スマホは、宇宙でつくられた?
宇宙ステーション補給機、略称「HTV」をご存じですか?愛称の「こうのとり」は聞いたことがある人も多いかもしれませんね。高度約400km上空の軌道上にある国際宇宙ステーション(ISS)に、最大6トンの必要物資を届ける輸送業務を担う無人宇宙補給機です。実はこれ、Made in Japanなのです。しかも、その優れた機能性に対して国際的にも高く評価されています。日本の技術が宇宙でも活躍しているなんて、こっちまで誇らしい気分になりますね。
ところで、ISSって何をするところでしょうか。ひらたく言ってしまえば、地上400kmにある「無重力研究室」です。地上とはまったく違う、特殊な空間である宇宙。そこでしかできない、さまざまな分野の実験が日夜くりひろげられています。たとえば、スマートフォンやパソコンを動かしている半導体。宇宙には重力も、空気の対流もほとんどありません。そのぶん、材料が均等にまざり、高品質な半導体結晶をつくることができます。すでに頭打ちといわれている半導体の高性能化ですが、宇宙での実験結果をフィードバックすることで、飛躍的に技術が進む可能性があるのです。
……と、ここまでは未来に向けた話。実は、わたしたちが現在進行形で使っている半導体も、宇宙とほんのちょっと関係があります。その製造現場は、まるで宇宙をお手本にしたような環境なのです。キーワードは、真空。