家も、骨も、プリンターで作れる?
大学生のみなさんは、授業のレポート作成の時にプリンターにはよくお世話になっていますよね。そんな、私たちの身近にある「プリンター」が、1人のアメリカの少年を救いました。といっても、これは最近話題の「3Dプリンター」の話。
病気の影響で先天的に右手の指がない3歳の少年Rayven君に、日常生活の不便を解消するためにある団体が3Dプリンターで義手を製作してプレゼントしました。自分の手の形にぴったり合った可動式の右手を手に入れたRayven君は大喜び。しかも、通常4万ドルくらいの作成費が、3Dプリンターを使えばたったの50ドルで作成できるんだそうです。これまでは、成長に合わせて新たな義手が必要になる子供には高価な義手の作成はとてもハードルが高かったのですが、これがこんなに安く作れるとなると、成長期の子供にとってもその家族にとってもすごく嬉しいニュースですね。
ご存知の通り3Dプリンターは、立体データをもとに樹脂や金属を加工する機械。形あるものなら何でもプリントできてしまう理屈ですが、それにしても、楽器や人工骨のように高い精度が求められるものまでOKとなると驚きです。その普及に合わせて、ポルシェの車体や、スミソニアン博物館の展示物が一般にデータ配信されたことも話題を呼びました。
最近では、十数万円で買える汎用型を家電量販店で見かけることもある3Dプリンター。しかし、その使いみちについては、まだまだ世界中で研究が続いています。家のパーツをプリントすれば、災害時にすばやく仮設住宅を用意できるかもしれない。食肉を安く量産できれば、食糧問題の解決に役立つかもしれない。とりわけ注目されているのが健康・医療分野。先ほど挙げた義手や人工骨はもちろん、人工血管、さらには超ミニサイズの肝臓まで試作が成功しているそうです。3Dプリンター製の器官や臓器の移植によって、命が救われる日もそう遠くはないのかもしれません。2Dから、3Dへ。奥行きが加わるという進化によって、医療は劇的に変わろうとしています。そして島津もまた、奥行きをつくる技術によって、医療の進歩にひと役買っているのです。