週刊科学の冒険
【vol.2】 ニオイの定量化
お父さんは、ほんとうに臭いのか。
休日の街角。小さな女の子が、お父さんに肩車されてはしゃいでいます。幸せな光景です。しかし、わたしたちは知っています。娘を持つ、すべてのお父さんが恐れている未来のことを。 あと10年。いや5年。その日は、かならずやってきます。「お父さん、ちょっと匂うよ」。そう、わが娘の放つたった一言が、お父さんの心に深々と突き刺さる日。なんてこった。幼いころは、あんなにくっついていたのに。女心と秋の空、とはよく言ったものですが、嗅覚までもこんなに移ろいやすいとは。 お父さんの受難はつづきます。冷蔵庫の一角をわがもの顔で陣取る、賞味期限切れのお惣菜。なんか匂う気もする。ところが、お母さんはちょっと鼻を近づけて「あ、まだ大丈夫」。反論しようものなら「ちっちゃいなあ」などと人格攻撃に走る始末。そして、お父さんは力なく言うのです。「おまえたちの香水のほうが、よっぽどくさい」。もちろん、聞こえないように。 このように、家族というきわめて小規模な集団においてさえも、ニオイの感じ方は人それぞれ。体調や気分、思い込みによってさえ左右されてしまうものです。それでもまあ、家庭内で収まっているうちは、たいした問題ではありません。お惣菜がやっぱりダメになっていたとしても、お父さんが多少ダメージを食らうだけです。しかし、これがお父さんひとりではなく、何千何万という消費者を相手にする食品メーカーで起こったとしたら、どうでしょうか。「品質管理スタッフがニオイをかいで、まだ大丈夫と言っていたので」。そんな言い訳、笑えません。そこで重要になってくるのが、「臭いか」「臭くないか」に、数字による明確な基準を与えること。
ニオイあるところに、島津あり。
ニオイの質や強さといった、あいまいなものを数値化する。そのプロセスは、食品の品質管理はもちろん、たとえば缶コーヒーなど、香りがポイントになる製品開発には欠かせません。正確無比なニオイの成分分析は、島津のお家芸。いまや島津の分析機器は、食品業界になくてはならないものです。また、単に成分量をならべるだけではなく、人間の嗅覚にならって分類し、レーダーチャートで表すなど、わかりやすさにもひと工夫。今後は、住宅や家電、自動車などへの応用も期待されています。ニオイあるところに、島津あり。つまり、この世のほとんどすべてが、島津の分析対象といってもいいかもしれません。この技術で、いずれはお父さんの濡れ衣も晴らしてあげたい。でも、かえって加齢臭のうごかぬ証拠をつかまえちゃったりして。
発行: 株式会社島津製作所
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