| No.18 |
Kaoru Kaneshiro, Yuko Fukuyama, Shinichi Iwamoto, Sadanori Sekiya, and Koichi Tanaka
Koichi Tanaka Mass Spectrometry Research Laboratory and Koichi Tanaka
Laboratory of Advanced Science and Technology
"Highly Sensitive MALDI Analyses of Glycans by a New Aminoquinoline-Labeling Method Using 3-Aminoquinoline/α-Cyano-4-hydroxycinnamic Acid Liquid Matrix"
Analytical Chemistry., 2011, Vol. 83 No.10, pp3663-3667
概要
近年、タンパク質翻訳後修飾における糖鎖付加は様々な疾患との関連が報告されており、分析法の最適化が望まれている。
酵素処理などによりタンパク質から切り離された遊離糖鎖は、ペプチド等に比べイオン化効率が低いため、糖鎖の還元末端に蛍光化合物 (例:2-aminopyridine (PA))等を付加するラベル化法が多く用いられている。
しかしながら、通常のラベル化は、過剰なラベル化剤や反応副産物の除去が必要となるため、操作の簡便性や収率に問題点がある。
そのような中、我々は液体マトリックス3-Aminoquinoline(3-AQ)/CHCAを用いたMALDIターゲット上での糖鎖のAQラベル化法を考案した。
本方法で得られたAQラベル化糖の検出限界は10 amolで、一般的な固マトリックスDHBを用いた場合の10,000倍の検出感度であった。 |
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| No.17 |
Hong Wang, Chee-Hong Wong, Alice Chin, Ayumu Taguchi, Allen Taylor, Samir Hanash, Sadanori Sekiya, Hidenori Takahashi, Masaki Murase, Shigeki Kajihara, Shinichi Iwamoto & Koichi Tanaka "Integrated mass spectrometry-based analysis of plasma glycoproteins and their glycan modifications"
Nature Protocols 6, 253-269 (2011)
概要
質量分析による糖タンパク質解析では、糖タンパク質から糖鎖を遊離させて、糖鎖およびタンパク質を別々に解析することが一般的に行われてきた。しかし、この方法では糖鎖がどの糖タンパク質に由来するか正しく解析することが困難であった。この問題を解決するためには糖ペプチドの状態で解析する必要がある。
この論文では、HPLC、MALDIおよびESI質量分析、糖ペプチド解析ソフトウェアを用いて、生体試料に含まれる糖タンパク質のアミノ酸配列、糖鎖結合部位および糖鎖組成を総合的に解析する方法について報告する。
まず始めに、免疫除去法により血漿中に大量に存在する主要なタンパク質を除去し、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィーから構成される2次元HPLCを用いてタンパク質を分画する。分画したタンパク質は酵素消化後、糖ペプチドを濃縮し、LC-MALDI質量分析により糖ペプチドの分析を行う。糖ペプチドのデータ解析はIGAP(Intact Glycopeptide Analysis Pipeline)ソフトウェアを用いて行う。IGAPはタンパク質および糖鎖のデータベースを利用して、糖ペプチドのMS2データからペプチド配列、糖鎖結合部位、糖鎖組成情報を提供する。また、糖ペプチド濃縮過程で得られたペプチド画分についてはLC-ESI質量分析によるタンパク質同定を行い、LC-MALDI質量分析の解析結果と合わせて総合的に糖タンパク質の同定を行う。実際にこの方法を用いて血漿中のタンパク質を解析した結果、多数の糖タンパク質が同定され、糖鎖の微小不均一性(microheterogeneity)も解析することができた。例えば糖タンパク質α-acid glycoproteinには、単一の糖鎖結合部位(52-NEEYNK-58)に構造の異なる6種類の糖鎖が付加していることが示された。(関谷) |
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| No.16 |
Fukuyama,Y.; Nakaya,S.; Yamazaki,Y.;
Tanaka,K.;
"Ionic Liquid Matrices Optimized for MALDI-MS of Sulfated/Sialylated/Neutral
Oligosaccharides and Glycopeptides"
Anal. Chem. Vol.80, N0.6 pp.2171-2179 (3/15/2008)
概要
これまでa-cyano-4-hydroxycinnamic acid (CHCA)の1,1,3,3-tetramethylguanidine
(TMG) 塩 (G2CHCA) が硫酸化糖鎖の硫酸基脱離を抑制する液体マトリックスとして報告されているが、そこではポジティブイオンモードのみに言及し、また10
pmol以上の高濃度の試料が使用されていた。今回、新規合成した液体マトリックスp-クマル酸のTMG塩 (G3CA)
及び上記G2CHCAを最適化することで、ポジティブ及びネガティブの両イオンモードで、糖鎖を高感度に計測し、また糖ペプチドを優先的にイオン化できた。硫酸化糖鎖、シアル酸化糖鎖及び中性糖鎖は、両イオンモードで高感度
(e.g., 1 fmol) に計測され、特にG3CAを用いて硫酸基及びシアル酸の脱離を抑制できた。さらに、糖タンパク質RNase
Bの酵素消化混合物から糖ペプチドを優先的にイオン化できた。また、マトリックス/試料混合物表面が比較的均一になる特長から位置再現性良く計測できた。結果として、今回最適化した液体マトリックスを用いて糖鎖をより高感度に容易に分析できることを確認した。(福山) |
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| No.15 |
Ei-ichi Matsuo, Chikako Toda, Makoto Watanabe, Noriyuki Ojima, Shunsuke Izumi, Koichi Tanaka, Susumu Tsunasawa, Osamu Nishimura"Selective detection of 2-nitrobenzenesulfenyl-labeled peptides by matrix-assisted laser desorption/ionization-time of flight mass spectrometry using a novel matrix"
Proteomics 2006, 6, 2042-2049
概要
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)法を用いた質量分析(MS)では、測定すべきサンプルにマトリックスと呼ばれる補助試薬を混ぜてレーザーを照射し、試料のイオン化を行う。測定する試料の種類によって、最適なマトリックスが知られており、タンパク質やペプチドの測定には、CHCA (4-hydroxy-a-cinnamic acid)やDHB (2,5-dihydroxybenzoic acid)といった有機化合物がよく用いられる。この論文では、3H4NBA (3-hydroxy-4-nitrobenzoic acid)という化合物を用いると、NBS試薬*で修飾されたペプチドが特異的に検出されることを報告する。すなわち、修飾ペプチドと非修飾ペプチドの混合物を試料として測定しても、修飾ペプチドの方が優先的にイオン化・検出される、ということである。このマトリックスを用いると、NBS試薬を利用した解析におけるMALDI-MS測定効率が向上するほか、ニトロチロシンを含むペプチドの特異的検出も行えることがわかった。(松尾)
*NBS試薬: 成分は2-nitrobenzenesulfenyl chloride (NBSCl)。定量的プロテオーム解析に用いられる、安定同位体試薬の一種。弊社から『13C NBS Stable Isotope Labeling Kit-N』として販売されている。
参考資料: MS研Webサイト論文 No.2
RCM 2003, 17, 1642-1650
RCM 2006, 20, 31-38 |
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| No.14 |
Yuko Fukuyama, Shinichi Iwamoto, Koichi Tanaka, "Rapid sequencing and disulfide mapping of peptides containing disulfide bonds by using 1,5-diaminonaphthalene as a reductive matrix"
J. Mass Spectrom. 2006; Vol.41, No.2, Pages: 191-201
概要
MS/MSは、ペプチドのアミノ酸シーケンシングに有効であるが、ジスルフィド結合含有ペプチドに対しては適用が制限されてきた。今回我々は、MALDIマトリクスである1,5-ジアミノナフタレン(1,5-DAN)の還元性を、ジスルフィド結合を1つ含むペプチドurotensin II、及びジスルフィド結合を2つ含むペプチドguanylinの、アミノ酸シーケンシング及びジスルフィドマッピングに適用した。このとき、1,5-DAN は通常のMALDIマトリクスと同様に使用され、ペプチドの前処理は特に行わなかった。結果として、1,5-DAN により還元された分子イオンのMS/MSは、一般的なマトリクスDHBによる非還元分子イオンのMS/MSに比べ、多くのb-/y-プロダクトイオンを生じ、アミノ酸シーケンシングを改良した。加えて、1,5-DANとDHBによるMS/MSプロダクトイオン間の質量差の実測値と理論値の比較は、ジスルフィド結合の組み合わせの解析に有効な情報を与えた。(福山) |
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| No.13 |
Sadanori Sekiya, Yoshiki Yamaguchi, Koichi Kato, Koichi Tanaka
"Mechanistic elucidation of the formation of reduced 2-aminopyridine- derivatized oligosaccharides and their application in matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry"
Rapid Commun. Mass Spectrom. 2005; 19: 3607-3611 (Letter to the Editor)
概要
質量分析(MS)は糖鎖構造解析の主流分析法になりつつあるが、分析感度を 高めるためには糖鎖試料を得るための前処理法が重要となる。糖鎖のピリジル アミノ(PA)化法は、液体クロマトグラフィーにおける高感度・高分離解析を 実現するために広く用いられている糖鎖蛍光ラベル化法である。加えて、PA化 糖鎖のマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)を用いたMS測定に おいても、PA化によりポジティブモードでの糖鎖検出感度が大幅に向上する利 点がある。今回、MALDI-MSにおけるPA化糖鎖の新たな特性を見出した。
糖鎖測定に広く利用されているDHBマトリックスを用いてPA化糖鎖を測定する と、[M+H]+に加えて、質量が2Da増加したイオン([M+H+2]+)が有意な強度で 検出された。[M+Na]+に関して、[M+Na+2]+は有意な強度で検出されなかった。 MALDI-QIT-TOF MS(AXIMA-QITTM)を用いて[M+H]+および[M+H+2]+のモノアイ ソトッピクイオンのみをそれぞれプレカーサーイオンとしてMS/MS解析を行っ た結果、両者は極めて類似したフラグメンテーションパターンを示した。その 上、[M+H+2]+のプロダクトイオンの内、PAを有するプロダクトイオンは[M+H]+ のプロダクトイオンより2Da増加した質量を示した。また、還元性マトリック スであるDAN(1,5-Diaminonaphthalene)を用いると、[M+H]+に対する[M+H+2] +の相対イオン強度が著しく増加することが 確認された。以上の結果から、2Daの質量増加は、気相中におけるマトリック スの還元作用によるPAへの2個の水素原子が付加した結果であることが強く示 唆された。
本論分内ではこの2Da増加イオンの構造解析等への活用方法に関しても言及した。 |
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| No.12 |
Barboza,M; Duschak,V.G.; Fukuyama,Y; Nonami,H; Erra-Balsells,R; Cazzulo,J.J.; Couto,A.S.;"Structural analysis of the N-glycans of the major cysteine proteinase of Trypanosoma cruzi. Identification of sulfated high-mannose type oligosaccharides"
FEBS Journal 272 (2005), 3803-3815 (FEBS=Federation of European Biochemical Societies)
概要
Trypanosoma cruzi (トリパノソーマ)はChagas病と呼ばれる伝染病を引き起こす寄生虫で、主要なシステインプロテアーゼであるcruzipainを含んでいる。この酵素は、多数の翻訳後修飾を含む特徴的なC-末端伸長部位を持ち、この部位では自然界及び実験用の大部分の抗体を支配している。論文では、このドメイン中に存在するN-結合型糖鎖の構造解析を、N-グリコシダーゼ Fによる脱グリコシル化及びHPAEC(高速陰イオン交換クロマトグラフィー)と、UV-MALDI-TOF-MSを組み合わせて行った。その結果、ノルハルマンをマトリックスとして用いたネガティブイオンモードのMALDI-TOF-MSで、cruzipainの新しい特徴となる硫酸化ハイマンノース型糖鎖を確認した。主に硫酸化GlcNAc2Man3から硫酸化GlcNAc2Man9までの各糖種が解析された。これは、化学的あるいは酵素的脱硫酸化の後、これらの硫酸化糖に相当するシグナルが観測されなかった結果とも一致する。加えて、MALDI-TOF-MSにより、(a)ハイマンノース型糖鎖、及び(b)ラクトサミン型グリカンがポジティブモードで確認され、その中でモノシアリル化糖鎖に相当する構造も解析された。さらに(c)フコシル化糖鎖も確認された。これらの糖種の存在はHPAECでも確かめられた。結論として、cruzipain中に見出されるオリゴ糖の総数がこれまで報告されている数よりもずっと多いことが証明され、さらに、Trypanosomatidにおいて硫酸化糖タンパクの存在が初めて確かめられた。 |
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| No.11 |
Sekiya,S.; Wada,Y.; Tanaka,K;
"Derivatization for Stabilizing Sialic Acids in MALDI-MS"
Anal. Chem. Vol.77, N0.15 pp.4962-4968 (1/8/2005)
概要
マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)を用いた質量分析(MS)は、高感度および短時間解析を可能とすることから、今や糖鎖構造解析の主流分析法である。シアル酸はカルボキシル基を有する酸性糖の一種であるが、シアル酸結合糖鎖のMALDI-MSにおける問題点として、シアル酸がin-source decay (ISD)やpost-source decay (PSD)により容易に脱離し、分子量関連イオンの検出感度が低下することが挙げられる。また、MS/MSにおいてはシアル酸の選択的開裂により、プロダクトイオン生成効率の低下といった問題が生じる。これらの問題を解決するために、シアル酸カルボキシル基をアミド化することを試みた。アミン成分に窒素安定同位体(15N)標識塩化アンモニウム(15NH4Cl)、縮合剤に4-(4,6-dimethoxy-1,3,5-triazin-2yl)-4-methyl-morpholinium chloride (DMT-MM)を用いた。15NH4Clを用いたアミド化の利点に関しては論文No.6で報告済みである。
シアル酸をアミド化した結果、ISDやPSDによるシアル酸脱離が大幅に抑制された。また、MS/MSにおいてはシアル酸の選択的開裂が抑制された結果、多数のプロダクトイオンが得られた。得られるプロダクトイオンは主にグリコシド結合開裂由来のB/Yシリーズイオンであるため、構造解析が容易となる。以上の結果は、アミド化がシアル酸を安定化し、MS/MSの解析パフォーマンスを向上させるのに有効な修飾法であることを示している。 |
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| No.10 |
福山裕子、和田芳直、山崎雄三、尾島典之、山田真希、田中耕一
"MALDI-QIT-TOFMSを用いた糖タンパク質の新規構造解析手法:リボヌクレアーゼBへの適用"
J. Mass Spectrom. Soc. Jpn. Vol.52, No.6 pp328-338 (2004)
概要
マススペクトリメトリー(MS)はグライコプロテオミクスすなわち糖タンパク質構造解析に不可欠な分析ツールとなりつつある。その際、サンプルのプリパレーションにかかる手間を最小限に抑えた容易で迅速なMS法が要求されているが、単一のマススペクトロメーターにおける方法としては未だ実現されていない。今回の論文では、単一のMALDI-QIT-TOFMSにおいて、プロトン化分子([M+H]+)及びナトリウム付加分子([M+Na]+)のMS及びMSnを行うことで、糖タンパク質リボヌクレアーゼB(RNase B)の構造解析を行う手法を報告する。リジルエンドぺプチダーゼ (Lys C)により得られたRNase B酵素消化混合物に対し、脱塩なしで、マトリックスとして2,5-dihydroxybenzoic acid (DHBA)を用いて得られたマススペクトルにおいて、5種類のピークが糖タンパク質として確認された。この5種類の[M+H]+ピークは全てそれぞれ[M+Na]+ピークを伴っていた。プリカーサイオンとして[M+H]+を使用した場合のMSnでは主にペプチドシーケンスと糖鎖結合位置情報が、またプリカーサイオンとして[M+Na]+を使用した場合は主に糖鎖シーケンス情報が得られた。最終的に、単一のMALDI-QIT-TOFMSにおいて[M+H]+と[M+Na]+を用いた方法により、容易で迅速な糖タンパク質構造解析が行えることを明らかにした。(福山) |
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| No.09 |
岩田庸助、栗木智子、戸田千香子、関谷禎規、Helen Montgomery、上田輝久、
西村 紀
"ハイスループットスポッティング装置による多次元LC/MALDI‐TOF MSを使ったプロテオミクスオフライン解析法"
島津評論 Vol.61 No.1・2 pp.49-61 (2004.10)
概要
MALDI(Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization)-TOF MSは高い分解能、広い質量数範囲、そして測定対象成分の取り扱いやすさという利点があり、プロテオーム解析における酵素消化タンパク質の研究の中で、数ある質量分析法の中でも最もよく用いられる。さらに、このようなプロテオーム解析において、質量分析装置と組み合わせた高速液体クロマトグラフ(HPLC)は、これまでの二次元電気泳動(2D-PAGE)法の補完的な分析方法として、重要な役割を持つようになってきた。近年、これらHPLCとMALDI-TOF MSのインタフェースとして、MALDI-TOF MSのターゲットプレート上にHPLCからの溶離液を分画できるスポッティング装置が注目を集めている。このたび新しく開発したHPLC/MALDI-TOF MS用自動スポッティング装置AccuSpotの原理を分析応用例とともに紹介 する。(岩田)
本論文は、当社の発行する島津評論Vol.61 [1・2] に掲載されています。購読のお申し込みや、お問い合せはこちらから。
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| No.08 |
田中耕一、Rachel Martin
" MALDI-QIT-TOF MSを用いたトップダウンプロテオミクス解析法の試行"
島津評論 Vol.61 No.1・2 pp.3-10 (2004.10)
概要
MALDI法によって生成されたイオンを四重極イオントラップQITに導入し、飛行時間型質量分析法 TOF MS で質量分離を行う装置 AXIMA-QIT に、Heによるイオンクーリングを採用することにより、タンパク質領域まで分子イオンが QIT 内で補足可能となった。
この改良された装置を用いることで、MALDI-QIT-TOF MS がトップダウンプロテオミクス解析にも使用できることを確かめた。(田中)
本論文は、当社の発行する島津評論Vol.61 [1・2] に掲載されています。購読のお申し込みや、お問い合せはこちらから。
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| No.07 |
Kato,K., Yamaguchi,Y., Takahashi,N., Nishimura,M., Iwamoto,S., Sekiya,S., Tanaka,K.
" Discrimination of Isomeric Fragment Ions Observed in Tandem Mass Spectra of Biantennary Oligosaccharides by Use of
Selective Isotope Labeling"
J. Mass Spectrom. Soc. Jpn. Vol.52, No.5 pp284-288 (2004)
概要
糖鎖の機能解析において、その糖鎖の構造を決定することは極めて重要である。近年、高感度でハイスループット解析が可能な質量分析計を用いたタンデムマススペクトロメトリー(MS/MS)が、糖鎖構造解析の主流になりつつある。しかし、分岐構造を有する糖鎖の構造解析において、各分岐部分の構成糖が同一である場合、MS/MSによって得られたフラグメントイオンがどの分岐部分に由来するか判別することは困難である。今回我々は、二分岐糖鎖の片方の分岐末端単糖を炭素安定同位体元素13Cで標識することによって、分岐部分ごとに質量差を設け、MS/MSで生じたフラグメントイオンがどの分岐部分から生じたものであるか識別することを試みた。モデル糖鎖には、ピリジルアミノ化二分岐糖鎖{Gal b1→4GlcNAc b1→2Man a1→6 (Gal b1→4GlcNAc b1→2Man a1→3) Man b1→4GlcNAc b1→4 (Fuc a1→6) GlcNAc‐PA}を用いた。各分岐末端のガラクトースを炭素安定同位体元素13Cで標識した後、MALDI-QIT-TOF MSによりMS/MSを行った。分岐部分を含むフラグメントイオンは、同位体標識の有無により6Daの質量差が生じる。そのため、MS/MSスペクトル上の6Da差のペアピークを確認し、その相対強度を比較することによって、それらのフラグメントイオンが二分岐部分のうちどちらの分岐部分を含み、且つ、どちらの分岐部分上で開裂が生じ易いか判別できる。結果として、分岐部分 (Gal b1→4GlcNAc b1→2Man a) の (GlcNAc b1→2Man)間のグリコシド結合が、対する分岐部分 (Gal b1→4GlcNAc b1→2Man) の (GlcNAc b1→2Man) 間のグリコシド結合よりも、優先的に開裂することが確認された。このことは分岐糖鎖の分岐部分によってグリコシド結合の開裂頻度が異なることを示唆している。今後、この現象の論理的検証を行う予定である。(関谷) |
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| No.06 |
Sekiya,S.; Wada,Y.; Tanaka,K;
" Improvement of the MS/MS Fragment Ion Coverage of Acidic Residue-Containing Peptides by Amidation with 15N-Substituted Amine"
Anal. Chem. Vol.76, No.19 pp.5894-5902 (2004)
概要
タンデムマススペクトロメトリー(MS/MS)はペプチドの配列同定に有用な手法であるが、 酸性アミノ酸(AspおよびGlu)含有ペプチドにおいては酸性アミノ酸部位でしばしば選択的開裂(selective cleavage)が起こる。MS/MS解析においてselective cleavageが生じると、十分なfragment ionが得られなくなりペプチド配列解析が困難になることがある。この問題を解決する為に、塩化アンモニウム(NH4Cl)を用いたアミド化により酸性アミノ酸の側鎖カルボキシル基(COOH)をアミド(CONH2)に変換することを試みた。この反応により−0.984016の質量差が生じるが、アミン成分に窒素元素の同位体である15Nから成るNH4Clを用いることによって質量差は+0.013019となり、整数質量は変化しない。その結果、マススペクトル解析およびデータベース検索において、通常、修飾に伴う煩雑な手間を軽減させることができる。
今回、我々は15Nを用いたアミド化が、MS/MS解析におけるfragment ion coverageの向上に有効であることを報告する。(関谷)
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| No.05 |
田中耕一・尾島典行・山田真希
“広範な翻訳後修飾解析に活用可能なMALDI-QIT-TOF”
蛋白質 核 核酸 酵素, Vol.49 No.11 (2004), Pages: 1907-1910
概要
近年、 MALDI 及び ESI イオン化方法と MS/MS 以上が可能な QIT, TOF-TOF, Qq-TOF, FTICR 質量分析方法を組み合わせた質量分析装置が多種類開発・販売され、これら機器の持つ高機能を活用したプロテオーム解析が展開されている。構造情報を導き出すための各種化学修飾手法も開発され、 Peptide Mass Fingerprint 手法を用いた既知の蛋白質を主とした同定から、未知の De-Novo での構造推定へと進展している。生体内の蛋白質は、20種のアミノ酸のみで構成される場合は少数派であり、糖鎖の付加 ( 3割以上の蛋白質 ) ・脂質の付加・リン酸化さらに Met 残基の酸化等々といった翻訳後修飾がなされている。そして、これらを解析するためには、従来の MS/MS 装置では不十分であることが認識されはじめている。本説では、最近発売された MALDI-QIT-TOF 質量分析装置 ( 製品名 :AXIMA-QIT) の MSn 機能を活用した翻訳後修飾解析例を紹介する。(田中) |
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| No.04 |
Brancia, F. L.; Montgomery, H.; Tanaka, K.; Kumashiro, S.;
“Guanidino Labeling Derivatization Strategy for Global Characterization of Peptide Mixtures by Liquid Chromatography Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometry”
Anal. Chem.; (Article); May 2004; 76(10); 2748-2755
概要
O- メチルイソ尿素の同位体異性体を用いて行われたグアニジン化を、逆相液体クロマトグラフィー・マトリクス支援レーザー脱離イオン化法と組み合わせて使用することで、蛋白質の混合物を定量的及び定性的に分析した。 13C- 及び 15N2- ラベル化されたスルホン酸 O- メチルイソ尿素は非ラベル化同位体異性体よりも 3 Da 大きい分子を生じる。その 3 Da 差を指標として、同一成分が異なる濃度で含まれている蛋白質混合物の相対的な定量を質量分析計により行う。 3 Da の差は 1400 Da に及ぶペプチドの 2 つの同位体を分離して検出することを可能にする。クロマトグラフィーでは同位体標識による保持時間への影響は認められなかった。質量分析測定によってラベル化ペプチドを同定し、得られたラベル化ペプチドのペアピークをプリカーサとしてタンデムマス分析を行った。衝突誘起解離によりフラグメントイオンは 3 Da 差のペアピークとして生じた。ラベル化は C 末端リジンのみで起こるので、タンデムマススペクトルにおいて、 C 末端のグアニジン部位を含むイオン ( 主に y- 系列イオンピーク ) をペプチド N 末端を含む部位 ( 主に b- 系列イオンピーク ) と区別することができる。 (福山) |
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| No.03 |
Takashi Nakazawa, Minoru Yamaguchi, Kimiko Nishida, Hiroki Kuyama, Takashi Obama, Eiji Ando, Taka-aki Okamura, Norikazu Ueyama, Koichi Tanaka, Shigemi Norioka
“Enhanced responses in matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry of peptides derivatized with arginine via a C-terminal oxazolone”
Rapid Commun. Mass Spectrom.; Volume 18, Issue 7, Date: 15 April 2004, Pages: 799-807
概要
MALDI − MS を用いたペプチドの分析において、ペプチドの N 末端や C 末端を化学修飾し、ペプチドのイオン化強度を向上させることや PSD 分析で de novo 配列解析することが行われている。我々は、ペプチドの C 末端のカルボキシル基をオキサゾロンに変換し、これに正または負の電荷を持つ化合物をカップリングさせることにより、 MALDI − MS において感度を著しく向上させる方法を開発したので報告する。 ( 山口 )
本論文は、当社の発行する島津評論Vol.61 [1・2] に掲載されています。購読のお申し込みや、お問い合せはこちらから。 |
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| No.02 |
Hiroki Kuyama, Makoto Watanabe, Chikako Toda, Eiji Ando, Koichi Tanaka, Osamu Nishimura
" An approach to quantitative proteome analysis by labeling tryptophan residues"
R apid Commun. Mass Spectrom. 2003; Volume 17, Issue 14, Date: 30 July 2003, Pages: 1642-1650
概要
安定同位体試薬には、たとえば、12Cと13Cのように、質量数が異なる同一元素を含む1対の試薬があります。これを用いて、細胞などの生体試料中に含まれる蛋白質・ペプチドを相対的に定量する方法を報告しています。安定同位体試薬を用いる方法としては従来、システイン残基をラベル化して蛋白質・ペプチドの含有量の相対比較を行う方法が知られていますが、今回報告したのは、トリプトファン残基をラベル化する方法で、トリプトファンは蛋白質・ペプチド中に広く分布し、含有量が20種のアミノ酸残基中最も少ないことからマススペクトルが単純化され解析しやすくなる等の利点があります。この方法によって、2つの試料(たとえばガン細胞および正常細胞)に含まれる蛋白質・ペプチドの含有量を比較でき、病気にかかったことで増えたり減ったりする蛋白質・ペプチドを探すことができます。(九山)
本論文は、当社の発行する島津評論Vol.60 [1・2] に掲載されています。購読のお申し込みや、お問い合せはこちらから。
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| No.01 |
Hiroki Kuyama, Chikako Toda, Makoto Watanabe, Koichi Tanaka, Osamu Nishimura
" An efficient chemical method for dephosphorylation of phosphopeptides"
Rapid Commun. Mass Spectrom. 2003; Volume 17, Issue 13, Date: 15 July 2003, Pages: 1493-1496
概要
蛋白質・ペプチドのリン酸化は細胞の情報伝達、代謝、増殖、ガン化等様々な生体の機能調節に重要な役割を果たしています。このため、リン酸化された蛋白質・ペプチドに結合しているリン酸基の数および結合位置の解析は非常に重要な課題です。従来、リン酸化された蛋白質・ペプチドのマススペクトルによる判別とリン酸基結合数を解析するためには酵素を用いるのが一般的でしたが、この論文ではより効率的なフッ化水素を用いる化学的な方法について報告しています。(九山)
本論文は、当社の発行する島津評論Vol.60 [1・2] に掲載されています。購読のお申し込みや、お問い合せはこちらから。
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