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File No.01

うちの猫じゃダメ?

ジャコウネコが希少コーヒー「コピ・ルアク」を作るまで

ジャコウネコはネコではない

「コピ・ルアク」。
コーヒー好きなら、一度はその名を聞いたことがあるでしょう。日本で飲めば、一杯8,000円は下らないとされる超がつくほどの高級コーヒーです。豊かな香りとコク。苦みは少なく、独特の芳香は愛好家の舌をとらえて離しません。

コピ・ルアクは、インドネシアに生息しコーヒーノキの果実を食べるジャコウネコ(インドネシア語でルアク)の糞から、消化されずに残った種子(豆)を取り出して、洗浄、乾燥、焙煎して作られます。どうして糞から???という疑問はさておき、腸内細菌の働きでお腹の中で発酵したり、ジャコウネコ特有の酵素がコピ・ルアクの風味を作り出しているというのが通説です。

ジャコウネコというくらいだから、ネコの仲間なの? と思った方はやや早計。たしかにジャコウネコは、ネコ目ネコ亜目に属しますが、3000万年も前に枝分かれしており(人類が類人猿から分かれたのはたった200万年前!)、体の特徴も食べ物も大きく異なります。枝分かれ以降、ネコ類は動物を捕食して栄養とするのに適した脚や歯、内臓を持つほうに急激に進化。一方、ジャコウネコは古い時代の祖先の姿を留めているとされ、ジャッカルやマングースのほうが近い親戚。昆虫や果実も食べる雑食性です。当然、腸内に住む細菌や産生する酵素も違いますから、ふつうのネコにコーヒーの果実を食べさせても、おいしいコーヒー豆は採れません。むしろネコはカフェインが大の苦手。かわいいネコの健康のためにも、決してあげないようにしてくださいね。

ホンモノのコピ・ルアクの見分け方

ところで、このコピ・ルアク、高値で取引されるものの常で、まがい物や混ぜ物の被害が後を絶ちません。ジャコウネコ産(?)を証明する制度もなく、取引業者や本格志向のカフェにとっては長年、頭の痛い問題となってきました。ところが、近年、コピ・ルアク特有の成分比率が科学的に割り出されたのです。見つけたのは日本人の研究者。ジャコウネコの体を通過した豆とそうでない豆を、ガスクロマトグラフと質量分析装置で分析し、クエン酸、リンゴ酸、ピログルタミン酸、イノシトールの値がはっきりと違っているのを確認したとのこと。この分析法が広く使われるようになれば、偽物を一掃できるかもしれませんね。

コピ・ルアクの成分比を見つけた研究者に関する記事はこちら >>

ぶーめらんVol.33 「メタボロミクス大航海時代」

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