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File No.02

テニスが上手くなるにはどうすればいい?

練習と脳のカガク

身体で覚えるってどういうこと?

例えばテニスを初めてやったとき、ラケットでボールを打っても、空振りしたり、とんでもない方向に飛んで行ってカッコ悪い経験をした、なんていう苦い思い出はありませんか。だれもが最初は上手にできないもの。ところが、練習を繰り返すうちに、だんだん上手くコントロールできるようになっていきます。俗に、スポーツなどが上手くできるようになることを、「身体で覚える」と言いますが、もちろん、覚えるのは体ではなく脳の仕事。繰り返し練習することで、脳の中に変化が起こっているということなんです。

何度も何度も同じ動作を繰り返していると、上手くボールを打ち返せたときと、ミスしたときの筋肉の動きや関節の角度の違いを、脳が認識するようになって、徐々にきれいなフォームで狙ったところに打てるようになります。このとき、筋肉へ指令を与え、動きをコントロールする大脳の「運動野」や、打ちたい!という意志を発生させている「前頭前野」などの神経細胞に変化が起こっています。繰り返し情報を送り続けることで、その信号を処理するために、他の神経細胞からやってくる神経伝達物質を受信している棘の数が増え、その結果、スムーズに神経細胞がコミュニケーションできるようになります。

そして、一連の動きを円滑にできるようにしているのが、大脳基底核という部分と小脳。大脳基底核は必要な動きと必要でない動きを判断。小脳は、一連のパターンをモデル化して記憶。運動の命令がきちんと実行されているかをチェックして、ズレがあったら修正します。練習を繰り返すうちに、体の動かし方を意識しなくても、不思議と自然にできるようになるのは、この小脳や大脳基底核の働きがあるからなんです。

脳は忙しい?

ところで、小脳が覚えた運動パターンは、かなり長持ちすることが知られています。学校を卒業してしばらくすると、数学の公式なんて忘れたよ・・・という人が続出しますが、ラケットの振り方や自転車の乗り方を忘れたという人はあまりお目にかかりませんよね。とはいえ、細かいコントロールや判断能力は別。ほんの数日練習しなかっただけでも、やっぱり精度の高いプレーはできなくなってしまいます。せっかく覚えたのに、脳がものごとを忘れるのは、なるべく余裕をつくって、新しいことを学習するためと言われています。もう一度神経細胞を活性化するには、それなりの「リハビリ」が必要なのです。

ケガや病気で脳に損傷を負った人でも、リハビリに取り組むとある程度機能を回復することができます。脳には、可塑性という力が備わっているためです。損傷を負っていない部分の機能を変化させて、新しく神経回路をつなぎ、それをまた小脳に覚え込ませることで、再び動かせるようになるというものです。リハビリにしろ練習にしろ、神経回路をつないでいくには、なにより地道な繰り返しが大事。むしろ繰り返していれば、ゆっくりとでもどんどん神経回路はつながっていきますから、あせらず、くじけず、続けたいですね。

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