産業機器・製品開発
産業機械事業部TMPビジネスユニットTMP技術グループ
工学部機械工学専攻
眞鍋 雅嗣 / 2011年入社
小さい頃からロボットや飛行機が好きで、将来は、機械をつくる仕事がしたいと考えていました。その思いに背中を押されて大学は工学部に進学、設計の技術や理論を学ぶことに熱中しました。学年が進むにつれ、自分の将来を考えることが増えてきました。「僕は、何のために機械を作るんだろう。自分の好きなモノづくりで何かできないだろうか」と。様々な考えの中で、一番強い想いは、社会の一員として、人を助け、世の中を良くしたいということ。その想いを抱き、就職先を探していたところ、島津の「科学技術で社会に貢献する」「『人と地球の健康』への願いを実現する」という社是、経営理念が目に飛び込んできたんです。
事業を詳しく見てみたら、これまた自分の興味があることがズラリ。科学捜査をテーマにした海外ドラマが好きでよく見ていたので、分析装置には憧れるところがありましたし、大学院での研究テーマが人工膝関節だったこともあり、医用機器も身近に感じていました。子供の頃から好きだった飛行機に関わる装置を作るのもいいな、なんて夢を膨らませながら応募したら、縁があって採用になりました。
ところが研修を終えて、配属となったのは、そのどれでもないもうひとつの事業部。正直に言えば、入社するまで産業機械事業部が何をしている部署なのかさえ知りませんでした。でも逆に、先入観がなかった分、なんでも吸収してやろうと臨むことができました。知らないことに挑戦するのが楽しくて、毎日があっという間に終わっていましたね。
主に手がけているのは、ターボ分子ポンプという装置です。ジェットエンジンのような形の翼を1分間に数万回転させて、空間の気体を排気し、真空を作り出します。半導体の製造工程にはなくてはならない装置で、半導体メーカー間の競争が激しい分、ターボ分子ポンプの性能に対する要求も高く、どうすればより排気性能を上げられるか、どうすればもっと小さくできるかといった課題を前に、知恵を絞っています。
入社3年目のある日、自分の机で作業をしていたら、いきなり上司に呼び出されました。なんだろうといぶかりながらその場所へ行くと、同じポンプの開発を行っていた先輩が新プロジェクトの主担当に抜擢されて、いま担当している機種の開発から離れることになったというんです。「ついては眞鍋、お前にあとを任せたい。大変だが、やってくれるな」と言われ、驚いたことを覚えています。
先輩は、2、3人の技術者を束ねる設計リーダー。僕はといえば、まだまだ任されたことをこなすだけで精一杯です。とりあえず「がんばります」と答えて、引き継ぎいだものの、実際始まってみると他の開発の進捗を管理しながら、自分の作業も行うことは、予想以上に大変でした。さらに、自分が設計した翼の性能がよくなくて、もう一回設計からやり直すというおまけもつきました。大きな失敗でしたが、たくさんの人たちの協力を得て、目標性能を達成。開発完了までこぎつけることができました。製品を世の中に送り出せたときの嬉しさはひとしおでしたね。
いますぐというわけにはいきませんが、まだ世界の誰もやったことない、新しいことに挑戦してみたいなと思っています。たとえば手のひらよりも小さなサイズのポンプ。実はターボ分子ポンプは、島津が得意としている質量分析装置にも取り付けられていて、内部を真空にするのに使われています。もし、超小型のターボ分子ポンプが作れたら、いまは作業台を占領するくらい大きな質量分析装置を、ノートパソコンくらいにできるかもしれません。そうなったら持ち運ぶこともできるし、もっと手軽に扱うことができる。これまで装置とは無縁だった世界や人たちに、新しい発見を届けることができるかもしれない。そして、その新しい発見が、人を助け、世の中を良くすることにつながるかもしれない。そんな夢を描けるのも、多種多様な技術、製品がある島津ならではだと思います。