生産技術
モノ作りセンター 生産技術グループ
理工学研究科 電気電子情報通信工学専攻
富樫 拓紀 / 2014年入社
大学院ではレーザーなど光に関係する研究に携わっていました。実は所属していた研究室では島津製の計測機器を数多く用いており、難しい対応が必要な研究を行うときは、島津社員の方がいつも快く応えてくれて研究しやすい環境を整えてくれていました。
技術のすそ野が広がりつつある現代社会で、大量生産を目指すのではなく、一つひとつのニーズに対してキメ細かく対応するのが、今後の日本のモノ作りのあり方ではないか――そんな風に考えたとき、私が接した島津の担当者のようにユーザーの立場に立って対応する会社にこそ未来があると、ここで頑張っていくことに決めました。
配属されたのは、本社構内にあるモノ作りセンター。プリント基板の内製化を担う自社独自の生産拠点ですので、高度なレベルの製造に対応するのはもちろん、研究者や設計者からの依頼による“試作”を手がけるケースも多くなっています。図面上、あるいはラボスケールだった未来の製品を、製造ラインに乗せて現実のものにしていく。一つひとつの技術に対して真摯に向き合って、試行錯誤を繰り返していくというのは、まさに私が目指してきた領域の仕事だと感じているところです。
電子グループの一員である私が担当しているのは、プリント基板に小型の電子部品を自動で実装する「表面実装工程」です。プリント基板はあらゆる機器に欠かせない存在だけに、当社が手掛ける分析、医用、航空、産業すべての事業の依頼に対応しています。
様々な案件を手掛けてきましたが、成長の転機となったのは、入社2年目後半から始まった「VisuaLine」の立ち上げ。IoTに関する取り組みであり、生産工程の状況をリアルタイムで可視化することで、生産効率を上げようとするプロジェクトでした。最初は先輩がメイン担当だったものの、自分がトライして手を挙げたことから、主担当的な立ち位置を自然と任されるようになりました。
データのやり取りをするネットワーク関連の立ち上げやデータ変換ロジックの仕様検討を行う等、全く経験のない業務もありましたが、先輩方の温かなサポートを受けながらなんとか完成。その結果、現場の方と協力しながら半年間で15%の生産効率アップという確かな成果を出して、自分に自信が持てるようになりました。
私の部署で生産を担うプリント基板は月に500種類を超えます。どれひとつとっても作り方が異なるだけに、生産効率を高めていこうと思えば、私たちの工夫次第で際限なく新しい効果を導き出すことが可能です。ほんの少しの工夫が会社全体をより良くする大きな効果につながるだけに、モチベーションはおのずと高まります。
入社4年目の6月からは私が表面実装工程のリーダーとなり、チームの管理、新規導入設備のプログラム作成、QCD(品質・コスト・納期)改善活動など、仕事の幅は一気に広がりました。工程そのものを作る仕事のスケールも大きくなり、新しい製造ライン作りも私の役割となりました。また、「VisuaLine」に動画機能を付け加え、モノのみではなく人の動きを効率化する計画も現在進行中です。今後はAIなどの最新技術の検討も始まることでしょう。
新しい物事が次々と導入されていこうとする今、モノ作りへ情熱を捧げる関係者たちの思いを具現化していく力を持つ生産技術の役割はますます重要になるはず。技術と人の橋渡し役として、これからも挑戦を続けていこうと心に決めています。