島津科学技術振興財団
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お知らせ
2012/12/11
平成24年度島津賞受賞者決定
- 研究開発助成は12件を選定 -

公益財団法人 島津科学技術振興財団(理事長 井村裕夫)は12月10日に開催した当財団理事会において、第32回(平成24年度)島津賞受賞者および研究開発助成金受領者を決定しましたのでお知らせ致します。

当財団は、科学技術に関する研究開発の助成及び振興を図る目的で昭和55年に島津製作所の拠出資金により設立されました。基本財産は約10億円です。
島津賞は、主として科学計測の基礎的な研究において、近年著しい成果をあげた功労者を表彰するものです。
また、研究開発助成は、主として科学計測の基礎的な研究開発に携わっている若手の研究者を助成するものです。

第32回(平成24年度)島津賞受賞者および研究開発助成金受領者は次の通りです。

【1.島津賞 (1名)】
当財団指定学会に推薦を依頼し、推薦のあった中から、当財団選考委員会および 理事会にて、受賞者1名を選出しました。

<<受賞者>>
東京大学 大気海洋研究所
教授 佐野 有司(さの ゆうじ)殿
研究業績 高感度質量分析計を用いた海洋地球化学の研究
内   容 近年、地球化学1)・海洋化学2)は大きく進展し、人類はその知見を飛躍的に高めてきた。その進展には、微量元素を高感度に計測する質量分析技術の進歩が大きく貢献している。しかし、地球化学・海洋化学における質量分析は、単なる微量元素測定ではなく、特有の計測技術を求められることが多い。例えば、(1)存在比の大きく異なる希ガス(ヘリウム、アルゴンなど)や炭素・窒素の同位体の同時測定、(2)ウラン−鉛など放射性崩壊の親・娘元素の同時測定、(3)極微小領域(数−数十μm)における微量元素測定などである。
これらの質量分析技術が関係する地球化学・海洋化学の研究は、
海洋分野では、海水の流動(深層循環、中層・表層年代)、海底熱水活動、海洋の起源
大陸地殻・火山分野では、火山噴火に伴う流体移動、鉱物の生成年代、マグマの起源
大気環境分野では、過去の気温・二酸化酸素濃度・日照時間の長期的変移
生命・生物分野では、生命の起源の年代、回遊魚の生態
宇宙分野では、隕石の年代、太陽系初期の水や有機物の起源、月の海の形成
など広範囲にわたる。

佐野有司氏は、( i )4種類の高感度質量分析計に対し、イオン源や検出器の改造、試料前処理装置の作製、高度なチューニングなどを実施し、( ii )新しい標準試料の合成やガス分離技術の開発など実験周辺技術を開発することにより、世界最高水準の実験を行って数多くの重要な発見を行い、地球化学・海洋化学に新たな知見を加えてきた。
(1) 高精度ヘリウム同位体比測定法を用いた研究では、マグマの起源、地震予知への検討
(2) サブ・ナノモル量の窒素同位体測定法を用いた研究では、地球規模での火山からの二酸化炭素や窒素の放出量見積り
(3)微小領域(20−30μm)でのウラン−鉛年代測定法を用いた研究では、地球生命の起源の年代検証、月隕石の年代測定
(4) 極微小領域(1−5μm)における元素分析法では、隕石の母天体での太陽系最古の地熱流体の存在、シャコ貝を用いた過去の日射量の復元
などが、特に有名である。また、同氏は開発した測定法・分析法を、所属する研究所の共同利用を通じて、全国の海洋科学者、地球科学者、水産科学者などに広く開放し、我が国の地球化学・海洋化学の発展に尽くしてきた。
上記の業績は、科学計測およびその周辺の領域における基礎的な研究において、著しい成果を挙げたものとして高く評価される。

注1)地球化学:地球全体およびその構成部分(海洋・大陸地殻・火山など)の化学的組成や元素の分布、それらの時間的変動を求め、地球の構成物質の起源や循環などを化学的に研究する学問。
 2)海洋化学:海洋を対象にする地球化学の中の一部門。

【2.研究開発助成 (12件、助成金総額 1,200万円)】
当財団のホームページ等にて公募を行い、応募のあった中から、当財団選考委員会及び理事会にて研究開発助成金受領者12名を選出しました。
助成対象となった研究は、先端技術に関するもので、いずれも今後その成果・発展が期待されます。

  研究者(五十音順) 研究題目 助成金
1 神戸大学
大学院理学研究科
准教授 大道 英二
角運動量トルクの検出原理に基づく新しいカンチレバーESR測定 100万円
2 東北大学
大学院工学研究科
教授 小野 崇人
フェムトジュール熱量計測システム 100万円
3 甲南大学
理工学部
講師 久原 篤
動物の温度適応に関わる神経情報の入出力の計測とイメージング 100万円
4 秋田県立大学
生物資源科学部
助教 鈴木 龍一郎
セミアミロペクチン生合成系で働く新規枝作り酵素の構造機能解析 100万円
5 北海道大学
先端生命科学研究院
助教 谷口 透
低分子から生体高分子まで構造・凝集状態を解析可能なキラル赤外分光分析法の開発 100万円
6 筑波大学
数理物質系
准教授 辻村 清也
スマートバイオセンシングに向けた高性能ユビキタス発電装置の開発 100万円
7 京都大学
白眉センター
特定准教授 西山 雅祥
超高感度型高圧力顕微鏡の開発とダイナミック分子構造変化イメージング 100万円
8 高知大学
教育研究部人文社会科学系
講師 西脇 芳典
多層構造を持つ交通犯罪微細遺留物の微量元素による起源解明 100万円
9 大阪府立大学
大学院理学系研究科
助教 藤原 亮正
フラビンを発色団とする光センサー分子システムの水素結合ネットワーク構造と光反応 100万円
10 筑波大学
医学医療系
講師 盛武 敬
頭部IVRにおける効果的な患者被ばく測定法と被ばく履歴管理法の開発 100万円
11 国立がん研究センター東病院
臨床開発センター
ユニット長 山口 雅之
高速蛍光トモグラフィーと超高磁場MRIを融合した難治がん分子イメージング法の開発 100万円
12 群馬大学
先端科学研究指導者育成ユニット
助教 山本 正道
ヌクレオチドシグナルのin vivo計測 100万円

なお、表彰・贈呈式、並びに 島津賞受賞記念講演は、次の通り行います。
日 時 平成25年2月22日(金)
  表彰・贈呈式   14:00〜14:50
  島津賞受賞記念講演   15:00〜15:50
  懇親会   16:00〜17:00
場 所 京都ホテルオークラ(京都市中京区河原町御池)