技術トピックス

2018年5月8日 | 技術トピックス シンプルなワークフローで高感度、高精度な抗体医薬品の血中濃度測定を可能にする新技術

医薬品開発において、血中等の薬剤や代謝物の濃度を測定する薬物動態解析は、薬効や毒性等の指標を得るうえで非常に重要です。これまで抗体医薬の血中濃度測定で主に使用されてきたELISA法は、「種間交差や阻害物質の影響を受ける」、「測定法開発に多大な時間とコストを要する」、「直接的に医薬品そのものを分析できない」といった課題がありました。また、近年活用事例が増加しているLC/MS/MSを用いた手法では上記の問題を克服しながらも複雑な前処理手順やトリプシン消化による過剰な夾雑成分が生じるなどの問題があり、より簡便でバックグラウンドの低い前処理手法が求められていました。

nSMOL法は島津製作所が開発した、モノクローナル抗体のFab領域選択的なタンパク質分解を可能とした、全く新しい画期的な技術です。血液などの生体試料からモノクローナル抗体をImmunoglobulin collection resinに回収し、ナノ粒子上に固相化されたトリプシンによってタンパク質分解を行います。Immunoglobulin collection resinの樹脂細孔径(100 nm)とナノ粒子の直径(200 nm)が異なるため、トリプシンのアクセス可能な表面が制限されることで、Fab領域由来のペプチドを選択的に回収されます。この原理は、殆どのモノクローナル抗体に適応できるため、抗体医薬の種類に依存せず測定することが可能です。

nSMOL法を利用した前処理の模式図

nSMOL法を利用した前処理の模式図

n SMOL Antibody BA Kitの特長

1. 分析の再現性、堅牢性の向上

独自のnSMOL技術により、抗体(タンパク質)を酵素分解する際、分析対象領域(Fab領域)だけを指標とし、選択的に切断できるため、バックグランドノイズなどの増大を回避でき、分析の再現性や堅牢性を向上させることが可能です。不要なペプチドやタンパク分解酵素(トリプシン)の混入が大幅に低減できます。

2. サンプル前処理の簡略化による時間短縮

面倒なタンパク質の変性還元アルキル化やトリプシン消化後の脱塩操作が不要です。また、これまで一晩以上かかっていたトリプシン消化作業は5時間以下で完了し、試験結果を得るまでの効率的な時間設定が可能となります。

nSMOL Antibody BA Kitのワークフロー

nSMOL Antibody BA Kitのワークフロー

3. 豊富な実績と高い汎用性

さまざまな抗体医薬品に対し厚生労働省が発布する生体試料中低分子薬物濃度分析法のバリデーションガイドラインの基準をクリアしています。

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