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2025年4月22日 | プレスリリース
マルチデバイス生体計測システム「HuME」を発売
計画から解析まで生体計測を簡単かつ確実にトータルサポート
島津製作所は、4月22日にマルチデバイス生体計測システム「HuME(ヒューム)」(Human Metrics Explorer)を発売しました。「HuME」は、筋電位、心拍や心電、脳波、行動などの複数の生体信号と動画データを統合し、人の心理状態や感性、感情の解釈を支援するシステムです。表情筋デバイス、心電デバイス、脳波デバイス、ビデオカメラとソフトウェアなどで構成されています。「食品や化粧品、自動車メーカーなどの研究開発部門」や「生体計測を用いた感性工学、人間工学、心理学などの研究・教育機関」向けに販売します。
心理状態は様々な行動や生体信号として表れます。これらを総合的に解析することで、無意識下を含めた人間の内面を分析できるようになります。利用者・消費者自身も気づいていない商品・サービスの潜在的な価値を顕在化できれば、画期的な製品開発やサービス改善につなげられます。ただし、生体信号の計測と解析には、様々な機器の習熟や機器間の連携が必須で、手間がかかります。具体的には、実験は計画に従って、各デバイスを個別に制御しながら時間を管理する必要があり、画面表示などによる被測定者への指示や、計測信号にマーカを挿入するなどを手作業で行うと、人為的なミスが発生しやすくなります。「HuME」は、実験計画から被測定者への指示と計測、計画を反映した測定結果の表示や解析までをスムーズに実施できます。さらに、各デバイスから取得した動画(表情、作業姿など)と生体信号(心拍や心電、筋電位、脳波など)を同期でき、市販の視線計測デバイスなどとの連携も可能なため、求める実験内容に対して計測事項を柔軟に設計できます。また、各デバイスはウェアラブル型でワイヤレス接続でき、被測定者の負荷を低減しています。
表情筋デバイスに搭載する技術は、当社と公益財団法人関西文化学術研究都市推進機構、国立大学法人京都大学、株式会社プロキダイとの共同研究の成果です。この研究は、科学技術振興機構(JST)の支援を受けた「けいはんなリサーチコンプレックス」事業の一環として実施され、島津製作所は2020年に「HuME」のプロトタイプを開発しました。
2022年にはメロディ・インターナショナル株式会社、京都大学、熊本大学とともに「妊娠うつ・産後うつの発症・重症化を防ぐための兆候を検知する技術」に関する共同研究で、「HuME」の心電デバイスを使用しました。また京都大学防災研究所巨大災害研究センター特定教授・土佐尚子氏とTOPPANホールディングス株式会社、島津製作所は共同企業体(コンソーシアム)「Zero Gravity Art」を通じて、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の「未来社会ショーケース事業」「フューチャーライフ万博・フューチャーライフエクスペリエンス」に協賛し、常設展示を行っています。土佐氏と島津製作所が2022年より実施している人間の創造性とアートの関係性を科学的に評価する共同研究がもとになっています。「HuME」は様々な共同研究に用いられるなど、顧客との共創の中で生体計測実験・研究のトータルサポートツールとして開発を進めてきました。

「HuME」システムの構成図

装着例
ソフトウェアの連携イメージ
新製品の特長
1. 計画から解析までトータルサポート
実験の計画からデータの計測・集約・解析までを専用ソフトウェアで支援します。目的別の実験計画のテンプレートやよく用いられる解析処理が組み込まれているため、初心者でも簡単に使用可能です。ソフトウェア間の連携により、煩雑な作業を削減し、実験の作業ミスを防ぎます。
2. 複数機器の同期計測と統合解析がGUI操作で簡単
一つのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の操作のみで、各種計測デバイスとカメラのデータをデバイス内に記録できます。記録後、解析ソフトで複数の計測信号と動画を同期して提示します。外部入力端子を持つ市販機器のデータも統合して解析可能です。
3. ウェアラブルデバイスにより装着負荷の低減
軽量かつ小型なウェアラブルデバイスはワイヤレス接続のため装着者の行動を制限しません。計測デバイスと付属品は専用バックに収納できます。
製品名 | マルチデバイス生体計測システム「HuME」 |
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希望販売価格 | 363万円(税込み、ソフトウェア含む) |
販売目標 | 国内で3年間に60台 |
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