お知らせ

2018年度 島津賞受賞者決定

2018.12.04(火)

第38回島津賞(2018年度)

京都大学 化学研究所 教授

金光 義彦 氏

受賞者には、表彰状・賞牌・副賞500万円を贈呈
研究業績
ルミネッセンス分光法による半導体の新規光物性の究明と機能開拓
推薦学会
応用物理学会
受賞理由
光るSiなどナノ構造半導体物質の新たな発光現象を発見し、独自に開発した計測・解析装置を駆使し、その量子状態の解明や光物性・光機能の基礎的な理解に貢献した。また基礎のみならず発光ダイオードや太陽電池の高効率化などの指針を与えるもので実用面での貢献も大きく、幅広い領域にわたる学術的影響と社会的貢献を高く評価した。
研究内容
最近のナノサイエンスや材料科学の分野では、従来の物理学、化学、エレクトロニクスなどの学問の枠を越えた視点での研究が必要となっています。金光義彦氏は、化学的手法により作製できるナノ粒子やカーボンナノチューブなどのナノ構造半導体物質の光物理の解明と新しい光機能の発見を行い、それを利用したフォトニクス応用によりナノサイエンスの新しい潮流を創り出した研究者です。精密ルミネッセンス分光計測によりナノ物質の本質的特性を解明し、ナノ光科学の分野を先導してきました。
半導体は、コンピューター、レーザー、発光ダイオードなどの生活を支える製品に幅広く利用されています。トランジスターなどの電子デバイスには、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭化ケイ素(SiC)などが使用されますが、それらの本質的な特性により発光材料にはならないと考えられていました。しかし金光氏は、これら電子材料もナノメートルの小さな粒子にすることにより、エキシトン(負の電荷を持つ電子と正の電荷を持つ正孔がクーロン力で結びついた水素原子のような束縛状態)の量子効果を利用して室温で強く可視発光することを発見しました。ナノ構造半導体は、発光ダイオードなどの光源としても利活用できることがわかりました。
ナノ粒子やカーボンナノチューブなどのナノ構造半導体を発光ダイオードや太陽電池の材料として利用するには、それらの発光特性や発光機構を深く理解する必要があります。特に、ナノ構造半導体の特性は、形、大きさ、さらには周りの環境に非常に敏感であり、その本質的な特性を理解するには、ひとつひとつのナノ粒子やナノチューブを丁寧に測定する必要があります。金光氏は、ひとつひとつの特性が計測できる精緻なルミネッセンス分光を用いることにより、それらの発光特性は光励起される電子と正孔の数に大きく依存することを見出し、発光メカニズムの解明に決定的な役割を果たしました。これらの基礎的な成果は、発光ダイオードや太陽電池の高効率化の指針を与えるものであり、実用的にも重要な成果です。最近では、新しい太陽電池材料として期待され世界中で熾烈な研究開発競争が行われているハライドペロブスカイトのナノ粒子および単結晶の光学特性を解明し、新しいペロブスカイト光物理の研究分野を先導しています。
金光氏は、自身が発見した発光現象を出発点として、ナノ物質の量子状態や光学特性の解明を行い、フォトニクスへの応用展開を行ってきました。さらに、太陽電池内での複雑な電子の動きを分光的に可視化できる計測・解析装置の開発と特許取得を行い、企業と共同で商品化にも成功しました。それら先導的研究の成果は、物理学、化学、光・電子工学などの幅広い領域にわたるものであり、学術的・社会的波及効果は極めて高いものです。金光氏は、常に先駆的な研究成果を発信し、ナノ物質科学の発展への貢献は極めて大きく、国際的にも高く評価されています。

金光氏の受賞については、京都大学のHPでも紹介されています。
島津賞とは

島津賞は、科学技術、主として科学計測に係る領域で、基礎的研究および応用・実用化研究において著しい成果をあげた功労者を表彰します。表彰は毎年原則1名で、表彰者には賞状、賞牌、および副賞500万円を贈呈します。

2018年度島津賞、島津奨励賞表彰式並びに研究開発助成金贈呈式は下記の通り行います。

日 時 2019年2月15日(金)
表彰式・贈呈式 14:00~15:00
島津賞、島津奨励賞受賞記念講演 15:00~16:00
祝賀パーティー 16:15~17:15ごろ
場 所 京都ホテルオークラ(京都市中京区河原町御池)