島津評論 Vol.73[1・2](2016)
特集 バイオミメティクス

特集論文

マイクロフォーカスX線CTシステムを用いた海綿動物の水路解析

椿 玲未1枝廣 雅美2

島津評論 73〔1・2〕 21~28 (2016.9)

要旨

X線は医療分野や産業分野で広く利用されているが,近年では微細な構造の撮影を目的として画像のぼけが少ない数十µm以下のX線焦点サイズを持つマイクロフォーカスX線が注目を集めており,特に産業分野での活用が進んでいる。X線撮影画像自体は単なる透過画像であるが,撮影対象を360度回転させながら得られる投影データを画像再構成することで,CT画像(断面画像)が得られる。CT画像は撮影対象内部の立体構造を把握する非常に有効な手段であるが,これまでは単なる可視化にとどまってきた。本稿では,生物・製品などの内部構造を画像して可視化するだけではなく,逆にシミュレーションや造形などの入力データとして利用した事例として,海綿動物の体内構造をマイクロフォーカスX線CTシステムにて撮影・解析した結果を報告する。


1国立研究開発法人 海洋研究開発機構 海洋生命理工学研究開発センター 博士(人間・環境学)
2分析計測事業部 グローバルアプリケーション開発センター

*島津評論に掲載されている情報は、論文発表当時のものです。記載されている製品は、既に取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。