• HOME 
  • ニュース
  • 2017年
  • > 島津製作所がシステム・バイオロジー研究機構、大阪大学と協業 オープンプラットフォームで用いるマルチオミックス解析パッケージの提供を開始

2017年

プレスリリース

報道関係の皆様からのお問い合わせはこちら

掲載されている内容はすべて発表日当時のものです。その後予告なしに変更されることがありますのであらかじめご了承ください。

2017/06/06

島津製作所がシステム・バイオロジー研究機構、大阪大学と協業
オープンプラットフォームで用いるマルチオミックス解析パッケージの提供を開始

 
島津製作所は、当社のガスクロマトグラフ質量分析計、液体クロマトグラフ質量分析計で得られるプロテオミクス※1、メタボロミクス※2、フラックス解析※3の膨大なデータを自動でマップに表示し様々な解析を行える代謝工学向け「島津マルチオミックス解析パッケージ」の無償提供を6月6日に始めます。マルチオミックスとは、遺伝子やタンパク質、代謝物などの物質の変化を統合的に解析し、ヒトや細胞など生命の活動を解明するライフサイエンスの最先端研究です。創薬や診断、バイオ燃料研究など様々な分野での利用が見込まれています。

当社が得意とする質量分析計は、マルチオミックス研究に不可欠な機器です。近年、質量分析計の超高速化により取得できるデータ量が膨大になり、解析工程が研究のボトルネックになっています。多数の代謝物やタンパク質の量的変化データから、1つずつグラフを作成し、代謝マップ上に可視化する作業は熟練者でも10数時間かかっています。本パッケージを使用すれば作業時間を数分間に短縮でき、研究者は手動による煩雑な解析作業から解放され、新たな知見の発見や仮説の想起に集中できます。

【本パッケージの概要】
化学合成ではなく微生物や細胞を用いて高機能物質を製造する研究は、バイオ燃料や医薬品、食品など多様な分野で近年盛んです。遺伝子編集技術の普及も追い風となっています。研究では遺伝子を微生物や細胞に組み込んだ効果を、代謝物や代謝酵素の濃度変動として測定します。本パッケージは、この測定のための解析の大幅な効率向上を図るものです。

本パッケージは、オープンプラットフォーム「Garuda」上で利用します。同プラットフォームは、特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構(SBI)を中心としたGaruda Allianceが2010年から設計・運用しています。ソフトウェア間の互換性を確保することで、研究者がデータ取得から解析までのワークフローを自由に組み立てることができるオープンプラットフォームとして開発されました。同プラットフォーム上で稼働するツール(ガジェット)には、現在、世界トップクラスの研究機関が開発した50以上の無償版と、個別企業・団体向けの有償版があります。

島津マルチオミックス解析パッケージは、これらの既存ガジェットとも接続する複数のガジェットをまとめて提供し、あたかも1つのソフトウェアのごとく利用するものです。本パッケージはgaruda-alliance.orgウェブサイトから無償でダウンロードできます。SBIの北野宏明代表は「質量分析計が直接、ライフサイエンス分野の世界トップ研究機関が開発した様々な解析ソフトとつながることは画期的だ。新しい研究サイクルを生み出す可能性がある」と話しています。

本パッケージは、島津製作所が大阪大学に2014年12月に設置したオープンイノベーションラボ「大阪大学・島津分析イノベーション共同研究講座」を活用し、SBI、大阪大学と進める共同研究の成果の1つです。本パッケージで、複数のガジェットを組み合わせて研究に最適なワークフローを開発した大阪大学大学院情報科学研究科の松田史生准教授は「今回のパッケージは、煩雑で長時間を要した代謝計測データの可視化作業を簡便にしました。質量分析計から得られるビッグデータから、有用な情報や知識を取り出すデータビリティ※4が向上します。研究現場の生産性が上がることで研究者は解析結果の解釈に集中でき、新たな価値の発見や創造につながります」と話しています。

島津製作所分析計測事業部長の丸山秀三は、「ライフサイエンス研究の発展スピードはめざましく、一企業だけで最先端ニーズを把握し、ソリューションを提供する時代ではなくなっています。今後も、世界の研究機関との協業を通し、ユーザーの潜在的なニーズに応えるソリューションの提供を目指します」としています。

【今後の展開】
今回の成果は、アメリカ質量分析学会(2017年6月4日~8日、米国インディアナポリス)にて発表されます。本パッケージは、http://www.garuda-alliance.org/gadgetpack/shimadzu (garuda-alliance.orgウェブサイトへリンク)より 6月6日から無償でダウンロードが可能になります。ユーザーからのフィードバックも活かし、有償の高機能版を本年度中に発売予定です。

Garudaプラットフォームは、独自のAI(人工知能)機能を持ち、また他のAIプラットフォームとも連携しています。本パッケージもAIを用いた解析が将来的に可能になります。島津製作所は2018年度にAIによる解析を含むパッケージの製品化を目指しています。

これらのソフトウェア関連製品と組合せ、世界のオミックス分野での質量分析計の一層の拡販を図ります。

※1 タンパク質の構造と機能を網羅的に取り扱う研究。
※2 細胞の活動で生じる代謝物を網羅的に取り扱う研究。
※3 1つの代謝物の量を、生産量と消費量の2つの差として精密に追跡する手法。
※4 dataとabilityを合わせた造語。超大量データから有用な情報や知識を取り出し活用すること。データ科学の中心概念の1つ。

ページトップに戻る