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2014年9月2日 | プレスリリース 258種類の糖脂質をLCMS-IT-TOFによって迅速に特定できる
「糖脂質ライブラリ」を発売
- 創薬や化粧品開発のセラミド研究等を高精度な分析で支援 -

島津製作所は、東海大学・糖鎖科学研究所長の鈴木明身教授との共同研究成果として、258種類の糖脂質の質量スペクトルを収録した業界初の糖脂質専用のライブラリ「糖脂質ライブラリ」を発売します。島津製作所の液体クロマトグラフ質量分析計LCMS-IT-TOFを用い、試料の調製から装置の分析条件の設定、データ解析と特定までを専門家でなくても迅速に行うことができる、情報とツールを提供するものです。

糖脂質とは、脂質に糖鎖が結合した化合物の総称で、哺乳動物のすべての細胞の膜に存在しています。特に、脳や脊髄、小腸や大腸、皮膚などを構成する細胞に多く存在しています。細胞表面の膜は均一ではなく、構成成分が異なる多数の微少環境により構成されていることが明らかになってきました。この微小環境はマイクロドメインもしくは脂質ラフトと呼ばれ、シグナル伝達、細菌・ウイルスの接着、毒素の結合、生理活性物質のレセプターの足場形成、アミロイド凝集場の形成などに重要な役割を果たすことが明らかにされてきています。糖脂質はマイクロドメインを形成することができる分子で、その機能を調節する役割を担う可能性が指摘され、近年、創薬や化粧品開発など、多様な分野で研究のターゲットとして注目されてきています。

糖脂質の代表的なものは、脂質成分に脂肪酸とスフィンゴシンを持つ「スフィンゴ糖脂質」です。スフィンゴ糖脂質のうち、酸性の糖であるシアル酸を含むものを「ガングリオシド」と呼びます。インスリンが効きにくくなった状態(インスリン抵抗性状態)では、細胞膜中に特定のガングリオシドが増加し、このガングリオシドはインスリン受容体が正常に機能するために必要なタンパク質、カベオリンとの結合を弱めることが明らかにされました。このことから、ガングリオシドの生成阻害剤は糖尿病の治療薬になる可能性があるとして期待されています。

また、スフィンゴ糖脂質の脂質部分はセラミドと呼ばれ、皮膚のバリア機能を担うことが知られています。セラミドの構造と機能を解析し、バリア機能を持つ物質を化学的に合成したり、アトピー性皮膚炎患者と正常者の角層のセラミドを分析して、病状に関連のあるセラミドの種類を探索したりするなどの研究が進められています。

このように近年注目を集める糖脂質ですが、糖脂質は糖鎖構造、脂質構造いずれも多様で複雑な構造を持っており、前処理や分析条件の設定などに高度な知識とノウハウが必要で、研究を開始する敷居が高いという課題がありました。

新製品の特長

鈴木教授と島津製作所が開発した糖脂質ライブラリには、糖脂質の抽出法、分析条件、糖脂質特定用ライブラリなどが含まれており、糖脂質解析がはじめての研究者でも迅速に高精度な糖脂質分析ができるようになっています。取扱説明書中の抽出法、測定条件などに従って糖脂質の分析を行い、得られたスペクトルに対して、セラミド21種類、酸性糖脂質193種類、中性糖脂質44種類、合計258種類の糖脂質の実測マススペクトルを収録したライブラリによる検索を行い、糖脂質の構造を特定します。

分析に用いるLCMS-IT-TOFはイオントラップ(IT)という仕組みで特定のイオンを捕らえて開裂させた後、検出器に到達する飛行時間の違いから精密質量を測定(TOF-MS)する装置であり、特定のイオンをトラップして質量分析を繰り返すことによって化合物の構造の推定を高精度で行えることが特長です。本ライブラリには最大でMS4スペクトルまで含まれており、MS/MSスペクトルでは区別ができないセラミド構造までを特定することが可能です。本ライブラリを用いることで、糖脂質の糖鎖部分だけでなく、今まで解明が十分に進められていなかった脂質部分までを含めた糖脂質全体の構造解析を簡便かつ高精度に行うことができます。

名   称 糖脂質ライブラリ
価   格 3,600,000円(税別)

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