技術トピックス

音波と光を用いたインフラ構造物診断技術

【新技術の概要】

本技術は、超音波と光を利用した新しい非破壊検査技術です。検査対象物体の表面に超音波を伝播させ、振動によって発生した表面の微小な変位を専用のレーザ照明とカメラで検知し、超音波の伝搬の様子を可視化します。この際、検査対象物体の表面付近に亀裂や剥離、空洞などの内部欠陥が存在すると、その箇所が超音波の伝搬の乱れ(不連続箇所)となって検出されます。
超音波を用いた従来の探傷技術は主に対象物体の深さ方向の断面に沿って欠陥を検知するのに対し、当社が開発した新技術は、目視や通常のカメラ撮影と同様の視野で欠陥を観察できるため、欠陥の位置や形状を簡便に確認できる点に優れています。また、従来は異なる検査技術が適用される鋼材とコンクリートの検査を単一の検査技術でカバーできることも大きな特長です。
当社がこれまでに実施した基礎実験では、塗装鋼板の塗膜下の亀裂や塗膜の浮きなど、目視では確認できない欠陥を検知できました。本技術を実用化すれば、検査前の塗膜除去が不要になり、検査工程の大幅な省力化が期待できます。また、コンクリート表面付近に存在する微小なひび割れや、表面から1cm以内の深さに存在する剥離など、従来技術では検知が難しかった欠陥を画像観察することにも成功しています。

■開発した新技術の装置構成
開発した新技術の装置構成

物体の表面付近を伝搬する超音波の振動によって発生した微小な変位を専用のレーザ照明とカメラで可視化することで内部欠陥を検知できる。


■従来の超音波探傷技術との違い
従来の超音波探傷技術との違い

従来技術は断面方向に沿って欠陥を検知するのに対し、目視観察と同様の視野で欠陥を可視化する新技術は、欠陥の位置や形状を把握しやすい。


■新技術による欠陥の可視化例
新技術による欠陥の可視化例

【事例(1)】  亀裂を発生させた塗装鋼板試料を塗装面から撮影。目視だけでは確認できない塗膜下の亀裂や、塗膜の浮きの検知に成功。
【事例(2)】  コンクリート構造物の壁面を撮影。目視やルーペ観察での確認が困難な微細なひび割れを検知。
【事例(3)】  鋼板接着コンクリート試料を撮影し、剥離部の検知に成功。


【今後の展開】

今後、本技術の実用化を目指して実証実験を重ね、ユーザビリティの向上、性能改良を進めます。橋梁など交通インフラ構造物の検査用途への適用に向けては、2016年9月から、京都大学大学院工学研究科 都市社会工学専攻・河野研究室と共同で実証研究を開始しています。また、プラント設備の検査用途への適用のため、インフラ管理者や検査事業者と連携し、フィールド実証もしていく予定です。2021年を目標に、これらの分野で本技術の製品化や事業化を目指します。また、材料試験機や非破壊検査機器を始めとする当社既存製品との技術シナジーの創出も検討していきます。

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