島津評論 Vol.60[1・2](2003)
特集 ナノテクノロジー

特集論文

カーボンナノチューブ1本による微小電界放射電子源の作製と評価

森久祐司1尾野成樹1小河 潔1林 茂樹2

島津評論 60〔1・2〕 25~33 (2003.11)

要旨

日本で発見されたカーボンナノチューブ(CNT,Carbon Nanotube)は,化学的安定性,高い構造完全性,強靭な機械強度,高い電気伝導性等の優れた特性を有しナノテクノロジーの旗手として多くの注目を集めている。著者らは特にCNTの電界放射特性に注目し,次世代電子源・X線源としての実現性に関する評価を行った。その結果,これまで使用されてきたタングステン冷電界放射(Cold FE:Cold Field Emission)チップに比べて低い真空度でも動作するばかりでなく,光源サイズが小さいため輝度はタングステンCold FEと同等かそれ以上であることが確認できた。今後は,CNT電界放射の安定性,長寿命化により,この特徴を生かした電界放射電子銃・X線源の開発を行い,高輝度電子顕微鏡・ナノフォーカスX線源・ナノX線顕微鏡への展開をはかる。


1基盤技術研究所
2基盤技術研究所 工博
※所属名は論文作成時のものです。

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