週刊科学の冒険
【vol.7】 スーパースローの世界
マンガに出てくるボールは、なぜあっさり歪むのか。
「スポーツの秋」も終わり、もう冬ですが、シーズンがどうあれ、近くにあるマンガ雑誌をめくってみてください。春夏秋冬関係なく、スポーツマンガの花ざかりです。バスケ。テニス。野球。サッカー。熱いですね。さわやかですね。ただ、ちょっと引っかかることがありませんか。

ボールをじっくり見てください。みなさんが部活や授業で使ったボールは、だいたい、まんまるだったはず。ところがマンガの中では、ゴールを揺らすサッカーボールが楕円形をしている。バットがとらえた硬球が「く」の字になっている。そんなバカな。まっすぐな情熱を教えてくれるはずのマンガなのに、出てくるボールがそろいもそろって歪んでいるなんて。そもそもテレビ中継では、そんなボール、見たことない。しかし、ただのデフォルメに見えるこの表現、物理的にはかなり正しいのです。ただ、テレビ用のカメラには映らないだけで。

テレビの場合、1秒の映像は約30コマ。極端にいえば、30枚の静止画によるパラパラマンガです。肉眼で見るぶんには十分になめらかですが、実は、抜けおちているものがたくさんある。そのひとつが、ボールの変形。その瞬間があまりに短すぎて、ふつうのカメラや人間の目では追いつかない。でも見たい。はい、島津のマシン!(ネコ型ロボ風に)。 たとえばHPV-Xというビデオカメラは、世界ではじめて、1秒間に1,000万コマという撮影を可能にしました。1,000万コマです。テレビの何倍かというと、えー、ちょっとすぐに出てきませんが、まあものすごいのです。これでスポーツなど撮影したら、あられもなく変形したボールたちの姿をつぶさに観察することができます。マンガでは、その瞬間をドラマチックにとらえているというわけですね。それにしてもこのカメラ。見えないものほど見たくなる、人間の本質をも見事にとらえています。
こわすことは、つくること。
このカメラ、ほかにもすばらしい使い道があります。というか、そっちが本筋なのですが、たとえば航空機の開発。航空機の素材は「軽く、強く」が絶対条件。その実現のために、材料試験では「こわれ方の研究」が何度も繰り返されます。どんなふうにヒビが入り、どんなふうに破片が飛ぶか。そのデータを大量に集めれば、改善策が生み出せる。でも、スマホを落として割ったことがある人なら身にしみているように、「こわれる」というのは一瞬の現象。だからこそ、超ハイスピードでの撮影が必要不可欠というわけなのです。とりわけ、命をあずかるような製品の開発現場で、島津の技術力はとても頼られています。帰省や旅行で、乗り物に乗るとき。「もしかしたら、この乗り物の素材開発にも島津がかかわっているのかも」と、少しでも思い出してもらえたらうれしい。まわりに聞こえるぐらいの声でつぶやいてもらえたら、もっとうれしい。
発行: 株式会社島津製作所
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