ニュース

報道関係の皆様からのお問い合わせはこちら

掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。

2013年4月25日 | プレスリリース 光学顕微鏡で観察した試料をそのまま質量分析できる
イメージング質量顕微鏡iMScopeを発売
- 疾患に関連した物質探索や生体機能解明に応用 -

イメージング質量顕微鏡 iMScope

イメージング質量顕微鏡 iMScope

島津製作所は、光学顕微鏡と質量分析計を融合した全く新しい分析計測機器、イメージング質量顕微鏡『iMScope』を発売しました。『iMScope』は、当社独自の高収束レーザ光学系と高精度な試料移動システムにより、5マイクロメートル以下という世界最高の解像度*で生体試料の質量分析画像を取得し、分子の分布状態を観察できます。大気圧下で質量分析が行えるため、より生きた状態に近い組織を分析することが可能です。光学画像から得られる形態情報と質量分析画像から得られる分子の分布状態を重ね合わせて解析することで、疾患に関連するマーカ探索や薬物動態観察への応用が期待されます。

  • *マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法を応用した市販のイメージング質量分析装置として世界最高の解像度(2013年4月当社調べ)

なお、本製品は自動前処理装置iMLayerと共に韓国で5月14日に開催される生化学分子生物学会(KSBMB)および6月10日に北米で開催されるアメリカ質量分析学会(ASMS)に出展します。

開発の背景

従来の質量分析法では、試料となる生体組織を破砕したり、物質を抽出して得られた混合液体を液体クロマトグラフィーなどにより分離してから目的分子を測定します。そのため、ある分子が試料のどの部位や場所に高濃度で存在しているか、あるいは試料中の興味のある場所にどのような分子が高濃度で存在しているのかは分かりませんでした。見ているもの、見ている場所に含まれている分子をそのまま質量分析したいという研究者の要望を実現したのがイメージング質量顕微鏡『iMScope』です。
『iMScope』では、例えば生体組織切片のような平板状の試料にレーザを照射して含有分子をイオン化し、検出します。そしてレーザを決まった間隔で移動させ、試料上のイオンを連続して検出します。レーザを照射した位置の情報とその位置での含有イオン量を二次元画像化することによって、特定の分子の分布状態を知ることができます。例えば、組織のごく一部に病気の指標となるような分子が局在している場合でも、その分布を画像として検出することが可能です。また、複数の試料の結果を比較することで、例えば組織の違いによる含有分子や医薬とその代謝物の分布の違いなども画像として測定し、比較することができます。
光学顕微鏡を備え、かつ大気圧下でイメージング質量分析ができる全く新しい分析装置iMScopeは、広い範囲に応用が可能な画期的な解析ツールとして期待されています。例えば、がん幹細胞に高濃度に存在する分子を特定し、その分子をマーカとしたがん早期診断法の開発、医薬品の代謝や集積の過程を明らかにする薬物動態観察、食品中の健康増進に役立つような有効成分の分布を明らかにし、有効成分量を増やすような農産物の品種改良、電子基板や化成品材料の欠陥解析など、様々な分野での最先端の研究開発への活用が考えられます。 
『iMScope』は、科学技術振興機構(JST)先端計測分析技術・機器開発プログラムの一環として得られた成果を製品化したものです。浜松医科大学を中心に試作機の開発を行った後、島津製作所が中心となって実用機の開発を行いました。実用化に向けては慶應義塾大学も参画して開発を進めました。これらの知見を基に必要な機能を充実させ、より使いやすい製品として『iMScope』が完成しました。

本製品の特長

1. 高解像度:世界最高の5マイクロメートルの高解像度を実現

当社の独自技術である高収束レーザ光学系と、高精度な試料の位置移動を可能にした三次元試料ステージ駆動システムによって、イメージング質量分析としては世界最高の5マイクロメートル以下という高解像度な質量分析画像の取得を実現しました。網膜のような10マイクロメートル程度の大きさの微細構造をもつ組織でもその内部の分子の分布状態を観測することが可能です。また同時発売する自動前処理装置iMLayerは簡便な操作で高解像度イメージング質量分析に適した試料を準備することができます。

2. 大気圧MALDIの採用により光学顕微鏡で観察した試料をそのまま分析

イオン源に大気圧下でイオン化が可能な大気圧MALDIを採用しており、観察した試料をそのまま質量分析することが可能です。真空MALDI法に比べて、装置の立ち上げ時間を短くし測定時間を速くできるだけでなく、揮発性分子や生きた状態により近い組織を分析できます。
またiMScope専用ソフトウェアImaging MS Solutionは光学顕微鏡画像上でイメージング質量分析条件が設定できる上に、いくつもの分析条件を予め設定ファイルとして用意していますので、わずらわしい条件設定もなく、光学顕微鏡を覗くような感覚でイメージング質量分析を行えます。

3. 高速分析:従来比100倍以上での高速イメージングが可能に

iMScopeは1kHzの高速Nd:YAGレーザと複数回のレーザ照射によってイオン化されたイオンを質量分析計で保持して、一度に質量分析する独自技術によって、従来の質量分析装置を用いた測定と比較し100倍以上(当社比)の高速イメージングを実現しました。
例えば2.5mm角の大きさで10マイクロメートルの解像度でイメージング質量分析を行った場合、従来装置では約10日間かかっていた分析が約3時間で終了できます。正常な細胞とがん細胞との比較など、2枚の質量分析画像を取得する必要がある場合でも、iMScopeでは約6時間つまり日中に試料調製を行えば一晩で分析が完了でき、翌朝結果が得られ研究・開発スピードを大幅に加速できます。

  • ※『iMScope』(アイエムスコープ)はImaging Mass Scopeからの造語です。
マウス網膜脂質の分布。10μmの解像度でのみ脂質多重層が識別でき、網膜色素上皮層(10μm)も観察できる。
  • マウス網膜脂質の分布。10μmの解像度でのみ脂質多重層が識別でき、網膜色素上皮層(10μm)も観察できる。
    *解像度20μm、50μm、100μmは解像度10μmの質量分析画像からソフトウェア上で擬似的に作成
名  称 イメージング質量顕微鏡 iMScope
価  格 15,000万円(PC別、税別)
販売計画 年間20台(EU諸国、北米を除く)

詳しい製品説明についてはこちら