島津評論 Vol.68[3・4](2011)
特集 航空機搭載機器

特集論文

航空機用空調装置の流れ解析

吉田 登1猪坂 弘2

島津評論 68〔3・4〕 159~165 (2012.3)

要旨

航空機搭載用のエアサイクル方式の空気調和装置は,膨張タービンの出口近傍で低温/高温の空気を混合して温度制御をかける。空気調和装置にコンパクトさが要求されるために,空気流の温度が一様になるまでの十分長い流路を取れないことが多い。著者らは,短い距離で一様な温度の流れを得る目的で,タービン出口の下流に設置するベーンタイプの混合器を試作し,タービン出口の流れの温度分布を解析した。試験で計測した温度データとの比較検討の結果,(1) 混合器を通過した直後で,流れの中央部に一様温度のコアができること, (2) 下流に進むに従ってコア部分が拡大していくことが明らかになった。混合器を用いると,短い流路で流れの温度分布の一様化が進み,より適切な温度制御が可能になる。また,本研究によりタービン出口における流れの混合を伴う複雑な流れの解析手法を獲得できたと考える。


1航空機器事業部 技術部
2航空機器事業部 技術部 博士(理学)

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