技術トピックス
有機ELディスプレイ用透明バリア膜成膜技術を開発
有機ELディスプレイは視認性、応答速度、消費電力の点で優れていることから次世代平面ディスプレイとして注目されています。しかしながら、用いる有機材料は湿度や酸素に弱いため信頼性を高めるための素子封止技術が最重要課題の一つとなっています。具体的な耐湿性の要求値としては、水蒸気透過率10-6 g/m2/d台の高バリア封止膜が必要と言われています。また、有機発光材料は耐熱性が低く100℃以下の低温プロセスが必要で、更に素子開口率の高いトップエミッション型素子では封止膜の透明性も必要となります。これらの要求に対して、これまでの低温成膜プロセスでは透明な高密度バリア膜の形成が困難でした。窒化ケイ素(SiNx)膜はバリア性が高いという長所を有しますが通常着色しており、また100℃以下の低温で形成すると膜中水素量の多い低密度膜になってしまいます。 そこで本開発では、表面波プラズマCVD法に着目してSiNx膜の最適化を検討してきました。図1は表面波プラズマCVD装置の概略を示します。表面波プラズマとは、誘電体板表面を伝搬する電磁波である表面波を利用して生成する大面積の高密度プラズマです。表面波プラズマは無電極放電ですので、基板をプラズマの高エネルギー部から十分に離したGap位置に置くことができ、プラズマ損傷の少ない環境が得られるという利点があります。この表面波プラズマCVD法を用いて、まず膜の透明性を高めるために、SiNx膜を構成するSi原子とN原子の比率を調整し、光透過率>90%(膜厚2μm)の透明な膜を得ることができました(図2)。 |
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さらに、長Gap位置に配置することで100℃以下の低温成膜でも膜中に水素が入りにくい高密度膜が得られることがわかり、バリア性の高いSiNx膜を得ることができました。図3はその結果を示したもので、Gapが250 mmの場合では、膜中水素量は成膜温度350℃並の16原子%程度まで低減させることができ、水蒸気透過率が10-7 g/m2/d台の高バリア性膜を得ることに成功しました(図3)。 |
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図3 基板位置と膜の水蒸気透過率の関係 |
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この開発は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業「次世代大型有機ELディスプレイ基盤技術の開発(グリーンITプロジェクト)」の開発課題として行いました。 |
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