では、環境にやさしいモビリティの開発に関わる新たな計測器を提供しており、低炭素化社会に向けての技術革新の進展を支えています。

化石燃料の効率的利用に向けて

自動車などのモビリティに関わる潮流として、近年は国際的な燃費規制や排ガス規制の強化が挙げられます。これは、自動車エンジンなどの内燃機関にさらなる改良を求めており、より少ない燃料で効率的に稼働するだけでなく、燃焼効率の向上によって排気ガスも極力クリーンにするなど、より高い環境性能の実現が急務となっています。島津製作所では、自動車メーカーにおけるこうしたニーズに対応し、内燃機関の状態を「見える化」し、現象や課題を把握することで、新たな技術開発に寄与する製品群を提供しています。
2014年度に「超モノづくり部品大賞」を受賞した光プローブ「ExDOP ®」は、エンジン内における燃焼時の発光状態を直接捉えることができる製品です。この装置で検知したエンジン内の“光”を詳細に解析することで、エンジンの運転中に見られるさまざまな現象を解明することが可能となります。一例としては、エンジンの立ち上げ時に過剰な燃料消費がないのかなどを把握することによって、燃焼効率を向上させるためのヒントを得ることができます。
一方、2015年度に発売した高速応答ガスモニタ「EGR-Chaser」は、自動車エンジンの開発過程において、エンジンを動かすためのガソリンなどの化石燃料が燃焼する際に直接関わる酸素と二酸化炭素の濃度をモニタリングすることができる装置です。エンジン開発においては、燃料と酸素を吹き込む吸気側の状態を高速かつ高精度に把握する必要性があり、これによってより高い燃費を実現するための制御方法の改良などにつながります。

化石燃料の効率的利用に向けて
将来的な自動車需要の予測 (出典:International Energy Agency, Energy Technology Perspectives 2012)

将来的な自動車需要の予測 (出典:International Energy Agency, Energy Technology Perspectives 2012)

水素社会の実現に向けて

FC-3Dモニタ/FC-O2モニタ

将来的なモビリティを巡る大きな潮流としては、燃料電池を中心とした水素社会の実現に向けた研究開発やインフラ整備の進展があります。燃料電池は、水の電気分解と逆の原理により、酸素と水素からエネルギーを生み出し、排出物は水だけです。このクリーンな技術の普及に向け、経済産業省は「水素・燃料電池戦略ロートマップ」を発表しており、2025年度までに水素ステーションを全国で320箇所程度整備し、2030年までに累計で80万台程度の燃料電池自動車の普及目標を掲げています。
燃料電池の普及に向けた研究開発では、燃料電池の燃料である酸素の状態をモニタリングすることが重要なカギを握ります。これにより、燃料電池の内部でスムーズな反応が行われているかを確認すると共に、問題点や性能向上の手がかりを探りながら、発電条件の最適化に関する研究開発が可能となります。

島津製作所では、2005~2007年度に参画したNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトの成果を通じて、2009年に燃料電池酸素濃度可視化装置「FC-O2モニタ」を世界で初めて発売しました。さらに、山梨大学をプロジェクトリーダーとしたJST(科学技術振興機構)の「先端計測分析技術・機器開発」プログラムに参加し、その成果に基づき、2016年には新たに「FC-3Dモニタ」を開発、製品化しました。この装置は燃料電池の内部における酸素濃度をより詳細かつリアルタイムで調べることが可能で、燃料電池の発電効率を高める部材の設計・選定や、酸素や水素の流路の最適化などを検討することが可能となります。
こうした水素社会の実現に向けた産官学一体となった研究開発をさらに加速するべく、当社も引き続き技術開発を通じた貢献をしていきます。

開発者の声

近年のエンジン制御に対する要求は非常に高くなっており、さらなる燃費と排ガス性能の向上と、エンジン出力の向上の両立を目指すことが必須となっています。すでに販売している装置の技術をさらに進化させ、現在はエンジン内部の燃焼状態をさまざまな手法でモニタリングすることができる新製品の開発に挑戦しています。
当社がこれまで培ってきた技術によって、今まで以上に環境性能の高いエンジンの開発に寄与していきたいです。

デバイス部 センサ・デバイスビジネスユニット
コンポーネント開発グループ 副グループ長
大寺 文章

燃料電池自動車は二酸化炭素を排出しない「究極のエコカー」であり、エネルギーとなる水素の生成にはあらゆる手段があることから日本国内のみならず世界的にも大きな期待が寄せられています。2020年開催の東京オリンピックでは観客輸送などに積極的に活用するとのことで、今後の普及に向けて大きく加速していくものと思われます。当社ではいち早く産官学の連携にて燃料電池開発に関する計測技術を確立してきました。一日でも早い水素社会の実現のため、今後も大いに貢献して参ります。

デバイス部 センサ・デバイスビジネスユニット
コンポーネント開発グループ グループ長
大野 隆

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