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2013年6月4日 | プレスリリース 腸管出血性大腸菌・サルモネラ属菌・赤痢菌を一度に高感度検出できる
「腸管系病原菌遺伝子検出試薬キット」を発売
- 陰性の確認を1日で可能にし、検便による保菌者スクリーニングの効率化に貢献 -

島津製作所は、検便から腸管系病原菌である腸管出血性大腸菌,サルモネラ属菌,赤痢菌の遺伝子を一度に増幅して検出できる「腸管系病原菌遺伝子検出試薬キット」を、6月5日より発売します。本試薬キットでは、核酸(DNA)精製を行わない当社独自の「Ampdirect®」テクノロジーを応用したマルチプレックスPCRを用いています。
腸管出血性大腸菌,サルモネラ属菌,赤痢菌の保菌者スクリーニングは、食中毒の予防を目的に食品製造や飲食店、学校給食などの食品取扱業務に従事する者を対象に検便として実施されています。現行のスクリーニング方法は、それぞれの菌が増殖する選択培地を使用し、検体ごとに対象菌の増殖有無を確認する培養法が用いられています。しかし、1日に5,000検体以上を処理する施設もあり、大量の培養シャーレの取り扱いや培養後の確認作業だけでなく、使用したシャーレの廃棄も含めて多大な手間とコストがかかることが課題となっています。また、培養法では、結果の確認に早くても2日を要しますが、検便を依頼する立場からは少しでも早く結果を知りたいという要望があります。
Ampdirect®テクノロジーを採用した本試薬キットを用いれば、50検体ごとに一つのチューブにまとめて熱処理と遠心操作を行い装置で検出するという簡便な工程によって、大量の培養シャーレを使うことなく陰性の判定を1日で行うことが可能となります。時間とコストを削減したいという、検査をする側と検査を依頼する側の両方のニーズに応え、検便による保菌者スクリーニングの効率化に貢献します。

開発の背景

当社では遺伝子検出に対応する試薬として、たんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を強力に抑制し、血液や糞便などの生体試料からDNAやRNAを抽出・精製することなくPCRの反応液に直接添加できる当社独自のAmpdirect®テクノロジーを有しています。この技術は、汎用の実験用試薬のみならず、業界トップシェアであるノロウイルス検出試薬キットなどにも応用されており、高い実績と信頼性があります。一方、検出装置については、本試薬キットやノロウイルス検出試薬キットのような比較的大容量(50μL)の反応でも、安定かつ迅速に、遺伝子を増幅して検出できる遺伝子検出装置「GVP-9600」を本年2月より販売しています。
当社は食中毒菌やウイルスなど食品分野に関連する病原体検出を行う保健所や検査機関における多様なニーズに応えるべく、試薬キットや装置の開発を続けています。さらに、試薬キットや装置に測定結果から陽性・陰性の判断を支援するためのソフトウェアを組み合わせることで、スクリーニング作業を効率的に行うシステムを提供します。

本製品の特長

1.検便検査の効率化を可能に

50検体を混合しても、個別に培養する方法と同等以上の検出感度を有します。PCRによる増幅から融解曲線解析による検出までに要する時間は3時間程度であり、陰性の判断は1日で可能となります。混合検体が陽性となった場合は、そこに含まれるすべての検体を培養法によって確認する必要はありますが、陽性率は高くても数%が通例ですので、培養に要する作業を大幅に削減することができます。

2. 簡単な作業

Ampdirect®テクノロジーにより、検体処理工程は熱処理と遠心分離のみで完了します。検体を添加後は、PCRによる増幅から融解曲線解析による検出まで1本の反応チューブで実施でき、PCR増幅産物を検出するための反応後のチューブ開閉も必要ありません。増幅産物による汚染のリスクを回避し、手間やコストをかけない簡単作業でルーチン運用できます。

3. 専用システムとして運用可能

遺伝子検出装置 GVP-9600とGVP専用腸管系病原菌検出支援ツールを組み合わせた専用システムとして、検便による保菌者スクリーニングをより効率的に運用することが可能です。

専用システムとして運用可能

語句説明

  • マルチプレックスPCR
    通常のPCRは、反応液中に存在する一対のプライマーによって一つの標的遺伝子の増幅を行うことを指します。一方、マルチプレックスPCRは、反応液中に複数の異なるプライマーセットを存在させることで、それぞれのプライマーセットに対応する複数の遺伝子を一度に増幅させる方法です。
  • 腸管出血性大腸菌
    ベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群を引き起こす病原性大腸菌の一種です。抗原性の違いによって分類されたO157やO26、O111などが一般的に知られています。
  • 培養法
    目的の菌が優先的に増殖するように工夫された培地(選択培地と呼ぶ)を用いる検査法の一種です。検体に目的の菌が混入していると、検体を塗り広げた培地上にその菌のコロニーが形成されます。
名称 腸管系病原菌遺伝子検出試薬キット
価格 192,000円(192テスト分、税別)

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