2019年度 島津奨励賞受賞者決定
2019.12.10(火)
2019年度 島津奨励賞
(3名を選出)
京都大学
iPS細胞研究所 教授
齊藤 博英 氏
東京大学
大学院 理学系研究科 准教授
藤井 通子 氏
九州大学病院
精神科神経科 講師
加藤 隆弘 氏
受賞者には、表彰状・トロフィー・副賞100万円を贈呈
- 受賞者
- 京都大学 iPS細胞研究所 教授
齊藤 博英 氏(46歳)
- 研究業績
- RNAを基盤とする標的生細胞の選別及び細胞機能の制御
- 推薦者
- 島津賞過年度受賞者(20年以内)
- 受賞理由
- 細胞内に特異的に存在するマイクロRNAを検知する配列と、蛍光タンパク質や自殺遺伝子(細胞死誘導因子)などのマーカー遺伝子を含む人工的に作製したメッセンジャーRNAである「マイクロRNAスイッチ」を開発し、それを細胞内に導入し目的の細胞のみ蛍光タンパク質を発現させたり、特異的に細胞死を誘導させたりと細胞の運命を制御することで、細胞を安全かつ効率よく選別できるようにしたことが高く評価された。
- 受賞者
- 東京大学 大学院 理学系研究科 准教授
藤井 通子 氏(37歳)
- 研究業績
- 大規模シミュレーションを用いた恒星系の力学進化の研究
- 推薦者
- 日本天文学会
- 受賞理由
- 銀河や星団といった星の集まりが互いの重力によって引かれ合い、その軌道を変化させて全体の形状も変化していく、いわゆる『恒星系の力学進化』に関して、スーパーコンピュータを駆使した独創的な大規模数値シミュレーション法を開発してきた。衝突系と呼ばれる高精度の積分法を必要とする系と、無衝突系と呼ばれる高速な計算が必要な系が混ざり合った系を計算するための新しい積分法を開発するなど、重力多体系のシミュレーション研究の発展に大きく貢献したことを高く評価した。
藤井氏の業績については、東京大学のHPでも紹介されています
- 受賞者
- 九州大学病院 精神科神経科 講師
加藤 隆弘 氏(45歳)
- 研究業績
- 気分障害の血液メタロボーム解析による客観的診断法の創出
- 推薦者
- 島津科学技術振興財団 評議員
- 受賞理由
- 診断評価に有用な客観的バイオマーカーがほとんど存在せず、主観的評価に依拠せざるを得ない精神疾患の分野において、質量分析装置を用いたうつ病患者の血漿メタボローム解析を行い、100以上の血中代謝物を同定し、3-ヒドロキシ酪酸・ベタイン等の代謝物が抑うつ重症度や自殺念慮と関連し、客観的バイオマーカーになる可能性を見出した。採血による気分障害の客観的診断評価システムを用いて、診療時間を大幅に削減し、誤診を防ぎ、未来のプレシジョン医療(個別化医療)を実現するための基礎的技術の開拓に取り組んでいることを高く評価した。
島津奨励賞とは
昨年度(2018年度)新設の賞で、科学技術、主として科学計測に係る領域で、基礎的研究および応用・実用化研究において独創的成果をあげ、かつ、その研究の発展が期待される45歳以下の研究者を表彰します(毎年3名以下)。受賞者には賞状、トロフィー、および副賞100万円を贈呈します。
2019年度島津賞、島津奨励賞表彰式並びに研究開発助成金贈呈式は下記の通り行います。
日 時
| 2020年2月19日(水)
表彰式・贈呈式 13:30~14:40
島津賞、島津奨励賞受賞記念講演 14:50~15:50
祝賀パーティー 16:15~17:15ごろ |
場 所 |
京都ホテルオークラ(京都市中京区河原町御池) |